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Z世代と俺たち世代、主体性と共同体感覚にギャップがある?!

年間200以上の研修をしていると、「主体性と言うけれど、最近の若者はすぐに会社をやめようとする。それはいいことなのか?」という主体性に対する反対意見をよく聞きます。一方で、「ベテラン社員は飲み会の大切さや周りに合わせる協調性を強調してくるが、それがしんどい」という声も聞きます。

これらは主体性と共同体感覚に関するジェネレーションギャップとも言えます。


若い世代は主体性優位?!

自分のキャリアを考える危機感

Z世代やミレニアル世代といった若手の人たちは、ベテランの社員の人たちに比べると、自分たちの将来のキャリアについて、そこまで安泰ではないと言う考えを持っています。いわゆる人生100年時代と呼ばれている中で、社会人になった当初から、自分たちがこの会社でどのように成長できるのか、またいつ転職をし、どのようにキャリアを築き上げていくのかということにおいて、長期的なスパンで考えている事は間違いありません。主体性においては、「自分のことをよく考えることや、自分の人生に対して責任を持つ事」は重要なことなので、そういう意味では、彼が持っている感覚というのは、主体性に近い部分があると思います。

すぐに会社をやめるのは主体性?

では、会社をすぐに辞めてしまうと言う事は、自分の人生を大切にしているので、これも主体性の発揮だと言えるのでしょうか。考えなければいけない事は、「行動と動機を分ける」ということです。この場合、行動は転職をすること、動機とは、なぜ転職をするのかということです。

もちろん、今の会社で経験を重ねていく中で、キャリアにおいてつけておきたい力(例えば営業力や企画力、マネジメント力など)がつかないことを主体的に考え、やれることを全て出し切った上で、次のキャリアを目指して転職をすると言う行動をする人もいるでしょう。

一方で、全く別の動機を持っている人もいます。それは、「この会社にいても成長の機会をくれないし、上司ガチャに外れてしまったので私にはどうしようもない」と言う理由で、会社を辞める人もいるでしょう。

後者のような転職の理由の場合、結局は、自分の人生を会社と言う環境や運命のせいにして自分で切り開くことはできていないので、他の場所に身を移すと言う手段をとっていることがわかります。

もちろんこれは、主体的とは言えないと言うことになります。

足りない共同体感覚

同時に、会社を『自分の成長のための踏み台のように考えている若手社員』も散見されます。本人は、自分のためだと思っているのかもしれませんが、重要な事は、社会はあなたを中心に回っているわけではないと言うことです。あなたがうまく人生を成功させていくためには、周りの人の協力なしには成し得ないということを肝に銘じなければなりません。

これは、誰かと共に成し遂げるという『共同体感覚』が失われていることになります。

ベテラン社員は共同体感覚優位?!

「協調性が大切だ」というベテラン世代

ベテラン社員の中には、何においても会社との協調性が大切であり、会社で求められていることに対して、着実に仕事をすることが正しいと主張する人や、口で言わなくても態度や行動がまるでそのようになっている人もいます。

また、その人は先程のような若手社員の行動に対して、比較的強い嫌悪感を持ったりもしています。「なぜ最近の若者は、自分のことばかり考えて協調性がないのか」というようなイメージです。

このような人たちの社会的背景をさかのぼってみると、高度経済成長期の時代に、日本があまりにもうまくいってしまったことが尾を引いていることがわかります。当時は、製造業を中心に、マニュアルで組まれた正しいとされる仕事内容をそのまま実行することが重要だったのは間違いありません。

また、時期的に本人がそのような時代に働いていなかったとしても、先輩社員からそのような働き方を指導され、それが正解であるかのような感覚を持っているということもあるでしょう。

当時は技術が今ほど発達していなかったこともあり、おそらくNHKのプロジェクトXに代表されるように、アナログな部分を個人と個人の連携や連帯の力によってクリアしてきた部分も大いにあると思います。つまり、彼らの経験の中には、実際に強調性や連帯行動によるメリットを強く感じている過去があったのだと思われます。

飲み会でみんなでワイワイするのは、共同体感覚?

では、飲み会でみんなでワイワイするのは、共同体感覚と言えるのでしょうか?ここでも、行動と動機を分けて考える必要はあります。行動は、飲み会でワイワイしていることですが、動機には次のような2つがあると思います。

まずは、仕事上での仲間を大切に思い、彼らとの心の交流を通じて、仕事を円滑に動かし、また仕事上のアドバイスや、精神的な支えとなろうとするために、飲み会を開いて対話を重ねることです。

一方で、別の角度から見れば、飲み会で集まり、会社の愚痴を言い合う、または傷を舐め合う、同様に少しでも抜け駆けしそうな人はいないか?とチェックし、そのような人に対して「 なに真面目になっちゃってんの?」と牽制し、そういう人はダサイという空気作りを自分の保身のために行っている人もいるかもしれません。

もちろん、後者は共同体感覚とは言えず、むしろ足を引っ張ってしまうような形になるでしょう。

結局主体性も共同体感覚も両方が重要

この話でもわかるように、主体性と共同体感覚は常に両方が必要であるということが重要です。

ジェネレーションギャップの話の中に、主体性や共同体感覚に近い話が出てくるのですが、細かく見ていくと、そこには世代観の環境の違いや社会背景の違いだけではなく、そもそもずれた行動をしていると言うことが隠れていることになります。

行動と動機をしっかり見極め、自分や周りの人がどのような感覚でその行動を行っているのかということに対して注視していきましょう。

次回は自走を促す組織開発における事務局の重要性について書いてみようと思います。そのほかの企業さまの組織力向上についてはこちらでもご紹介しています。


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