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年間600回リリースの裏で、年間200人ペースでユーザーインタビューを実施する理由

こんにちは、Ubie Discoveryでプロダクトデザイナーをしている永尾です。昨年末から生活者向けのプロダクト、ユビーAI受診相談(https://ubie.app)のデザインとインタビュー設計/運用の役割を担っています。

この夏、ユビーAI受診相談は iOS / Androidアプリをリリースしました!

ユビーAI受診相談アプリ

ユーザーインタビューは重いもの?

みなさん、毎週ユーザーインタビューしてますか?
ユーザーインタビューを実施している事業会社はもはや珍しくありませんが、定常的に実施しているところはまだまだ少なく感じます。RedashやGoogle Analyticsを使い利用ログを追うことは定着している一方で、直接ユーザーの声を聞くとなると、一部のスペシャリストが実施してレポートしてもらうもの…というような感覚の方も少なくなさそうです。

ユビーAI受診相談の開発チームは数名ですが、年間600回のペースでリリースしています。このスピード感で開発・デザインしつつ、2021年2月から週3〜4回の頻度でユーザーインタビューをオンラインで実施しています。主な担当はデザイナーである私と、業務委託のリサーチのスペシャリストの2名です。ちなみに自分はデザイナーですが、UXリサーチャーとしての経験はありません。

準備を最小限にすればインタビューは継続できる

サービス開始前から、ユーザーインタビューは必要に応じて行われていましたが、週次で行うようになったのは今年からです。ユビーAI受診相談のユーザーが「医療機関を受診する際に感じる障壁」を知るために、デプスインタビューを始めたのがきっかけです。インタビューを繰り返していくうちに、利用モチベーションごとにユーザーを何種類かに分類できそうだと気づきました。インタビューの回数をこなせば、今まで意識していなかったユーザーの傾向に気づくことができます。

個人的に「自分が関わるユーザーへの理解を深めたい」「インタビュー慣れしたい」という思いがあり、インタビューからデータベースを作る目的で、その後もライトに継続しました。

ユーザーインタビューのメモ
ユビーAI受診相談ユーザーのモチベーション分類

インタビューの目的は明確に、でも作り込みすぎないこと

これが継続するコツだと思います。施策の方向性や妥当性の裏付けが欲しいだけなら、価値を表現するテキストだけでもコンセプトの検証はできます。リッチなモックアップやプロトタイプは必ずしも必要ありません。

インタビューの台本や型ができれば、テーマに合わせて一部だけ変更を加えます。1回あたりの実施コストを下げてインタビューを繰り返していくと、これまでハードルに感じていたことが当たり前のようになります。スペシャリストのフォローがあれば、インタビューの質もある程度担保できます。

【実施したインタビューのテーマ例】
・ユーザーの利用モチベーション探索・分類
・受診先を選ぶときの基準・気にしていること
・施策アイデアのコンセプト検証
などなど

オペレーションコストは最小限に

インタビューの目的の明確化と設計はもちろん必須ですが、一般のユーザーを巻き込み、開始するまでさっくりこんなフローがあります。

1. インタビューを設計する
2. インタビュー対象者(ユーザー)を決める
3. ユーザーとインタビューのスケジュールを調整する
4. インタビューを実施する
5. 振り返り&まとめる

リサーチの専門チームがある会社であれば、リサーチと開発を分担してパラレルで進めやすいかもしれません。しかし、専門チームを作るのはハードルが高いです。社外のリサーチ会社に委託するにしても、コストと見合うか気になります。幸い、ユビーAI受診相談には、アンケートを通じてインタビューに応じてくださるユーザーを募る仕組みが既にありました。ユーザーへのコンタクトも、チャットサービスなどを通じてカジュアルにできます。社員がやるべきタスク、業務委託できるタスクを分けるのも重要です。

インタビュー候補者との連絡ツール

ユビーAI受診相談がインタビューを継続する理由

1. 仮説の精度を上げることができる
プロダクトの0→1、1→5のフェーズでは、そもそもユーザーはどんな課題を抱えているのか、自分たちの提供価値が受け入れられるか不確実です。リソースが限られた小さい開発チームにとって施策の優先順位は非常に重要です。SQLを書いて利用ログを追い、定量的なデータから学ぶ事は少なくありませんが、ユーザーの行動の背景や心理まで理解することは難しい。定期的なユーザーインタビューの場があれば、量だけでなく質的な仮説検証もしやすくなるので、リリース前の施策の裏付け/優先度付けに役立ちます。

2. 体調が優れないユーザーの状況理解に役立つ
ユビーAI受診相談は、ユーザーが体調不良なときに使われる事が多いプロダクトです。自分が開発に取り組んでいるときは基本的に健康な状態なので、体調不良のときの気持ちを忘れてしまいがちです。ユーザーとの対話を通して、利用時の背景、その時置かれていた状況や感情などを深く知ることができます。

3. 記録が資産になる
1回ずつのインタビューは軽くても、記録を蓄積すれば資産になります。インタビューの発話を元に、気になる要素を抜き出してデータベース化を進めています。記録にアクセスしやすくなれば、利用ログとの組み合わせで仮説を補強しやすくなるはずです。

ユーザーインタビューのデータベース

役割を移譲し、運用できるメンバーを増やす

これまで私を含め限られたメンバーでユーザーインタビューを継続してきましたが、スクラムで役割の越境を大切にする会社らしく、今後は関わるメンバーを徐々に増やしていきたいと考えています。新入社員のオンボーディングにインタビュー参加を組み込み、自社プロダクトのユーザー理解を促すことも計画中です。

UXリサーチに長けたデザイナーが入社してくれるといいなーという思いもあり、Ubie Discoveryでは「テクノロジーで世界中の人々を適切な医療に案内する」仲間を募集中です!

もうちょっと中のこと知りたいよ〜という方、Meetyでカジュアルにお話しましょう!

※追記
ユビーAI受診相談は、症状検索エンジン「ユビー」に名称変更しました。
US版(https://ubiehealth.com/) もリリースされました!


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