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決まった物事を捻じ曲げる力

ある日、ふと前の会社の後輩のタケシ(仮名)から久しぶりに会いませんかと連絡が来た。
2年近く会ってなかったので、元気かな〜っと思い一緒にご飯を食べに行くことになった。

話を聞いていると、前の会社は既にに辞めていて、その後海外の大学に行くという計画を立てていたが、コロナで紆余曲折があったらしい。そして今は人材紹介の会社に戻ろうと思っていますと打ち明けられた。
ご飯食べて一緒にタケシとサウナに入りながら、ボーっと考えことをしていた。
タケシを誘うなら今しかないな。

前の会社で一緒に働いている時からコイツ実力あって優秀だな〜っと感心していた。成果を出すためにネジ一本はずれてる感じが良いと思った。
もう一つ印象的で忘れられないのが、俺が会社を辞める時、タケシが涙を流してくれていたこと。
それを見た時、既に「コイツは絶対俺の会社に入ってもらう」と決めていた。

それから月日が過ぎ、ずっとタイミングを狙っていた。
そして今がそのタイミングだと思った。

サウナ後に別れて家に帰ってから、速攻ウチの会社に入ってくれとLineをして、待遇・条件面を伝えた。
タケシ「とても嬉しいですが、他の企業も色々と受けているので、一旦待って頂けますか」と言われた。

今回はベンチャーではなくて、大手っぽい企業に行きたいとタケシから話は聞いていたが、まぁきっとウチに入社してくれるっしょと思っていた。

そして数週間くらい過ぎ、自転車でボケーっと考え事をしてあてもなく漕いでいた時、もうそろそろタケシも決断する時じゃねぇかな、とういうかもっとオファー内容について詰めてタケシと話さないとダメだよなと思った。
タケシに連絡してみようと思って、電話で話そうと連絡をした。
電話で話すと、「実はこちらからもちょうど連絡しようと思っていたんですが、他社の内定を受諾することに決めました。将さんからせっかくオファー頂いたのに申し訳ないです」と言われた。

そっか。。。残念だな。マジか。
暫く放心状態になっていた。
無心で自転車を漕いでいた。

また、悔しさが込み上げてくる。
ちくしょう。
ちくしょう。なんで・・・・。

猛烈に後悔が込み上げてきて、自転車に乗りがらうずくまり、気づいたら右足を全力で何回もぶん殴りまくっていた。
ちくちょう・・。
タケシはウチの会社に入ってもらう予定だったんだ。
どうして・・・
後悔の後に激しく自分への怒りが込み上げてきた。

なぜ全力でタケシを口説かなかった?
なぜこんなことになった?
一番そこが腹立つ。
どうしても自分を許せない。
本当にタケシに入ってもらいたいなら、ちゃんと対面で会って、自分や会社の想いを力説して、気持ちをぶつけるべきだった。
得意のプレゼンをするべきだった。
それを俺はやらなかった。
中途半端な行動でタケシに入社してもらおうとした自分をどうしても許せなかった。
俺は説得力と決まった物事を捻じ曲げる力だったら絶対だれにも負けない。
だから俺が会社でトップ張っているんだ。
もしそれが出来ないんだったら、決まっている物事を変えられないなら、物事を覆せないんだったら、俺が会社にいる意味がない。
今すぐ会社を辞めるべきだ。
なんのために俺はいるんだ。
一緒に働いてもらっているメンバーにも申し訳なくて、申し訳なくて自分が許せなかった。

もう一つの怒り、人生で初めての他の会社への怒り。人生で初めて競合のことを意識したし腹が立った。
元ラインの代表の森永さんの本を読んでから、「競合と比較して会社の戦略を練ることは意味がなく、自社サービスの向上に邁進すること」が一番大切だと思っていたから、競合なんて全く気にしてなかった。
それが、今回タケシが競合への入社を決めた。
たけしは上場するために絶対に必要な仲間だったんだ。
タケシはウチに入る予定だったんだ(勝手な被害妄想)。
それをわけのわかんねぇよそ者が邪魔しやがって。
俺の野望の前に立ちはだかってくんじゃねぇよ。

だが、冷静に考えると、他社の方が良い面があったから選んだはず。
こちらに劣っている面があるからだ。
改善しなきゃ。。

ダメだ。このままじゃまた仲間を奪われる。
業界で圧倒的に勝たなきゃダメだ。
売上げも規模も、福利も圧倒的に勝って他を蹴散らさなきゃまた仲間を奪われる。

「決めた。競合は全部蹴散らす。選ばれない会社にしてるのは全部俺のせいだ。必ず会社を良くする。」

悔しい思うならまだ戦える(by ブルーピリオド)
正直、また久々に悔しさ込み上げてきて、とても嬉しかった。
これでまた俺は成長出来るし高みに行ける。

とにかく採用を倍増しよう。
ベンチャーキャピタルだ。

続く

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