■ 第二十九章 : 形無き国家
【はじめに】
前々回と前回、二回に渡って清国の歴史と私なりの考察を交えてお届けした。
本当は中国と満州に関して、もっと掘り下げる必要があるが...まぁその都度、必要なら取り上げる形にしておこう。重要な単語には出来るだけリンクを貼っておくので、各々で補完して頂きたい。
現代の中華人民共和国、そして共産主義のベースを作り上げたのは毛沢東だ。
「国家主席」というポストが生まれたのも、彼の時代。彼はコミンテルンを主とするロシアの運動論、組織論をベースに政治を展開したが、後にソ連と対立し、独自の解釈によって政策を行う暴君と化した。
結果、「大躍進政策」と言う大失敗を犯し、粛清や大飢饉によって数千万...恐らく億近くものヒトが死亡。近代において最もヒトを殺した男となった。スターリンもヒトラーも、殺した数では彼に及ばない。
だがそれでも、天安門事件の例から見て取れる様に、毛沢東を神格化する動きは無くならない。現神崇拝。
これぞ中華人民共和国。これぞ、漢民族だ。
満州に関しては今回、清国の歴史に絞った。だが、彼らはそれ以外にもしばしば万里の長城を越え、中国に侵略し、漢民族を制圧していた。
北魏、遼、金、西夏、元...そういった古代の歴史から追いかけて考察するなら、もしかすると...いや、やはりと言うべきか、歴史は似た様な事を繰り返している。
この「中国」を舞台に毎回、新しいシナリオが描かれては終幕を迎える。それが数百年ごと、断続的に繰り返されているのでは無いか。
1931年の満州事変後、日本は満州国を再建し、近代産業国家として発展させた。
その14年後、日本が世界大戦で敗戦したのを境に、満州国は再建ならず再び消滅。まずはソ連に侵入され、産業施設を略奪される。
そしてその後、毛沢東は国民党軍を追いやり、全中国領土の重工業90%を占める満州国を急いで確保した。恐らくここまでが全て、出来レース。
毛沢東は生前、次の様に述べている。
「たとえ、我々が全ての根拠地を喪失したとしても、東北(満洲)さえあれば、それを以って中国革命の基礎を築く事が出来るのだ」
それが事実なら、ソ連や中国がこうして発展出来たのも、「タータリー」の遺産によるもの。中国はその意味でも、満州とモンゴルを手放したく無い。
これだけ調べても、やはりここに戻って来た。あそこには、何かがある。いや、あったのだ...。かつては。あるいは、どの時代にも。
...「反清復明」。共産党も国民党も、ここは共通していた。
漢民族の血筋はどこまでも、そこにこだわる。
国を大きくする為?カネの為?
いや...私はここの執念に、それらを超越した...まるで「本能」とも言える様な何かを感じる。
「この世の台本にそう書いてあった。」
もしそうなら...それ以上でも、それ以下でも無い。誰にも抗う術はない。
全ては、「ただの出来事」なのだから。
さぁ...今まで触れて来たこれらの歴史を踏まえ、少しずつかの組織、そして人物を掘り下げて行こう。
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