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2024年3月11日(月)「醗酵食品・いぶりがっこ」

今日の東京は晴れ。
朝方の最低気温は0℃近く迄低下、日中の最高気温は14℃迄上昇。もう少し気温あがると春っぽくなるんですけどねぇ。
今日は3・11。アレから13年もの月日が流れたんですねぇ。改めて、黙祷。
昨日から二十四節気啓蟄の次項、七十二候では「桃始笑(ももはじめてわらう)」(桃の花が咲き始める時季)となったワケですが、桃は咲いていても笑ってるかな?さて、

先週末は「漁師料理・ホタルイカに関する各種料理」についてお届けしましたが、今日は「醗酵食品・いぶりがっこ(いぶり漬け)」について(冒頭写真はコチラから拝借しました)。

いぶりがっこ。
コレは秋田の南部内陸地方、即ち横手市湯沢市近辺で伝統的に作られている燻製した大根の漬物ですね。野菜を燻製にして更に漬けて醗酵させる食品なんてのは、世界的に見てもとっても珍しいモノであります。秋田の代表的な郷土料理の一つであるとも言えます。
確かに、秋田の一地方の漬物であるにも拘らず、日本全国的に有名ですよね、コレ。特に居酒屋系の酒を飲ませてくれるお店ではメニューでも良く見掛けるツマミの一つじゃあないですかね。
そもそもこのネーミングですが、「いぶり」は燻す=燻製する、「がっこ」は秋田弁での漬物の意味なので、その名の通り燻製漬物の意味なんですね。

コレ作るのはまぁまぁ手間暇が掛けられていて、ザっと言ってその伝統的な作り方は以下の通り。

・新鮮でしっかりとした大根を選ぶ
・生の大根を囲炉裏の天井に吊るし、楢や桜等の広葉樹の薪を焚いて燻煙乾燥させる(その前に天日干しするなんて書いてるモノもあるけれども、そもそも冬の時季に晴れ間が少ないが為に燻製する方法が編み出されたワケなので、天日干し説は少々疑問(笑))
・燻製後の大根を、米糠や塩・ザラメ等の材料で樽に漬け込み、低温で2ヶ月以上醗酵熟成

現在では工場生産なので、流石に囲炉裏の天井に大根干すなんてコトはしておらず、工場内でやっぱり楢や桜等の広葉樹の薪を使って2日間以上燻煙し、ぬか床で40日以上醗酵熟成させるのだとか。

そんなこんなでいぶりがっこ(いぶり漬け)は出来るのだそうですが、一つ懸念事項が。
そもそも、いぶりがっこは秋田では広く作られていた郷土の漬物なワケですが、株式会社雄勝野きむらやさんが商標登録をしていて(1983年と2009年)、同業他社と商標権の使用を巡って係争が続いているらしいんです。また、ソレに加えて2019年には農林水産省がこのいぶりがっこを特定農林水産物としてGI(地理的表示)登録しているので、コレまたヤヤコシイことに。まるで、以前少々お伝えした八丁味噌の地理的表示ブランドの登録問題にも似た構図がココでも展開されつつあります。本件については、八丁味噌のような泥沼化をせずに上手く軟着陸出来ると良いのですが…。

で、カンジンのお味の方はと言えば。
燻製製品独特の香り、糠漬けにしたコトによるホド良い塩味と複雑な味わい、パリパリとした小気味良い食感と歯応え、そしてチーズ等の乳製品との絶妙の組み合わせ。いや~、マジでクリームチーズとは良く合いますねぇ。
こりゃあ、酒を呼ぶ立派なツマミですよねぇ。何せ、醗酵×醗酵の食品であるワケなので、不味くなりようがありません。
まぁ殆ど居酒屋の定番メニューになってますが、特にクリームチーズとの相性はテッパンですね。他にも、刻んだモノをポテサラに入れたり、タルタルソースに和えてパスタにしたりと、様々なバリエーションがあり、色んな場面で大活躍です。
そんないぶりがっこ、使わない手は無いですね。

明日は「調味料について考える」をお届けする予定です。


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