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42km先の未来が期待通りでなくとも

期待した通りにはいかなかった。3時間23分29秒。

湘南国際マラソンが中止になって、行うことになった駒沢公園でのセルフ初マラソン。2時間50分を目標に走り、26kmまでは順調に3分55秒〜4分の間で刻み続けた。27kmで両太腿が攣った。

ハーフを超えて足にピキっと攣りそうな予兆が起きて不安はあったが、持ち堪えてくれと祈った。24kmを過ぎたところで脚が軽くなってきて、これは30km以降も行けるかもしれないと一瞬希望が見えた。

けれども、マラソンは一筋縄でゴールまで辿り着かせてくれなかった。やはり、「まぐれ」でたどり着ける場所ではない。難しい。

太腿が攣った時「終わった」と思った。15kmを残して脚が攣った状態で走り続けるのはきつい。次の周回が終わったら止めようと思った。正直、頭の中では「やめたい」がぐるぐるしていた。

あのとき走り続けることを選んだ理由は、このチャレンジがダメだったとしても諦めて終わりたくはないと思ったから。初めてのマラソンで諦めてしまったら、次も「いいや」と手放してしまう気がした。そんなのは嫌だなと思った。

とはいえ、弱い方の自分は「やめたい」という気持ちと葛藤していた。サポートの友達に「どうする?完走する?」と聞かれて、コクンと頷いた時も内心「ああ、言ってしまった。今やめると言えば楽になったのに」と盛大に後悔した。脚は重たくて、走り出せばすぐに攣る。終いに脚の筋肉という筋肉すべてが痙攣して笑えてくる。次の1周が永遠に感じる。駒沢公園って2.1kmだよな。実は道の長さが変わるのだろうか。そんなはずはない。周回し過ぎて意識が朦朧としてきたのだろうか。

永遠に感じるほどの距離を走り切れたのは一緒に走ってくれた人たちや応援やサポートに来てくれた人たちの声だった。「もうやめたい」がこだまする頭のなかで、横から励ましてくれる言葉が最後まで「大丈夫」だと思わせてくれた。

42.2km走り切った時、自分が思っていた以上の人たちが応援に来てくれていたことに初めて気づいた。20人は超えていたと思う。初マラソンをこんなにも多くの人に最後まで見届けて貰えて、サポートして貰えて幸せだった。抱きしめられた安堵で少し泣きそうになった。

目標に対して達成することはできなかった。マラソンは簡単ではないんだなと思い知らされた。

しかし。

多くの知り合いの前で42.2km走り切れて、頑張ってきて良かったと感じた。半年間努力してきて、この42kmも綺麗な形ではなかったけど、終えることができた。その緊張感や高揚感を全て共有できたことが嬉しかった。(26kmまでスカイランニング世界王者の上田瑠偉選手が引っ張ってくれて、真後ろで走れて幸せでした。好(ハオ)。)

もう一つは、2時間50分を目指せる状況を作れたことが純粋に嬉しかった。2020年に体調を崩して動けなくなってから、ランニングから離れていた時期が約1年半続いた。もう記録を追い求めることは無理なのかと思い、戦意を失っていた部分もあった。そんな過去から、ここまで辿りついたことを思えば、初マラソンで2時間50分を目指してスタートラインに立てただけで感慨深いものがあった。

42km先が期待通りの未来でなくとも、本当に走り切れて良かったと思える初マラソンだった。

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