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夢見モグラは空を待ち侘びて 54日目

モグラは熱にうなされている間、
一度ネガティブな思考になると、
それは洪水のように止まらなくなっていた。
このままこのベッドの上で、
人生が終わりを迎えてしまうのではないか。
もう走り回ることも出来ないし、
ヘンテコな踊りを踊ることも、
自由にメロディーを奏でることも、
好きな形のネジを集めることも、
ひたすら本を読んで眠たくなることも、
誰かと思いきり笑うことも、
どれも叶わないと思うと急に悲しくて、寂しくて、泣き出してしまった。
まだまだどれも、し足りないと思うことばかりであった。

泣くことにも、嘆くことにも疲れ果てると、今度は、
心の中に何か悪いやつが、住み着いているのではないか、
そう結論付けたモグラは、
その悪いやつを追い出すために何ができるかを考えた結果、
今、身体の中で必死に戦っている、自分自身の身体のパーツをひとつずつ鼓舞していった。

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病(やまい)は木からの話。

次の日、どうしても嫌いな授業やイベントがあって、
僕はいい感じに風邪を引く必要があった。
とはいえお遊戯会や、学芸会では常にセリフは一つの末端の端役。
仮病を使ってもバレてしまうであろう演技力。
具合が悪いという、熱があるという、
決定的で、確固たる証拠が必要なのである。
わざと薄着をして外に遊びにいく、それでは少し弱い、
水浴びをするというのは、正直ちょっとしんどい。
そこで僕は和室の中央に置いてあったあるものに目をつけた。
ピピっ。42℃。
これではダメだ。すぐに病院送りにされてしまう。
ピピっ。35℃。
これも違う。もう少し近づける必要があるな。
ピピっ。38℃。
よし、これぞ完全な微熱である。
確固たる証拠の精製に成功。
幼き日の僕は体温計をいい感じに炬燵の中であっためる技術の鍛錬に勤しんでいた。


病は木から。
僕のMacBookが盛大に誤変換をかましてくれたので、
予定を変更して、そのままでなく、でなんとなく描き進めようと思う(正気かよ)。

昔々、大きな大きな木が生えていた。
その根っこを走り回っても半日、いや、丸一日はかかるような、
その木の天辺、頂上まで登ると、地球上をまるっと見渡せるような、
とてもとても大きな木が生えていた。
多くの人は雨が降るとその木陰に隠れて、雨宿りをしたし、
その枝や枯れた葉を燃やし、薪にして暖をとった。
常にそこに暮らす人々と寄り添い、その一部始終を見守っていた。
いつしか少しずつ背丈伸ばしていたその木は、
ついに太陽や、月、星々に手が届くところまできていた。
初めは皆一様に喜んで、拝み、祈り、大切にしていたその木ではあるが、
それ以上背丈が伸びては、太陽の光を遮り、浴びることはできず、
このままでは草木や、作物が弱ってしまう。
今度は切り倒せ、という人たちと、
いいや、絶対にしてはならない、守るべきという人たちに分かれて、
その木を巡っての争いが始まった。
長引くだけ長引いた争いの末、決着はつかなかったが、結果全ては疲弊した。
どちらの人々も、そして大きな木も。
切り刻まれた木は、その傷口から何か悪いものを取り込んで、
徐々に葉を弱らせ、枝を細らせ、最後には枯れてしまった。
それを取り囲んだ人々は、
心を痛めて、たいそう木に病んだ///

貴様はおおよそ、この数十分もの時間を使って何を書いているんだろうとかは、一旦置いといて(無駄なものって時には必要だったりしますよね)。

書いている途中にふと疑問に思ったのは、
恋の病、
というのはあるけれど、
愛の病、
というのはあまり耳馴染じみがない。
どうやら恋というのは病気らしいし、
どちらかと言えば愛は薬に近いものなのかもしれない。

という上記の文章と全然関係ない発見をしていたという話。
それではまた明日。

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余談とともに。

本日の表紙はhikari_cpx88さんの写真を使用させていただいております。
おおよそ残り一週間なのか、そうではないのか、探りながらの、緊急事態宣言中との皆さんとの心の契約中のこの文章、毎度立ち寄ってくれている皆さん、まとめ読みしてくださっている方も、ちらっとの様子見してくれている方も、ありがとうございます。
誰かの暇潰しであるといいなと思いながら(大事な時間を潰してたまるかとかも思いつつ)、ざっくりおおよそ一日一時間、自分にとっても文章を書く鍛錬や、新しい発見の場になっていて、レベル、現在地であったり、余白、伸び代を把握するにはとても有意義な時間でした。(あとサボり癖を矯正する意味もある)
表紙の写真、たくさんの投稿ありがとうございます。とても助かりましたし、モチベーションになりました。使用されなかった皆さん、申し訳ございません。
残るわずかな?期間も最後まで楽しんでいただけると幸いです。よろしくどうぞ、ご贔屓に。

褒められても、貶されても、どのみち良く伸びるタイプです。