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社長、本日は「羽」と「歯」どちらでいきましょうか? (後編)

 さて、「羽」か「歯」か。
前編では「歯車」について書きました。
 
「私たち小さな会社の社長は、時計の歯車をかみ合わせる職人であり、また自身も歯車となって動く時もあります。歯車を活かすことも、人からは見えないところで歯車になることも、どちらも行き来できるのが醍醐味である。」と。
 
一方こうも考えるのです。
「社長は「歯車」でも「職人」でもない時間が必要である」、
それが「羽車」タイムになるのではないかと。
 
車に羽をつけてふわりと浮かび、俯瞰して組織を見てみる。
 
また、現場のことはすっかり任せて、自分自身の歯を研ぎ、
会社のビジョンを描き、経営の戦略を立て、リラックスして自由に発想する。
 
そんな時間が私のイメージする羽車タイムです。
 
家族が新型コロナウィルス感染症陽性と判定され、準備する暇もなく職場へ立ち入ることができなくなる、という経験をした人は多いと思います。
我が家も例外ではなく、家族でのおこもり期間が突然始まりました。
 
税理士事務所の所長である夫も、現場に出る事が叶わなくなりました。
お客様との面談はリスケジュールをお願いし、スタッフとの相談や指示出しは家からでもできました。
ただ、ちょうど相続の相談予約があり、これは「どうしようか?」とざわつきました。相続相談は所長案件です。
 
結果は、全く問題ありませんでした。
スタッフで対応することができたのです。
 
ううむ。よかった。嬉しい。けれど一抹の寂しさ。(所長談)
 
「社長に聞かないとわからない」
「社長がいないとできない」
このような組織は、社長のキャパシティーが会社の限界になります。
 
不測の事態で社長が動けなくなったら、現場が止まってしまいます。
 
それは困る、ということであれば、社長がいなくても(しばらくは)回る組織をとしくみをつくらなくてはなりません。
任せてみなくてはなりません。
 
そのために、羽が生えて現場から離れる時間が必要です。
 
その時間に何をするか。

歯を研ぎ、職人として技を磨くのです。

気になっていた講座に参加する、「積ん読」「包ん読」本を読み始める、会いたかったあの人に会いに行く。
専門性を磨き、必要な情報を選択し、視野を広げ、知見を深める。

いや、ただただ解放されるの良いかもしれません。
そうしようと思ってもいつのまにか事業のことを考えてしまう、それが社長なんですから。
 
夫所長も、読みたい本や資料とノートとペンを持って、誰もいない早朝の事務所で、カフェで、豪華一泊で、また、しっかり研修を仕込んで学び、と羽車タイムをとっています。
ただただAmazonプライムでドラマエンドレス、で解放されてもいます。
 
素材を仕入れることができれば、次の戦略がより現実的に見えてくるかもしれません。
リラックスすれば活力が湧き、ふっとビジネスのアイデアを神様がチラ見させてくれるかもしれません。
今働いてくれているスタッフへの感謝の気持ちも湧いてくるのではないでしょうか。
 
「そんな時間は、毎日忙しくてとれないよ。」
はい、その通り。こういう時間は意図して作らなければとれないです。
コツは「〇月◎日は羽車デーだ」とあらかじめ決めるのがおススメです。
しかも最優先で。

羽をたためば、また陣頭指揮で歯車をゴリゴリ回す、それが会社を繁盛させることに欠かせないのです。
 
ところで。
「羽車って本当にあるのかな」と気になり、辞書で調べてみました。
するとこう書いてありました。
「羽車:神体を移す時に使う輿」
え、そうだったんですか?
車に羽が生えている絵を想像していました。
まあ、それも「あり」ということでお許しいただいて。
 
それではまた。
社長の元気、応援します。


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