おおすみ正秋

1934年兵庫県生まれ。 劇団飛行船、人形劇団ひとみ座の脚本および舞台演出の傍ら「子鹿…

おおすみ正秋

1934年兵庫県生まれ。 劇団飛行船、人形劇団ひとみ座の脚本および舞台演出の傍ら「子鹿物語」「ムーミン」「オバケのQ太郎」「ルパン三世」「走れメロス」などのテレビ/劇場用アニメーションを演出。70歳で東京工科大学大学院修士課程を卒業。慶應義塾大学特別講師。まだまだ現役です。

最近の記事

【片桐はいり x 森下圭子 x おおすみ正秋】昭和のアニメ 対談 第五回

「 キャラは関係で描く 〜ムーミンをヒッピーの世界へ〜」 ———フィンランドを代表する映画監督カウリスマキに出てくる役者もほとんど動きが少ないですが、日本人の動きと繋がってるような気も、、、。 片桐 そうカウリスマキ!すごくテンポが独特で。 森下 今日の授業であった精神性の話は、ぜひフィンランドのアニメ制作者にも聞いてもらいたい。今のアニメーションは慌ただしい印象があるというか。この前に作られた日本のムーミンはゆったりとしたリズム感でムーミンの世界を描いている。親は安心

    • 【片桐はいり x 森下圭子 x おおすみ正秋】昭和のアニメ 対談 第四回

      「 演技と演出 〜すべてに意表をつきたい〜」 おおすみ 片桐さんの前で言うのもなんだけど、日本の俳優はこの10年うまくなったと思う。昔の東映時代の役者と比べたら嘘みたいに違うよ(笑) 片桐 若い人がってことですよね?本当にそうです。 おおすみ で、何が違ったかというと 片桐 わ、それ聞きたい! おおすみ アメリカのメッソド演技(注:モスクワの芸術座リーダー、スタニスラフスキーが提唱している演技理論)のお手本とされる”スタニスラフスキー”っているでしょ。彼が提唱してい

      • 【片桐はいり x 森下圭子 x おおすみ正秋】昭和のアニメ 対談 第三回

        「歌舞伎とリミテッドアニメーション 〜古典芸能の動きの秘密〜」 片桐 それにしても子供時代に心打たれたアニメが、知恵と工夫の結晶で生まれてきたとは思わなかったです。そういうものに妙に心が奪われてしまうという資質が、なんで自分に生まれたんだろうと思っていて。このリミテッドアニメを見て育ったからなんじゃないかと授業を聞いて思ったんです。情緒が育つ大事な時に、静止画時代のアニメを見たから。 おおすみ 発想が日本人だよね(笑)子供の時に歌舞伎みた? 片桐 歌舞伎は覚えてませんが

        • 【片桐はいり x 森下圭子 x おおすみ正秋】昭和のアニメ 対談 第二回

          「日本人ならではの表現 〜オバQと小津映画の共通点〜」 おおすみ 当時、TBSの忠隈さんというプロデューサーがね、オバQを一緒に始めるときに与太話をしていてね。「オバQってのは、小津安二郎だね」と言いだしたんですよ。 片桐 ええええーー。ちょっと待って、、。えー。 森下 おもしろい(笑) おおすみ 僕は、それ聞き逃さずに、「面白い、それで行きましょうよ!」ってのっかったんです。 森下 乗っかったんですか(笑) おおすみ オバQってのは、原作の藤子不二雄の漫画からそ

        【片桐はいり x 森下圭子 x おおすみ正秋】昭和のアニメ 対談 第五回

          【片桐はいり x 森下圭子 x おおすみ正秋】昭和のアニメ 対談 第一回

          「静止画表現とは? 〜巨人の星の裏話〜」 対談の前に、慶應義塾大学での授業をおさらい。テーマは『静止画(リミテッドアニメーション)。授業内容を軽く説明すると・・・。 【静止画表現(リミテッドアニメーション )とは・・・】 日本のアニメはディズニーアニメのような滑らかな動きとは対照的に、キャラクターが静止している箇所が多々ある。それはのちに「リミテッドアニメーション」と呼ばれ、日本特有の洗練されたアニメ技法といわれている。しかし、実際は制作費や制作時間を削減するために採用せ

          【片桐はいり x 森下圭子 x おおすみ正秋】昭和のアニメ 対談 第一回

          【片桐はいり x 森下圭子 x おおすみ正秋】昭和のアニメ 対談 スタート!

          昭和のアニメや人形劇に多大なる影響を受けて育った俳優・片桐はいりさんと、ムーミンが好きすぎてフィンランドに移住してしまった翻訳家、森下圭子さん。私、おおすみ正秋の慶應大学アニメーション授業の後すぐの、興奮が残る対談を5回に分けて送ります。(*授業は前年度に行われました) 片桐 はいり × おおすみ正秋 × 森下 圭子 第一回 静止画表現とは? 〜巨人の星の裏話〜 第二回 日本人ならではの表現 〜オバQと小津映画の共通点〜 第三回 歌舞伎とリミテッドアニメーション 〜

          【片桐はいり x 森下圭子 x おおすみ正秋】昭和のアニメ 対談 スタート!

          おおすみ正秋の仕事場

          西尾哲夫訳「千一夜物語」第5巻が出版されました。パラパラとめくりながら、舞台「シンドバットの不思議な冒険」を作った当時のことを思い出しました。 私は「TVアニメ・ルパン三世」から離れたあと、世界7か国で上演するための舞台を手がけました。スクリーンと舞台を俳優が行き来するマジカルスペースという特殊な舞台仕掛けを使い「シンドバットの不思議な冒険」を製作演出し、1年の半分以上を海外で過ごしていました。 (注1) たまたま日本での公演を観に、モンキーさんが手塚治虫先生と一緒に劇場

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