「IPOゴール」の揶揄では終わらせない。次の議論に向けた「上場後の成長の谷に関する共同研究レポート」
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「IPOゴール」の揶揄では終わらせない。次の議論に向けた「上場後の成長の谷に関する共同研究レポート」

弊社、グロース・キャピタルでは、2020年11月より一橋大学の鈴木教授とファイナンス分野における共同研究を行っています。

本日、研究の第二弾として日本のベンチャー企業の上場後の成長について共同研究レポートを発表しました。

レポートはこちら: 上場後の成長の谷_共同研究レポート_20210830

研究では、日本のベンチャー企業の

・上場後の売上、営業利益、時価総額の成長分析
・ナスダックにおける上場後の時価総額成長との比較
・上場後の成長阻害要因の分析

を行い、研究を通じて、日本のベンチャー企業が上場後、大きな成長が実現できないでいることがわかりました。


上場後の停滞は、日本からイノベーションを起こし、新産業を生み出す上で、大きな課題です。

ここまでベンチャーの上場後の成長停滞を「IPOゴール」などの言葉で揶揄することはあっても、その構造的課題が真剣に議論されることはありませんでした。

上場後の成長は今まで議論が行えていなかった、日本の大きな伸び代とも言えます。

本レポートをきっかけに、産官学で連携してこの課題にアプローチし、日本から新産業が生まれ、世界で戦える企業を皆さんと共に生み出していきたいと思っています。

本noteではレポートを抜粋してご紹介します。

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上場後の成長の谷に関する共同研究レポート(抜粋)


この30年で日本企業は世界の時価総額ランキングから姿を消しました。

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この30年、日本から大きく成長し、世界で戦える企業が生まれていないのは、どこがボトルネックになっているのでしょうか?


この10年でスタートアップの資金調達額、IPO数は大きく伸びました。

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ではIPO後の成長はどうでしょうか?


上場後の業績推移
急成長が期待される新興市場において、上場から3年間で1/4の企業は売上成長が見られず、中央値の企業でも売上が1桁成長にとどまっている

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時価総額推移
約半数の企業(中央値)で、時価総額がIPO直後の期末から3年間でほぼ成長できていない

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高時価総額到達企業
新興市場への上場後、時価総額5,000億円を超える会社はメルカリ、ぺプチドリームの2社、1兆円を超える会社は0社であった(2021年3月30日時点)

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つまり日本のベンチャーは上場後、大きな成長が実現できないでいます


海外と比べるとどうでしょうか?


日米比較(対ナスダック)
ナスダックの方が上場後、時価総額が成長。IPO直後期末から3期間で、中央値で4.4倍、平均でも1.7倍の成長率の差がある

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高時価総額到達企業数(対ナスダック)
期間中のIPO数はほぼ同じであるにも関わらず、高時価総額到達企業数は大きな差がある

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ナスダック高時価総額企業一覧
ナスダックでは上場時の時価総額が日本の新興市場よりも大きい、という違いはあるものの、IPO直後期末で時価総額1,000億円未満だった会社で直近5,000億円を超える会社が9社、1兆円を超える会社も2社生まれており、上場後の成長も日本と比べ大きい

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なぜ日本のベンチャーは上場後、成長が停滞してしまうのでしょうか?


上場後の成長を阻害する主な要因
「成長投資」「人材採用」「経営ノウハウ」「資本市場とのコミュニケーション」を主な要因として挙げさせて頂きました。特に上場前後の急成長期に成長投資を絞り、成長のポテンシャルを減らしてしまうことが大きな要因だと考えています

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課題解決に向けて
本テーマはそれぞれのベンチャー企業だけで解決できることではなく、産官学で連携して、アプローチすることが必要です

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ここまでご覧頂き、日本の上場ベンチャーに対して残念な印象を持たれたかもしれません。しかし、全体の傾向は芳しくないものの、上場後も大きく成長を実現した企業は何社もあり、それらの会社の成長を紐解くことで、ベンチャーが上場後も成長を実現するヒントが見えてきます。

今回、上場後も大きな成長を実現した企業4社の上場後の打ち手、そして各経営者からのコメントを紹介させて頂きました。


オイシックス・ラ・大地

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ラクスル

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ブイキューブ

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マネーフォワード

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また、関係者として東京証券取引所 上場推進部 宇壽山課長、経済産業省 産業創造課 安藤課長補佐にもインタビューさせて頂きました。


東京証券取引所 上場推進部 宇壽山課長

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経済産業省 産業創造課 安藤課長補佐

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ご協力頂いた皆様ありがとうございました。


本レポートのまとめ

・スタートアップの資金調達額、IPO数はこの10年で大きく増加
・しかし上場後、大きく成長する企業は少なく成長が停滞

上場後の停滞は、日本からイノベーションを起こし、新産業を生み出す上で、大きな課題です。

しかし見方を変えると、上場後の成長実現は今までフォーカスしていなかった、日本の大きな伸び代とも言えます。

この10年で上場ベンチャーが数多く生まれ、そこには上場まで辿り着いた優秀な経営陣や、事業が何百とあり、大きな成長ポテンシャルがあります。

産官学で連携して本課題にアプローチし、日本から新産業を生み、世界で戦える企業をぜひ生み出していきましょう。

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フルレポート: 上場後の成長の谷_共同研究レポート_20210830

レポートに関するお問い合わせは下記、弊社HPからご連絡ください。



上場ベンチャーの株式での資金調達と調達後の成長戦略の実行を支援することで、上場後のベンチャー企業が成長をさらに加速し、日本およびグローバルのトップ企業となることを支援しています。 モルガン・スタンレー証券(資本市場部、クレジットリスク管理部)/マイネット(CFO、副社長)出身