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正義感にも酔いが回ると

街中に“道徳警察”が存在し、
髪の毛や、肌の露出に対して取り締まりがあり、
違反するものには処罰が与えられる。

これは小説や映画の世界の話でなく、
どこぞの校則の厳しい中学、高校の話でもなく、
2022年のイランのテヘランでの話である。

ヒジャブといって髪を覆い隠すものの使途が適切ではないとみなされ、
拘束され、のちに死亡した女性。
宗教や、文化など、時間と共に積み重ねられてきた正しさが、
その形を変えていくことは容易ではない。

作者であり主人公は、
1979年のイランのテヘランにて秘密の読書会を開く。
好きな小説を読んで、それを分かち合うことですら、
秘密にしなければならかった時代背景。
街中で銃声が鳴り響く日常。
イスラムの思想の元、男に生まれて、女に生まれて、
それぞれが心に抱えた葛藤を文学の中に感情移入させながら、物語は進んでいく。

ロリータ=幼くて可愛い女性
くらいな印象も間違いではないのだろうけど、
もう少し言葉の奥行きを知って、いつの時代も知識は武器であると同時に、不幸や理不尽から身を守る防具であると、文字から力を受け取る器を持つあなたに。

<おすすめBGM>
KendrickLamar/Alright


#テヘランでロリータを読む
#アーザルナフィーシー
#市川恵理
#白水社
#読書記録
#KendrickLamar
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