海外と国内の売れっ子デザイナーへの道とその差②
今回は国内外のトップデザイナーの在り方編です。第一回はこちら
では、トップデザイナーが出世をした後、大体どんな感じで存在して、その後どうなるのか?私の知っている限りでさくっと書いてみます。
国内・外での売れっ子デザイナー在り方の差
■海外での売れっ子デザイナーの在り方
多様な国で何度も失敗して何とか出世をできた人たちです。こんな人たちは普段どのように仕事をして過ごすのでしょうか?
下記の行動の根底にあるのは前回も書いた通り、激しい競争と入れ替わりです。出世しても安心している人はそうそういません。むしろ焦りを感じるはずです。
ここは日本と真逆に感じる部分もあるのですが、かなりコミュニケーター的な立ち回りをします。
・客の初動を掴むための一発めのプレゼンを決めてくる
=海外の場合は一業種一社(例えば、トヨタを受けてる時、ホンダがいい仕事持ってきても受けない)という暗黙の了解があるため、取りに行ける案件を逃すのは相当な痛手となるため。
・地域のいけてる若手探し、コミュニティ作り
=社内に席作ってあげて囲ったりとか、、、イケてるデザイナーたちは地価が高いところに集まりますので、co-workerオフィス的な感じも若手には嬉しいのです。
・社内若手とのコミュニケーション
=割と盛大に上司の金で遊んだりします。それは、聞こえはいいのですが、上司"だけ"が遊ぶほどの金を報酬として受け取っているということです。
でもいつ自分がどっか飛ばされるのかわからないので基本的に爽やかで、優しかった気もします。
単純に興味を持つ余裕、いじめる時間がないだけかもですが笑
・クリエイティブディレクター同士の交流
=これは世界規模の交流となり、クリエイティブディレクター以上が参加するようなおしゃれな飲み会を開催したりします。そこで、世界主要な会社や事務所の人や案件の動きを情報交換します。この時、日本人がこの会合に含まれることはごく稀です。アジアや欧米にとって、日本は良い市場ですが、別の市場という判断をしていると思います。良くも悪くも守られているわけです。
まあ、当然(無茶苦茶)ですが、アワードや主要なプレゼンは勝たなくては行けません。負けはあってはならないです。
そのため、デザイン力は維持・向上は必須です。
ただ日本に比べると詳細を積める力より大きな枠組みを作る力が優れていて、アイディアでまずは価値が見えている状態を作り出します。
そうして、例えばクリエイティブディレクターの場合、順調に行けば30才〜30後半ぐらいまでになり、その後コミュニケーターとしても開花できれば、CCO(チーフクリエイティブオフィサー)やリージョナル・クリエイティブ・オフィサーある地域の中で最も偉い人、さらには世界のクリエイティブを見るグローバルなどへ推移します。
→その後はどうなるのか?
大体の人(99.9%?)は最前線では生き残れません。
倍率も代謝も激しいので、何となく自分自身で『引き時だなぁ』みたいなものを感じて、
別の小さなお店を開いたり、
地元の製作に移ったり、
他の国のデザイン事務所の立ち上げに従事したり
となんとなく最前線から離れます。
お金や知見が溜まっており、余裕と同時に疲れもある状態です。
私は何となく感じていたのですが、スポーツ選手のような感じだな思っておりました。
=トップとそれ以外の給料の差が多く華やかともいえる。しかし、常にあたらしい才能との凌ぎ合いがあり、40代後半まで最前線で生き残れる人は稀で、どこかで路線を変更する。
ちなみに、移籍しただけで、プレスリリースが出されたり、業界紙に乗ったりすることもあります。私の参考だとこんな感じ↓
https://www.lbbonline.com/news/ddb-group-singapore-hires-masaya-ishizaka-and-kaushik-iyer
これを俯瞰してみると、とても激しい戦いが常に行われており、循環しているという感じでしょうか?
■国内での売れっ子デザイナーの在り方
やりたい仕事やアワード案件は別腹の感覚で、出世をしてきた人たちです。こんな人たちは普段どのように仕事をして過ごすのでしょうか?
下記の行動の根底にあるのは非常にデザイン自体が好きだったり、負けず嫌いだったりして、進んで仕事を”食べて”います。
国内のデザイナー人口増加や海外からの侵略はほぼないので出世すれば安定度は高そうですが、引き続き好きでないとやってられないというある意味、才能が求められる。
・プレゼンは指名が多いので、クラフト頑張る
日本の場合は、人によるところも多いですが、代理店などでなければ、クラフト(実際のデザインの詳細まで)をかなり作りたがる人が多いと思います。
・好きな仕事、アワード案件は別腹であり続ける
平たくいうと、体力や好奇心を持ち続ける才能があり、寝ないって感じです笑。若手との軋轢、時代との摩擦(=いわゆる働きすぎ、パワハラに感じる行動)はここから生まれると思います。しかし、出世したときの成功体験としては残っている、またはそれが好きだしできるということかと。
・海外に比べるとコミュニケーションやコミュニティ作りはしていない
売れっ子同士もともと知っている。脅威でもなく、新くもないのでわざわざ警戒もする必要がなく、好き嫌いもあるので、無理に交友関係の維持や拡大をする必要がない。
→その後はどうなるのか?
結構生き残れると思います。
デザイナーが自らまたは外的な要因で海外のような引退に近い行動をするトップデザイナーは国内ではあまりないのではないでしょうか。
多くは、会社の規模を保ちながら自分のやりたい仕事を受託し、行っていく。その中で大学などの教員などをやる人も出てくる印象です。
海外がデザイナー=スポーツ選手の時、日本はデザイナー=職人のような感じで特別に引退がない感じです。
しかし俯瞰してみるといつも同じ人が前線に立っているような印象もあります。
ゆるくまとめ
同じデザイナーという職業でも、海外と日本は始まりから終わりまで、かなり違うと思います。
私は、どちらかというと海外っぽかったのかもしれませんが、今は日本をベースとして働く、というより経営もしており、ここまでの紹介の真ん中ぐらいです。
若手のデザイナーさんなどで一回は海外でもと思う人がいた場合24 - 5才までに行けているような感じが理想論ではあると思います。
私はもっと遅かったので、運や準備の内容にもよると思います。
ちなみに国内と海外のデザイナー幸せ度みたいなものがあるとすると、国内の方が圧倒的に優勢かな(※日本国籍がある場合)と思います。
海外はどんなにタフな人でも疲れた、、、といってしまうぐらいなので、激しい戦いをしたくてたまらないという人以外は向いていないと言えるかもしれません。国籍を持ってないと特にきついです。
しかし、世界には、一瞬の輝き、楽しさ・興奮の頂点、世界レベルの仲間と難易度があり、デザイナーとして人として何を求めていたのか?みたいなことは埋め合わされる。見つけられるのかもしれません。
では、謎の話でした!
また:)
下記フォローしていただけると泣いて喜びます。大体ブランド、デザイン、国内外、新規ビジネスとかの話です