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【緊急提案】方針決定のための観点を探るオンライン・ブレスト会議が民主主義をアップデートする

2月27日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、安倍総理大臣は全国すべての小中学校や高校などについて、来月2日から春休みに入るまで臨時休校とするよう対応を要請する考えを表明しました。

これを受けて文部科学省は28日、全国の教育委員会などに対し要請を行うことにしていて、実際に春休みに入るまで臨時休校とするかなどの対応は自治体や学校の判断に委ねられるとのことです。

千葉市の熊谷俊人市長は27日夜、ツイッターで「全国一斉春休みまで休校…いくらなんでも…。社会が崩壊しかねません」と指摘し、さらに、「医療関係者や福祉関係者、警察・消防など社会を支える職種で、親等に預けられない事情を抱える方々を何とかしなければ…」などとも書き込みました。

つまり、政府の要請を受けて、これから、全国の自治体や学校が、臨時休校にするのか、登校にするのか、または、第3案を考えるのかを協議するという事態になったということです。

政府側も混乱している様子が、こちらの記事からうかがえます。

協議するためには、犠牲になる人たちが出ないように、多様な関係者の視点を取り入れて案を練る必要があります。本来は、国レベルで案を練る必要があると思いますが、地域によって状況が大きく異なるので、現場に近いところで状況に応じた案を出し、実行するほうが、取りこぼしが少なくなるのではないかと思います。

私が、全国の自治体や学校が、これは、あくまでも「要請」であり、「命令」ではないことを理解し、それぞれが知恵を絞って、現状に即した判断をしてほしいと心から願っています。それが実現すれば、日本の民主主義がアップデートされることになると思います。

そこで、私が提案したいのは、多様な関係者を招いた100名規模のオンライン・ブレスト会議を行い、集合知を生み出して、意思決定の参考にすることです。

短時間で集合知を形成し、意思決定に役立てる

私は、オンラインファシリテーターとして、数多くのオンラインワークショップを行ってきました。特に、ホールシステムアプローチと呼ばれる「全員で話し合う」タイプのワークショップのオンライン化に取り組み、オンラインコミュニティ運営を活性化させたり、組織開発にオンライン対話を取り入れたり、ということに取り組んできました。

その経験を通して気づいたのは、多様な関係を招いて100名規模でオンライン・ブレスト会議をやると、自分だけからは見えなかった多様な観点を得ることができ、短時間で全体像を把握できるということです。時間帯を変えて回数を重ねれば、参加できる層が変わり、さらに多様な観点を得ることができます。(例えば昼間は主婦が参加しやすく、夜は勤務している人が参加しやすいなどがあります)

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このようなやり方で、短時間で全体像を把握できるというのは、オンラインコミュニケーションのテクノロジーの発展によって、最近、可能になったことです。それが、今回の意思決定に生かされれば、テクノロジーの活用によって民主主義がアップデートできる可能性を、多くの人が体験することになります。

問題が起これば、オンラインにぱっと集まって、それぞれがそれぞれの視点から見えていることを「情報として」出し合えば、それらを総合して全体像を把握することができます。それを参考にすることで、犠牲になる人が出にくい案を考え出しやすくなります。

・学校の先生の観点
・子供を持った親の観点
・学童保育などを経営している人の観点
・子持ちの医療者が多い病院経営者の観点
・感染症の専門家の観点
・オンライン教育に関わっている人の観点
・スマホなどのデバイスが家にない家庭の観点

考えられる限りの多様な人たちを集めて、意見を聞きあうことで、意思決定をするための重要な情報を得ることができます。

Zoomを使ったオンライン・ブレスト会議のやり方

Zoomを使ったふせん会議なども開発されていますし、ワークショップデザインは、いくらでも丁寧に作ることができますが、今回は、スピードが大事な局面ですので、簡単なやり方を紹介します。

1)参加者がZoomにログイン(プロアカウントで100名まで入れます)
2)主催者が話し合いたい内容について説明する
3)ブレークアウトルームに分かれて、3-4人でブレスト会議をする。
  ※できれば、各ルームの話し合いを録画する。
4)ブレスト会議で出てきた考えは、グーグルドキュメントに書き留める。
  アイディア(属性) のようにしておくとよい。
  例)小学校低学年の子が学校に行かないと医療が破たんする(看護士)
5)メインルームに戻って、全体に共有したほうがよさそうなアイディアを共有し合う。
6)オンライン・ブレスト会議終了後、ブレークアウトルームの録画をgigafile便などで回収し、Youtubeに限定公開でアップして再生リストにまとめる。また、主催者は、グーグルドキュメントを統合し、URLを参加者に共有する。
7)会議の参加者は、時間の許す範囲で、他のルームの録画を倍速で視聴し、気づきをグーグルドキュメントに追加する。

私たちの周りには、オンラインファシリテーターのコミュニティがありますので、そちらを紹介することもできますが、全国にある多数の自治体や学校をサポートするだけのリソースがないので、4日間で自習可能なメール講座を作りました。こちらを参考にすれば、まずは、やってみることができます。

当事者意識をもって立ち、話し合おう

今回の安倍総理の発表を聞いたときに、最初に受けた印象は、「共働きの家庭はどうなる?」でした。

しかし、よく記事を読むと「要請」であり、「命令」ではないということなので、私たちが思考停止せずに、当事者意識をもって動き、意思決定者が、多様な当事者からのフィードバックから学習して案を作り上げることができれば、犠牲を最小限に留められる可能性があるということが分かりました。

話し合うために集まることが難しい状況ですが、オンラインに100名が簡単に集まって話し合うことができる環境があり、そのためのオンラインファシリテーションも確立しているということが、多くの意思決定者に広まれば、今回の危機を民主主義をアップデートする機会として生かせるのではないかと思います。

みなさんにお願いがあります。この情報を、みなさんが関係している学校や、市町村へ伝えてください。

そして、オンラインでの話し合いを始めてください。

余力があれば、あなた自身がオンラインテクニカルを学んで、オンライン・ブレスト会議をサポートしてください。

日本全国で、私たちが、当事者意識をもって立ち、全体像を把握するために協力し合えば、日本は変わっていくでしょう。

それを支えるテクノロジーは、すでに存在しています。

一緒に、やりませんか?

(追記)茨城県石岡市在住の平方さんは、石岡市長、石岡市教育長に向けて「感染対策をしたうえで自主登校させてください」という提案を送り、署名を集める活動を開始しました。

感染対策をしたうえで自主登校させてください

どんな決定にもメリットとデメリットがある。全体像をつかんで、もっとも犠牲が小さくなるように粘り強く考えることで、民主主義が育っていくのだと思います。





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