高速バスに乗り続けている

これは別に比喩とかでは無くて、
新幹線とか飛行機ではなく、高速バスによく乗ってきた人生だったと思う。

僕は高知県に生まれたが、
中学を卒業すると愛媛の松山にある高校に通っていた。
そのため、長期休みになる度に高速バスに乗って帰っていた。

宇和島バスという長距離バスが毎日運行していて、いつもそれに乗っていた。
松山↔︎宿毛間が片道1850円だった。


四国の左側。柏島がダイバーに人気。


高校生当時の財布事情的に辛いものがあったが、
僕はよくこのバスで実家に帰っていた。

片道4時間半は決して短い時間じゃないが、
帰省のノスタルジーに浸るには丁度良い時間だった。

思い出すのは、中学を卒業して高校に一人暮らしをする時に、
1人で松山に向かうため、バスに乗った時の感覚をよく覚えている。

買ってもらったばかりのスマホでサカナクションの「夜の踊り子」を聴きながら、
生まれ育った地元を離れ、見知らぬ土地に向かって行く感覚は、
心細さと、どこか大人になったような感じがしていた。

まあ、その高校で友達が出来ずに暗黒の3年間を過ごすことになるのだけれど、
とりあえずその頃は期待と不安とノスタルジーが綯い交ぜになった心境だった。


大学に落ちて自宅浪人生となり、
大学を合格・卒業するまでは、
頃は、愛知県にある祖父母の家で暮らしていた。

お金がなかったから、夜行バスに乗って12時間以上かけて高知に帰っていた。


本州から海を超えて四国に入る


夜22:00ごろに集合場所に行くと、
名古屋駅西口の百合の噴水広場でたくさんの人が集まっていた。
係員さんが大声で「高知行きの方ー!」と叫ぶとみんなでついていって、
100メートルくらい離れた道路に停めてあるバスに乗り込む形式だった。

名鉄バスセンターであれば、
バスターミナルだから待合室もあり、
待つのも楽だったろうけど、
安いものを選ぶと乗るのも面倒だった。

ルートとしては、名古屋から神戸を経由して、
明石海峡大橋を渡って四国に入るルートだ。

格安の夜行バスを使ってたから、
朝4時に起こされて、松山行きと高知行きのバスに乗り換えがあるのがキツかった。
高知駅に着いてから列車に乗り換えるから、体力の消耗が半端なかったのを覚えている。


就職を機に上京してからは、
祖父母の家がある名古屋に夜行バスで帰ることが増えた。 
あとは、年一で実家の高知に帰るくらいだった。

東京↔︎高知間。日本をほぼ横断と言っていい

バスタ新宿の大きなバスターミナルから乗るか、
東京駅の南にあるバス乗り場、もしくは八重洲口のJRバスの乗り場から乗ることが多かった。

朝5時ごろ、
名古屋駅の南にある笹島にバスが停まり、名古屋駅に歩くと、スパイラルタワーが見えて、
ああ名古屋に帰ってきたな、と思っていた。

東京から実家の高知に帰るのはかなりキツイため、帰る頻度は必然的に減った。
新幹線でも東京→広島まで4時間、そこから列車乗り継いで3時間ほどかかる。

飛行機乗れば楽だろうが、お金に余裕が無いため一度も帰省には使ったことがない。


高速バスを使う時はなるべく昼行便を使うようにしている。

景色も見られるし、ラジオ聴きながらゲームしたりダラダラしてれば着くから、
そんなに家にいるのとやることが変わらないからだ。

ただ、休みの日数的に夜行バスを使わざるを得ない時もある。
寝ようにも寝られないことが多いから、割り切ってラジオ聴きながら過ごすようになった。

ただ、夜のパーキングエリアで休憩する時に、
たまにカップラーメンの自販機が置いてあることもある。
その時はお腹が空いてなくても食べてしまう。

小さな待合室のような部屋でカップ麺を食べていると、
同じように夜行バスで移動している人たちも集まってきて、椅子に座って何か食べている。
喋ったりはしないけど、少しだけ同じ場所に向かう同士のような感覚になり、居心地は悪くない。

正社員になって少しだけお金に余裕が出来、
帰省の片道には新幹線を使うようになった。
新幹線はストレスフリーで本当に楽だ。

ただ、片道のどちらかは高速バスを使うようにしている。
それは節約のためが大きいが、
バスに乗る6時間ほどの時間で何かをゆっくり考えたり、ぼーっと過ごす時間は嫌いではない。

バスの座席以外は動けないという制約によって、ラジオとか音楽、物思いに集中できるということなのかもしれない。

今後も高速バスには乗り続けるだろう。
ただ、もうそろそろ4列シートからは卒業して、3列シートで気楽に過ごせるようになりたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?