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ロック/ポップスはいつからラップを取り入れたのか?

今でこそ、ロックやポップスにラップが入るのは珍しくないですよね。
では、いつからその動きは始まったのでしょう?


以前、こんな記事を書きました。
日本はいつからラップを取り入れたのか、という話です。

これを書いたいる時から、「では洋楽は?」というギモンがあったので
知っている曲を時系列に並べて今回の記事になりました。

ただし、今回書くのはあくまで個人的な考えで書いているので、もし事実が違っていたらすみません。 素人の文章だと思ってタイタニック号なみの大らかな気持ちでお読みください(^^


それでは早速行きましょう。
今回も時系列で書きます。

1970年代

まず、「ヒップホップの誕生日」が1973年8月11日だそうです。
ニューヨーク、ウエストブロンクスのパーティから生まれました。
その後、1974年11月12日にアフリカ・バンバータが「ヒップホップ」という概念を提唱しました。

その後、最初に商業的に成功したのがこの曲。
その間に6年間も過ぎています。

1979年9月16日 The Sugarhill Gang - Rapper’sDelight(US:36 UK:3)

また、これの少し前、1979年3月25日にはThe Fatback Band - Kin Tim Ⅲ
もヒットしていますがどちらにせよ1979年ですね。


その1973年から1979年の間にこの曲がリリースされています。
今回の結論です。 この曲が一番最初ではないでしょうか。
(日の目を見ないマイナーな楽曲除く)

1975年8月28日 Aerosmith - Walk This Way(US:10)

そう、1986年7月4日にRun D.M.C.がカバーした楽曲の本家エアロスミスによるオリジナル曲です。 いわゆる完全な「ラップ」ではないにしろ、歌によるメロディというよりは言葉でリズムを刻んでいます。

この歌い方に関しては、ヴォーカルのスティーヴン・タイラーこう発言。
「言葉をパーカッションの要素として使うのが好き 」
というのも、彼は元々別のバンドでドラマー兼シンガーという時代があったので、そこからこの考えになったようです。

果たしてこの時点でS・タイラーがラップを意識していたのでしょうか?
また、この曲にRun D.M.C.によるラップを乗せる提案をしたプロデューサーのリック・ルービンの考えも気になるところです。

そして「ラッパーズ・ディライト」の1979年を経て80年代へ。


1980年代前半

ロックの教科書的には、この曲が初めて白人がラップを取り入れたという説明をよく目にします。 

1981年1月12日 Blondie - Raputure(US:1 UK:5)
間奏部分にボーカルのデビー・ハリーによるラップが入ります。


同じ1981年5月にはブロンディーと同じニューヨーク・パンク・シーンで活躍していたトーキング・ヘッズのメンバーが別ユニットでこの曲を発表。
さすがヒップホップ誕生の地というべきでしょうか。

Tom Tom Club - Wordy Rappinghood(1981 US:102 UK:7)
完全にラップ形式で歌ってますね。 邦題は「おしゃべり魔女」
いやー、1981年は早いです。

ちなみに楽曲の一節はモロッコの童謡「A Ram Sam Sam」を取り入れているようです。 それもまた凄いセンス。


そして感覚の鋭いアーティストがここにも。
当時はまだ珍しかったドラァグ・クイーンを一般に広めた
ディヴァインがこの曲を発表。
あまり取り上げられることもないですが、明らかにラップです。

1982年3月12日 Devine - Alphabet Rap
歌詞とサウンドの作りはチープかもしれませんが、とにかくこの時代に
ドラァグ・クイーンとラップをやっているセンスが凄すぎます!
ディバインがドラァグ・クイーンで評価された(?)超B級映画「ピンク・フラミンゴ」なんてヒップホップ誕生前の1972年ですよ??
これもっと評価してほしいなぁ。


感覚が早いと言えばこの人、セックス・ピストルズのマネージャーだった
マルコム・マクラレンは初めてレコードをターン・テーブル上でこすって音を出す「スクラッチ・ノイズ」を初めて取り入れた楽曲を発表。

Malcolm McLaren - Buffalo Gals(1982 UK:9)
壁に絵を描くグラフィティやブレイク・ダンスもMVで扱われていますね。
パンクを広めた次はヒップホップというセンスが驚愕。


こう見ると、やはり早く楽曲に取り入れる人は全員センスがいいですね。
当時ワム!としてデビューしたジョージ・マイケルもその一人。

1982年6月16日 Wham! - Wham Rap! (Enjoy What You Do?)
(ただし、リリース直後は売れず1983年1月の再発売でヒット)
これはジョージ・マイケルがクラブで先の「ラッパーズ・ディライト」を踊っていてインスパイアされたようです。  
やはり色んなアーティストが「ラッパーズ~」に刺激されたのですね。
にしても、それをすぐ楽曲化させるジョージの能力に脱帽。

この時期にやっとヒップホップのレジェンド曲がリリースされています。
そう考えると、これまでの楽曲がいかに早いかがわかりますね。
1982年    Africa Bambaata - Planet Rock(UK:53)
1982年7月1日 Grandmaster Flash - The Message(US:62 UK:8)
1983年8月10日 Run D.M.C. - It's Like That

同じ1983年8月にはこの曲を含むアルバムが発売。
ジャズ/フュージョン界のハービー・ハンコックもさすがに臭覚が良い。

Herbie Hancock - Rockit(US:43 UK:27)
スクラッチ・ノイズのお手本のような使い方ですね。
この近未来感のロボット映像のMVは刺激的過ぎたのか当時「放送禁止」になりました。


そして白人がラップを消化したポップスの好例がこれ。
ワム!と同じUKデュオのペット・ショップ・ボーイズのこの曲。

1984年4月9日 Pet Shop Boys - West End Girls(UK:1 US:1)
(実はこの曲もこのタイミングでは売れず、UKで121位。
 1985年の再リリースで英米1位の大ヒットになりました)


1980年代中盤


そして時代は更にロックとラップの融合へ。
その幕開けはやはりこの曲でした。

1986年7月4日 Run D.M.C. - Walk This Way(US:4 UK:8)
エアロスミスのオリジナルから11年。
当時低迷していたエアロスミスが復活するきっかけにもなりました。

このエアロとのコラボを考えたプロデューサーのリック・ルービンは次に
このパンク/ハードコア・バンド出身の白人3人組をプロデュース。
ここに決定的な「白人がロックにラップを取り入れた」楽曲が誕生。

1986年11月15日
Beastie Boys - (You Gotta) Fight For Your Right (To Party)(US:1 UK:7)


この曲をきっかけに、ロックとラップの融合は進みます。
その波はヘヴィ・メタルの世界にまで影響を与えました。

1987年9月8日 Def Leppard - Pour Some Sugar On Me (UK:18 US:2)
先の「Walk This Way」に触発されたとジョー・エリオット(Vo)も発言。


1990年代

この後の1990年代はラップを取り入れたロックの「ミクスチャー・ロック」がアメリカで流行ったように、ラップとロックの同居が確立されました。
一方、イギリスは同時期にブリット・ポップというビートルズの流れをくむメロディアスなサウンドになっています。
この対比も実に面白いので、いつか取り上げたいですね。

以上、今回は「ロック/ポップスはいつからラップを取り入れたのか?」
というテーマで書いてみました。

一つの参考にして頂ければ幸いです。

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