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『キャプテンサンダーボルト』/トランザムが活躍するのはナイトライダーだけじゃない!

阿部和重さんと伊坂幸太郎さんの合作。
2014年の発売時に一度読んだが、今回新装版でボーナストラック2つと描き下ろし短編、阿部さんと伊坂さんの対談が収録されたので再度購入。
少なくとも、ぼくにとってはそれくらいの価値がある作品。

合作って珍しいですよね。
ひとつの物語を二人で描くって、世界観のすり合わせとか、ストーリーの方向性とか、打ち合わせるの楽しかっただろうなと思う。

感染症がモチーフになっている事で、コロナ禍のいま読むとリアリティがあり、感染やワクチンに対する学びがあった。

作中に出てくる車の車種名が具体的に表現されている。
どれも実在する車種で、オーナーの人間性が現れている。
手短にパーソナリティを表現する手法としてこれは秀逸。

プリウス
 何の変哲もない一般的なタクシー
 全く無作為無差別に巻き込まれた印象
アクア
 無駄がなくエコでコンパクト。
 オーナーのクレバーな印象を表現
ビアンテ
 人気車種ではなく、“無作為”に盗んだ印象?
 ヴォクシーならずいぶん印象が違った。
 ※オーナーさんメーカーさんごめんなさい!
トライトン
 日常使いや乗り心地は無視。
 家族を持たず自由に好きな車を選べる若者。
ファイヤーバード トランザム
 破天荒!笑
 コストを度外視憧れやこだわりを優先!

※決めつけではなく統計的な印象です。
 ご容赦ください。笑

度重なる危険を紙一重でで交わしてゆく相葉の無茶が痛快。
彼はこれまでもこうやってギリギリで生きてきたんだな、と。
相葉に引かれ、次第に大胆になってゆく井ノ原の変化もおもしろい。

新装版の最後に掲載されている前日譚•後日譚であるボーナストラック2つに加え、“レッド最高!”になる書き下ろし短編で最後にほっこり!笑


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