面接で作文を書いた帰り道で入社の内定を受けた話
今の会社に入社したのは2009年のこと。あの頃の空気感を覚えている人もまだ多いと思うが、リーマンショック後で求人に応募しても求人自体が取り下げになるなど、求職者にとってはカオスで厳しい状況が続いていた。
その中にあってアトム電器さんの求人はテレビ東京「ガイアの夜明け」で取り上げられた後の反響という勢いもあって異彩を放っていた。
当時住んでいた実家から通勤圏内でもあったので、募集内容に興味が湧いて応募したのだが試験や面接のやり方も一風変わっていた。
入社試験と作文と面接
一番印象に残っているのが作文で、書かれていたのはたった一文。
「海についてあなたが連想することを自由に書いて下さい」。
家電の会社と海に何の関係が?と訝しみつつ、頭に浮かんだのは「この浜寄する大涛はカリフォルニヤの岸を打つ」という、卒業した高知大学で旧制高知高等学校時代から唄い継がれていた「豪気節」の一節だった。
この一文は今も桂浜の坂本龍馬像脇の雑木林の中にある石碑にひっそり刻まれており、元々は龍馬が土佐の若者たちに言った言葉とか、そうでないとか。
インターネットどころか飛行機すらない時代に、「目の前のこの波は寄せて返すそのはるか先でカリフォルニアの岸も打っているんだぜ」って言える想像力。当時の人の想像力たるや・・・云々と20行程度にまとめたところでタイムアップとなったように記憶している。
印象に残っているのは「その後」があったからで、面接を終えて乗った電車の中で携帯電話が鳴り、駅で降りて慌てて掛け直したらそれが内定の連絡だった。
当時は内定を出すまでに慎重に手続きを踏む企業が多かったこともあり、かなり驚いたので印象に残っている。
入社試験の作文と学校で書く作文の違い
自分にとって今につながるご縁となった作文だが、学校で書く作文や小論文と入社など社会に出てから書く作文は似ているようで違う。
入社後に聞いたことだが、この作文の内容から
・テーマの掘り下げの浅い・深い
・書く内容の明るさ・暗さ(プラス思考・マイナス思考)
・表現力・展開力(相手への説得力)
などなどを読み取っているとか。(これから弊社を受ける人がいたらネタバレになるかも知れないが)
入社試験の作文で問うのは知識とは限らない
入社試験における作文(面接もそうだが)とは、学校で書くそれのように知識力や表現力そのものを問われるというよりは、その会社に入ってどういう体裁、どういうスタンスで自分はやって行きたいか宣言する性格のものだと解釈している。
自分はあの20行で想像力を羽ばたかせて、突き動かされるように行動していった先人たちのことを書いたが、今はその延長線上でそれまでのキャリアになかった営業職に就いて全国を走り回っている。
思えば前職ではその「打ち出し」が上手く出来ず、自分の立ち位置を決められないままだった。
そういう意味ではその打ち出しに対し、入社後もある程度の一貫性という責任が伴う代わりに、周りから自分に対して扱いやすさや分かってる感を獲得できるメリットもある。
今は自分がその作文や面接の狙いを加盟店さんに説明する側に回り、そもそも周りの同僚もみんな海について作文を書いたのかと思うと不思議な気持ちになることがある。
作文と面接に対し、どんな基準で採用すべきか?
そんな中小企業向けの求人、採用、社員教育についての考え方について、来週10/30にチェーン内に向けて説明会があるとのこと。
アトム電器の加盟店さんは全員聴くことが出来るので、採用、教育等について悩んでおられる方は一度は聴かれてみると良いかも知れない。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?