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蒸し暑い夜に聴く音楽

暑い。蒸し暑い。もうエアコンなしでは生活できない。そんな蒸し暑い夜に聴きたいアルバムはやっぱりひんやりクールな音にかぎります。ジェリー・マリガン『Night Lights』。なんといってもこれが代表選手じゃないでしょうか。

『Night Lights』 Gerry Mulligan

まずジャケットがいいですよね。都会の夜。まあバブル期の東京を思い描いたって良いんじゃないでしょうか。
リーダーのジェリー・マリガンのピアノで始まり、クールで男前なバリトンを聴かせる。演奏はセクステット。アート・ファーマー(tp、flh)、ボブ・ブルックマイヤー(tb)、このふたりの管楽器がまた良い。終始クールに徹した演奏を聴かせてくれる。そして、ジム・ホールのギター。甘くムーディなメロディを紡ぐ(テクニカルだけどそういう匂いをまったく感じさせない)。

禁欲なまでに熱量を抑えながらも、実は骨太でテクニカルな演奏がそこにある。
しかし、耳に届くのは、美しく甘味な音楽。都会的な風景が広がる。
このアルバムは、まあ別に蒸し暑い夜じゃなくても響く。でも、ジャケットの風景は、都会のホテルの静かなバー・ラウンジを思わせる。蒸し暑い夜だが、そこは、温度も湿度もしっかりコントロールされて、とても快適な空間。
ボーナス・トラックとして最後の7曲目に「ナイト・ライツ(1965ヴァージョン)」が入っている。それが僕にはオリジナルのアルバム・ラスト曲という感覚。どんなに疲れた夜だろうと、蒸し暑い夜だろうと、これを聴き終わる頃には、眠りに落ちているはずだ。もちろん、エアコンの効いた寝室で。


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