タイでのエピソード・その62
—その61の続き—
次の日、S氏から早速、メッセージが入った。
「今日は忙しいですか?」
…敬語だ。気持ちわるっ。
私は「はい、仕事が入っています」と返した。事実である。
すると、「そうですか、仕事があるのは良い事ですね!頑張って下さい」といった感じで、謙虚な姿勢を貫き始めた。彼なりの、けじめの取り方なのかもしれない。
私を「個」として認めたと言うことか。確かに、以前はいい歳して右も左も分からないクズだったからなぁ。ナメられていたとしても無理はない。
でも…だからと言ってそこまで態度を変えて接してくるのも、どうなんだろう。男なら、そこはかぶき通して欲しかったけど(笑)。
急に態度変えられたら、それはそれで気持ち悪いよねぇ。ま…男は「ごめん」の一言をなかなか言えないもんである。
それから定期的に、Hからも連絡が入る様になる。Hは相変わらず、お節介焼きみたいだ。パタヤで順調に仕事に励んでおり、元気なのだそう。
「今、バンコクに来てんだよ。Sさんも一緒にいるから飲もうぜ」と、飲みの催促が来た。
彼なりの仲介を試みているのは目に見えている。奴は、そういう男なのだ。男同士の友情を、死ぬほど大切にする。…こいつも、良い意味で変わって無さそうだな。
飲みたいのは山々だったのだが、実際、その時の私には大量の文章作成の案件が入っていた。十分に食べていけるほどの…。これを逃すわけにはいかなかった。
私が「ごめん、仕事で忙しいから…」と返すと、「なんだよ〜!( *`ω´)」と返された。すまん、ヒトシ…あの時はマジで会いたかったんだよ。
金曜日には特に、大量の案件が入った。
なので金曜日の夕方からは自由時間を制限し、速攻で仕事に入れる様にスタンバイした。場合によっては寝なかった。土曜日と日曜日だけに限れば、恐らく平均睡眠時間は2、3時間ほどだったと思う。
夢中で文章を書いて、書いて、書きまくった。
今思えば、その時の経験は確実に、今の私のスキルとして活きている。
仕事の日々→二ヶ月耐えてビザを一ヶ月延長→観光ビザ→仕事…といった毎日が続いた。体だけは壊さない様に、栄養管理とスポーツジム通いだけは徹底した。
それと、何に守られていたのかは知らんが…なぜかビザ取得の際、私のパスポートには長期間に渡って、青ハン(赤ハン)が押されなかった。
そうしているうち、かなり余裕のある貯蓄が出来た。
これなら、しばらく遊んでも問題なさそう。
って、いや…これをさらに増やす。出来れば、エリートビザも取得出来るほどに…。
そう考えた私は、稼ぎ方を模索し始める。
さらにストレスの捌け口として、FacebookからケリンちゃんとK君が主催している「日タイ交流会」にも定期的に参加する様になった。
場所は大体、S氏のラーメン店。まぁ、そうなるだろうな。
その際、S氏と会う事はとうとう、一度も無かった。
その代わりに、私は二人のユニークなタイ人と出会う。とても仲良くなり、連絡も取り合う様になった。
そして…彼らとYouTubeをやる事を決意する。
—その63へ続く—
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