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マンホールからベンガルトラまで その18

ショッキングトイレ


次の日は早めに起きてラジオ体操して、軽くお散歩。
今日の準備のために体をほぐしておかなくちゃ。やることは決めていた。
あれに乗りたい。
 
湖近くにたくさんの自転車が置かれている小さい店がある。
観光客用のレンタサイクルだろう。
散歩中に見つけた時に店のおばちゃんに自転車を借りたいというと、料金のほかにパスポートを預かりますと言われて躊躇していたのだった。
だってパスポートって無くしたら大変だし、外国人のパスポートは高値で取引されると何かの漫画で読んだような気がしてびびっていた。
随分昔の漫画だし信憑性はないけど。
 
でも、よく考えると商売でやってるんだから訴えられるようなことはしないだろうという結論に達して、やっぱり借りようという気持ちになったのだった。
 
お願いします。と店のおばちゃんにパスポートと料金を手渡すと、すんなりママチャリを借りることができた。

まずはこのメインストリートをひたすら湖から離れる方向へと自転車を漕ぐ。

相変わらず道が悪いぜ、ネパール。
タイヤはガタガタ振動を続ける。
この日は午後から特に気温が上がって坂道での立ち漕ぎでは汗が噴き出す。

途中の商店でカラフルなアイスを購入。
ふふん、ここはオレンジ味にしましょう。うわあ、ホットな体にひんやりが浸み込むわあ。
日本のより味が濃ゆくて。美味い。
暑い日の自転車とアイスの組み合わせは青春の味だ。テンション上がっちゃう。
充電完了!さあ、先に進むぞ。
 
特に目的のない自転車旅、歩きよりも距離を移動出来るから何か違う面白いことがあるんじゃないかなーと思ったけど、2時間漕いでもめぼしい事は何もなかった。期待はずれ。ははは。
まあ、異国の街並みを眺めながらサイクリング出来ること自体は楽しかった。でも、そろそろ折り返すとするか。
 
半分くらい帰ってきたところにある市場に寄ることにした。行きにも市場の存在は気づいていたが、もっと面白そうなものがあるかもしれないから時間があったら帰りに寄ろうと思っていたのだ。
 
市場は建物ではないんだけど、全面に屋根がついてて暑さや雨を凌ぐことができるようになっている。そしてとても広い。

区画ごとに分けられていて、数百件のお店が入ってるんじゃないだろうか。
野菜や果物などの食べ物はもちろん、日用品や小さめの家電、オシャレな女性用の服やバッグ。なんでもありそうだ。

これは市場ではなく、ネパール版のショッピングモールなのかもしれない。
お、人気のアウトドアブランド、ザ・ノース・フェイスが安く売ってるぞ。
あれ、こっちにも。
値段が更に安い。
というか安すぎる。値段は日本で売っている10分の1以下だ。
うーん、こりゃ偽物だな。
正直素人めに見分けはつかないし、デザインとかカッコいいから買う
人は多いだろう。
 
しかしお客さんが少ない。朝、行きに見た時はもっと賑わっていた
ので、一息つく時間帯なのかな。

遊びながら店番してる子供たち

お店の子供達が遊んでいる。奥の方にはビリヤード場もあって大人の
男達がたくさんいた。
おー、こういう大人の遊び場もあるんだ、いいねえ。

更に奥にはトイレを見つけた。
そうだ、ここでトイレに行っておこう。自転車に乗ってるとなかなか
行くタイミングがなかったんだ。
って、げっ⁉︎
 
トイレの入り口からして足元が崩れていてボロボロだった。まるで入るのを拒否しているみたいに。

そして扉を開けると床が最悪の汚さ。

うわあ、なんかティッシュやらいろんなものが散乱している。

ふと視線を上げてみるとそこには世にも恐ろしい光景が・・・

ギョエー‼︎

結構尿意を我慢していたのだが、それでも諦めてしまうレベル。

大急ぎで自転車まで戻って街の外れまで走り、草っぱらの自然溢れる中でお花を摘みましたよ。

あれはあかん。

トイレはお客さんが一番見てる大事な部分だよ、トイレ次第でそこのイメージが全然変わるからね。私みたいに。
あの市場のイメージは私の中で激変していた。
それまではみんなが楽しめるショッピングモールだったのに、もう最悪のトイレのことしか思い出せん。

トイレは修繕して、こまめにお掃除しましょうと管理者に言いたい。お店のためにも。
 
でも、私は安くても小綺麗に掃除の行き届いてるホテルを選んでいるから今まで当たらなかっただけで、ネパールの現地人用の公衆トイレは実際こんなものなのかもしれない。

インドの公衆トイレも酷かったもんな。ここよりマシだったけど。
次からは気をつけよう。

あの光景はトラウマになりそうだ。

しかし、どうやって手洗い場にう○ちしたんだろう。

あと、どういう気持ちでやったん?

でも、手洗い場に無理やり腰掛けようとしてる人の姿を想像したら笑いがこみ上げてきた。
 

さーてさて、汚い記憶は水に流しまして。
自転車を漕ぎ漕ぎ、ガタンガタン言わせながら帰ってきて、お店に戻るとパスポートも無事に私の手元に戻ってきました。
 
やっぱりパスポートが盗まれるんじゃないかという心配は取り越し苦労だったみたい。
うん、確かに私のパスポートだ。

ホテルに帰ろうとすると歩道で子供が二人、大きいバイクに乗って遊んでるのを発見。

すかさず写真を撮ると、子供はちょっと待っててと言って家から兄弟全員を連れてきた。

みんなしてバイクの前ではいチーズ。5人兄弟か、やっぱりこっちは兄弟が多いね。
ピースで写真を撮るのは世界共通なのかな。微笑ましい家族写真。
 

その夜も晩飯の後にエマからレッサンフィーリーリーのギターレッスンを受ける。
上手くなってきたじゃないかとホテルのオーナーに冷やかされながら今日も瓶ビールをちびりちびり。

いい夜だ。1日の締めはこうでなきゃ。


バイク修理屋さんの子供たち みんな撮られるのが好きみたい

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