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第1章 ヨウとおジィ 昔ばなし 20

僕は、復学した。別に学校へ行かないと将来が大変だという危機感が湧いたわけではない。自分の疑問を他者に投げかけてみるという、今のところ、小さくてほとんど意味を持たないが、自分なりのアクションを起こしたことで、ホームルームや昼休みや、強制的な発表というくだらないものを少し無視できると思ったからだ。

不登校は、それほど珍しいものではない。僕が登校して、朝の会で、西脇が、「松下は来たか?」と僕に視線を向けずに、出席名簿に目を落としたままぼそっといっただけだった。おジィとの悶着で、まだビビッているのだろう。

三時限目は情報処理の授業で、パソコンルームにクラスごと移動した。情報処理では、簡単なホームページの作成とアップロード、ワープロソフト、表計算ソフトの基礎を学ぶ。その日は表計算ソフトを使用して、データベースから幾つかの関数を使って、平均や合計を算出するということを習った。

PCを使っているというだけで、数学の確率やベクトルに比べると、ずいぶん簡単な内容だ。僕は提出シートをすぐに完成できたので、昨日サイトにアップした質問に、返事がきているかどうか確認した。

どうすれば、世界は変わるんだいという件名だけでは、うまく伝わらないので、「世界を変えたいと考えたとき、たとえば戦争や、妙な宗教という短絡的な発想しか浮かびません。

しかし過去、軍事力や怪しげな説法を用いて、世界をいい方向に導けたことがあるとは思えません。世界を変えるための方法論を伺う前に、まず、あなたにとって、世界が、素敵だな、ありだな、と変わるということはどういう変化をさしていますか? 蛇足ですが、エリック=クラプトンは、好きな人の心の光になった状態をさすみたいです」というコメントを加えておいた。

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