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その32 コロナ禍でこそ、子どもの安全・安心のために(1583文字)

1 はじめに

 令和2年2月、コロナ禍に見舞われ、学校が休校に追い込まれた。
 新年度を迎えても、学校を再開することができなかった。
 子ども達にとって、安全で安心できる場所が奪われてしまった。
 子供の未来を育む、子どもの夢を担う教師として、『今、何を為すべきか…』

2 コロナ禍の脅威

 少し話はそれるが、コロナ禍になるまで、病院で検尿をすることが当たり前だった。
 もう少し詳しく言うと、病院において各種検査等で、尿検査が必要な場合には、その場で採尿することが一般的であった(ように思っている…)。
 しかし、コロナ禍において、トイレでの感染が言われるようになり、自宅での採尿が増えたように思う。
 新しい仕組みに衝撃を受けると共に、コロナウイルスの脅威を感じたことを今も覚えている。
 ということは、校内のトイレにも、そのような脅威が出てきたということだろう。
 子ども達が感染する可能性が出てきたのだろう。

 コロナ禍前でさえ、子ども達にとって安全で安心できる場所に学校がなり得るために、不審者対策、災害対策、日々の安全点検などに心を砕いてきたつもりである。

 子ども達が、ただトイレに行くことにもコロナウイルスの魔の手が襲いかかるようになった。

 学者さんや偉い方の話では、人類の歴史に終止符が打たれるなんてことも聞こえてきた。
 危機感ばかりであった。

3 休校期間に考えたこと

 休校期間が明け、学校で子ども達に再会するその時には『新しい学校』『バージョンアップした学校』に変化する必要性を考えた。
 なぜなら、休校前と姿、形、変わらぬ学校では、すべての子どもに安心感を与えることはできないと思えたからだ。
 何人かの子ども達は、コロナ不安から、学校に来ることを拒むだろう。
 また何人かの子ども達は、集団生活に恐怖心を抱くだろう。
 ある意味、風評とも言える恐ろしさにもさらされるだろう。
 また、高齢者や持病のある家族と共に生活する子どもにとっても、また大きな不安となるだろう。

 教師である私に何ができるのか。どうしたらいいのだろうか。

 未知の答えに、なかなか辿りつかない。

4 私の組織実践

 「そうだ!完全二足制だ!」
 この結論に至った。というか、これしか考えがでてこなかった…。

 コロナ禍前までの学校生活は、以下のようなものだった。
 子ども達がトイレに行くには、自分の教室前に設置された靴箱で、上靴から下靴に履き替える。
 そして、下靴でトイレに入り、用を済ませる。
 そして、手洗い場で手を洗い、教室の前まで戻り、キレイに洗った手で、下靴を触って、上靴に履き替える。
 トイレの中に入り込んだ下履、用を足す時に履いていた下靴を手で触れて履き替える。

 そして、次に手を洗うまでの間は、教室の中で、みんなで共有する色々なものを触り、友だちと様々なコミュニケーションをとるのである。
 このようなことを、学校全体で行われる状況である。

 だからこそ、せめてトイレから菌を持ちださない環境を整えよう。
 子ども達にとって、安心できる環境を目に見える形で実現しよう。
 唯一考えついた思いである。

 校内にある靴箱の数、靴箱の寸法、設置場所の確保、移動の可否、教職員への提案、資金の出どころ、多くのことを思案した。

 そして、休校前まで校内に存在しなかった、靴箱の行列が校舎1階に姿を現した。

5 おわりに

 子ども達の安全・安心は先生が責任をもって作り上げる。

 学校設立以来60年のなかで、初めての取り組みであったと思われる。

 この完全二足制の『システム』も大事であるが、このシステムを生かすも殺すも教職員次第なのである。
 コロナ禍を乗り越えたから不要なのではない。
 このシステムだけが、大事なのではない。
 どのようなシステムであっても、その根底にあるニーズや目的を考え尽くすことのできる『ソフト』が重要なのである。

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