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オンライン企業研修に、どのWeb会議室を使えばよいのか?

新型コロナの影響で、企業では多くの集合研修が中止になったり、悪戦苦闘の末にオンラインで実施したりという状況となっています。

企業でオンライン研修を実施する場合、選択肢として挙げられるのが、

Webex, Teams, Zoom, Skype for businessの4つです。

企業の研修担当者が、この4つの中からオンラインツールを選択するときのポイントを整理していきます。

1)セキュリティ

新型コロナによって躍進したのはZoomです。わずか2ヶ月間でユーザー数がコロナ以前の30倍の3億人を突破しました。それに伴い、多くの人の関心を集めることになり、4月3日にトロント大学の2人の研究者がZoomのセキュリティ脆弱性についてのレポートを公開しました。それをきっかけに、Zoomのセキュリティ脆弱性が世界中の話題となり、Zoom社のCEOは新規開発を90日間ストップし、セキュリティの改善に取り組むことを宣言し、4月26日にZoom5.0へアップデートし、改善を図りました。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

Zoomのセキュリティ脆弱性とZoom社の対応について

エンドツーエンド暗号化

サイバー犯罪や産業スパイから情報を守るためには、エンドツーエンド暗号化(E2E暗号化)がなされていることが重要になります。これは、サービス提供者ですら情報にアクセスできないことを意味します。

暗号方式

Zoomがアップデートされた結果、4つのサービスともAES256レベルの強度の暗号化がなされることとなりました。これは、現段階では十分だと見なされる強度です。

透明性レポート

エンドツーエンド暗号化がされていない情報については、サービス提供者が情報にアクセスすることができます。WebexやSkype for businessでは、ユーザーがエンドツーエンド暗号化をするかどうかを選択することができますが、選択しない場合は、サービス提供者が情報にアクセスできます。

この場合、サービス提供者が情報をどのように扱うかを示すプライバシーポリシーと、それを実際にどのように運用しているのかを公開する透明性レポートが重要になります。Zoom社は、透明性レポートが公開されていないことで批判を受けましたが、CEOが6月末までに透明性レポートを公開することを約束しました。

2)オンラインワークショップに必要な機能

ブレークアウトセッション

ここまでは、セキュリティについての話でしたが、双方向のワークショップ型のオンライン研修を実施する場合は、ブレークアウトセッションという小部屋に分ける機能が不可欠になります。この機能がついているのは、現段階ではZoomのみです。Teamsのホームページには、ブレークアウトセッション機能をつけてほしいという要望が多く寄せられ、開発をスタートしているという情報がありますが、2020年5月段階では、まだついていません。

学び4象限6

ブレークアウトを使わない場合、一方向型(配信型)の研修(右下)になります。この場合、劣化一方向コミュニケーションとなって、リアルの集合研修よりも質が低下したものになりやすいです。

一方で、学習者中心でお互いの違いから学び合うオンライン研修(右上)では、拡張双方向コミュニケーションとなり、リアルを超えた学びの場を創ることが可能になりますが、そのためには、ブレークアウト機能が不可欠になります。

まとめ

上記の内容を整理した表を以下に示します。

セキュリティ比較

Skype for Businessは、入室にアカウントが必要になるため、人数の多いオンライン研修には不向きです。

Zoomは、暗号方式と透明化レポートの点でTeamsよりもセキュリティが弱いとされていましたが、Zoom5.0へアップデートされて強化されました。6月末に透明化レポートが公開されれば、同程度と見なせる可能性が高いです。

一方で、ブレークアウトセッション機能を持つのは、この4つの中ではZoomのみです。Teamsは、チームやチャネルという単位で会議室を開けるので、その機能を用いて対話型のオンラインワークショップを実施することも可能ですが、参加者の動きを管理する機能がないので、Zoomに比べて運営の難易度が高くなります。

業績に関する生データなど機密情報を扱う研修の場合は、参加者を10人以下の小人数にして、WebexやSkype for businessを用いて、エンドツーエンド暗号化モードで行い、一般的な社員研修などでは、Zoomを用いて、ブレークアウト機能を使った双方向ワークショップを行うという選択が、現段階では合理的なのではないでしょうか。

(5/8追加)オンライン企業研修にZoomを使用することを企業が禁止するというケースが増えてきたので、Teamsを使って対話型グループワークを含むオンライン研修の運営方法の開発も並行して進めています。

Zoomが使える会社ではZoomを使い、使えない会社ではTeamsを使うという選択ができるようにして、拡張双方向コミュニケーションによる自律分散型の社会への転換を進めていきたいと思います。

Zoomが登場する前の2013年から2015年に、すでに対話型グループワークを含むオンライン講座を実践していたので、やや先祖返りする形にはなりますが、私たちはノウハウを持っています。Teamsの機能の制約の中で最大限の価値を出すためにはどうすればいいのかを検証し、ほぼ実装可能なところまで来ました。「Teamsを使った対話型のオンライン研修」も対応可能です。Zoom、または、Teamsを使った対話型のオンライン企業研修に関心がある方は、こちらからお問い合わせください。

お問い合わせはこちら

学びの4象限についての詳しい解説は、こちらの動画をご覧ください。


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