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出る杭は打たれてしまいます




私は目立たない女だった

いや、目立たないようにしていたのです

なぜなら目立つと

いじめの対象になる恐れがあるからなのです


友達の多い人や何か権力のある人が

目立っても

あまりいじめには

あいにくいのですが


何らかの力のない人が

目立ったことにより

いじめにあっているのを

何度も私は見てきているのです


私は人気のある男の子と

楽しく会話しているだけで

次の日からいじめにあいました


そうなのです

出る杭は打たれるのです


でもそれは弱い人に限ってで

何らかの力のある人は

打たれることはありません


私はいじめられやすい人間だったので

モテたい、目立ちたいと思っても

常に自分の感情を押さえて生きて来ました


だから大人になった今

目立ちたい、モテたいという感情が

強くなっていたのでしょう


そして内臓君からの誘いで私は

それに釣られてしまったのです


自業自得と言うものでしょうか

私は豪華客船で豪華なパーティーに

参加しているのではなくて

汽車ポッポに乗っているのです


だけど皮肉にも

私の目立ちたいという思いだけは

今日現実のものとなりました


私はもうデパートの屋上で

みんなの注目の的なのです


なぜなら私は

小学生の低学年が乗るような乗り物に

大人の男女が股がっているからなのでした

それはもうさらし者のようでした


そして安物の汽笛の音が

「ポッポー」と何度も鳴り出します


それは内臓君がボタンを

自分の意思で押しているからなのです

そうなのです汽車ポッポの先頭には

汽笛ボタンがあるのです


もうやめてほしいと

私は心のなかで何度も唱えました

だけどその祈りは届く事はなく

内臓君はこれでもかというほど

汽笛を鳴らし続けるのです


何故に彼は

汽笛を鳴らしたいのでしょうか?


私にはわからないのですが

汽笛が鳴れば鳴るほど

私達に注目が集まるのです


それは私が人生で

一番に人から注目を浴びている瞬間

になったのです


今までの私の人生のように

何処かを目指す訳でもなく

意味の無い汽笛を鳴らし

八の字コースをぐるぐる回りながら

早くこのループから抜け出したい


私はただそう願うだけなのです




続く

補足説明

優等生でとてもかわいい女の子の内代さんは、内臓君というおバカな男に「いい乗り物に乗せてあげるよ」とそそのかされて行った先が、ゲームセンターで汽車ポッポという小学生が乗る様な乗り物だったのだ。

そして内代さんは内臓君の言われるがまま汽車ポッポに乗ってしまうのでした。

ここまで読んで下さりありがとうございます。

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