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第1章 ヨウとおジィ 昔ばなし 24

「閲覧したと思うけど、バスケ関係のことがほとんどだけどね。NBAに入りたいから、どうやって道筋立てればいいのかなと思って。バスケの腕だけで、いきなりアメリカの大学に入れる奴なんて、今の日本人にはいないし。野球みたいに、メジャーリーグのスカウトが地方の試合まで観にきてくれるわけじゃないから。アメリカの大学に入学したいって思ってるんだけど、全然その辺のこと分んねえから、なんとなく始めたんだけど、そこそこ有益な情報はあるね」

とにもかくにも、英語の勉強はしないといけないということが先決のようだ。英語圏以外のアメリカ大学希望者が受けないといけない、トッフルというテストである程度の点数を取らないと、留学できないらしい。

同時多発テロ以降、アメリカへの外国人の留学は、極端に難しくなっている。NBAをめざすなら、バスケはその後で、まず英語になるらしい。英語力なんか関係なく、博多弁や関西弁しか話せない日本人が、いきなりメジャーリーグに行って活躍しているのは、日本バスケ界の常識では、ありえないことで、もの凄いことだということだ。

ヨウも、最近の気色の悪い、テロみたいな事件、気になってんの? とシモツマが訊いた。も、というところでシモツマのコンセンサスが感じられた。NBAを目指している人間だから、自分が渡ろうとしている国で、端を発した「諦めテロ」と呼ばれる一連の無差別なテロ行為のことは、人一倍、気になるに違いない。僕は答えた。

「同時多発テロがあって、アフガン戦争があって、イラク戦争があって、今度はわけの分んないテロが続いて、なんか末期的な気がして……」少し僕はトーンを落として、言葉を続けた。もう、この世が終わってしまうんじゃないかって、リアルに怖いんだ。

ノーモアウォーなんて抗議する対象も今はないし、実際問題僕がテロが起きている国にいって、ボランティアをするっていうことも現実的じゃなくて……。手も足もでてないんだけど、ああいうサイトで、世間の意見を聞いてみたかったんだ。僕は、真剣に答えた。

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