『ソニー再生 変革を成し遂げた異端のリーダーシップ』/情熱のマグマを解き放て!
以前に家電やゲーム関係の仕事に携わっていたことがあり、個人的にSONYファンである事から、この本は自動的に買っていました。
もちろん、著者の平井さんや前任の社長である久多良さんのお名前もよく知っています。
どんな優秀な企業にも、良い時とそうで無い時があり、いかにその荒波を乗り越えてきたかというストーリーは、ビジネスマンとして胸が熱くなる。
平井氏の思考は長い海外生活がベースにあり、日本人が見失いがちな”本質”を捉えた思考や行動ができる方だなと感じた。
『LA・LA・LA LOVE SONG』をリリースする頃の久保田利伸さんの話が出た。
ちょうどぼくが大学生として毎日遊んでばかりだった頃に、NYで1人の日本人アーティストが奮闘していたことを、四半世紀後にこの本で知った。
同時期の自分の生活と対比すると、同じ生き物と思えなくて恥ずかしくなる。
人生で指折りの楽しい時期だったけど、来世ではもうちょっと充実した時間の過ごし方をする。笑
プレイステーションについての話も面白い。
初代PSから現行のPS5まで、全てリアルタイムで楽しんできたから、PS1・2の勢いやPS3での苦労もすごく理解できる。
初代PS3はホントにすごいハードで、約5.0kgとめちゃ重たかった。
それが最終型の薄型PS3では約2.1kgまで軽量化。
この道程はほんとに激しく険しいものだったと思う。
特に初代PS3の60GB(CECH-A00)はユーザー目線ではゲーム史に残る名機、経営目線ではゲーム史に残る問題児だったのではと思う。
平井氏はソニー本体の社長に就任してすぐ、NYにある米国本社ビル「550 Madison」の売却をする。
ノスタルジーとの決別、それは初代PS3の「PS2ソフトが楽しめる」機能を捨て、最終的にPS3の重量が半分以下になる程のコストダウンを実現した精神そのものと感じる。
また、平井氏の「周りの”異見”を積極的に取り入れる姿勢」に共感する。
簡単なことのようで、立場が上がるにつれ出来なくなることだから。
決して民主主義になるわけではなく、リーダーが異見をふまえた上で答えを導き出す、と言うこと。
そしてなにより、冒頭にあった「情熱のマグマ」を解き放つ」という言葉が、リーダーシップの本質であり、最大の課題と感じた。
歴代プレイステーションや代表作のリッジレーサーの話が出て、ゲーム好きビジネスマンならかなり楽しめる作品です。
楽しみながら読み進められ、いつもの仕事に対して新しいアプローチができるようになる内容。
とても勉強になりました。
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