”たった3回の受験でTOEIC L&Rで900点をとった攻略法”Chapter 7:PART5と6の攻略
いつもありがとうございます。TOEICアドバイザーのまさるです。
今回はPART5と6についてお話しします。一番思い入れのあるパートなので、文字数がエラいことになっています(7500文字ぐらいアルよ)。コーヒーとビスケットをお手元に用意していただいたうえで、のんびりと読み進めてください。
では、本編へどうぞ。
僕はPART5がものすごく苦手でした。いろんな教材に手を出し、それでもなお苦手意識が改善されない状況が続き、かなり苦しみました。が、そんな僕を救ってくれたのが、”イングリッシュ・ドクターのTOEIC®L&Rテスト最強の根本対策PART5 (西澤ロイ (著) 実務教育出版(出版社))”です。
PART1&2対策にお世話になった教材のPART5版です。あなたに重々理解しておいていただきたいのは、このパートは「結果的に早く解ける」のであって、「意識して高速で解答する」ものではありません。
1問あたり20秒程度で解答する必要がありますが、無理やり早く解いてもスコアは伸びません。30問を10分で解く、といった訓練はやらなくてよいです。ある程度実力が付けば、おのずと10分ぐらいで解答できます。リーディング全体の正答率9割を目指さないのであれば、もっと時間をかけてもよいと考えます。
その代わり時間の制約上、PART7の数問は捨てることになります。時間を多めに割いてPART5の正答数を確実に上げるか、PART5はある程度で見切りをつけて、PART7の正答数をあげるか、このあたりのさじ加減はあなたの適性に依存します。得意な方を伸ばしてください。多くの場合はPART7を犠牲にすることになると思います。
空所の前後を読んで瞬間的に解答する、という攻略法を見かけますが、TOEICはそんな甘いテストではありません。もちろんこの解答方法が通用することもありますが、大体の問題は「頭から読んで、正解を選ぶ」という愚直な解答方法が一番確実です。
もう少し正確にいえば、「頭から、各単語の品詞と文章の構造の把握をしながら最後まで読み、空所に入れるべき品詞を絞ったうえで選択肢に目を通す」ということです。
この心理に到達するのにいろいろ遠回りしましたが、900点を取れたのはPART5の苦手意識を克服できたおかげだと思います。
この教材ではまずは徹底的に品詞分解を行います。文章の単語ひとつづつを動詞や名詞や形容詞などに分解し、空白に入る品詞を検討する、という訓練を行います。次に、文章の構造をとらえる訓練を行います。主語はどれ、動詞はどれ、修飾語はどれ、というものを把握する訓練です。語彙問題以外は、品詞と構造が把握できれば大抵解けます。
地味でかなりハードな訓練方法ですが、実力が確実についてきます。いきなり文章の意味を理解しようとしながら解答すると大体失敗します。どれを入れても、なんとなくあってそうな選択肢で構成されてるからです。まずは品詞と構造を把握し、必要に応じて意味を考えます。例えば、空所には名詞が入るのはわかるが、produce(農産物)かproducer(生産者)のどちらを入れるとよいか、という場合に文の意味を考えて解答します。
空所の品詞を把握し、構造も分かったうえで解答すると、自信をもって選べるようになり、同じ文を2回3回と読む必要がなくなり、結果的に早く解けます。
「結果的に」というのがめちゃくちゃ重要です。無理やり早く解いても間違えます。時間をかけても解けない問題は、速く解けるわけがないのです。なので、時間を計って解答する訓練は、必要以上に自分に無理をさせることになるのでおススメしません(かつての僕はストップウォッチを使いながら解答してました)。
では、ここでTOEIC公式サイトで公開されているサンプル問題を使って、実際にやってみます。
No. 103 Gyeon Corporation’s continuing education policy states that ------- learning new skills enhances creativity and focus.
(A) regular
(B) regularity
(C) regulate
(D) regularly
まず、解き方としては前から順に読んでいきます。読むといってもキレイな和訳をすることが目的ではなく、品詞分解と構造把握をするために目を通していく、という感覚です。
No. 103 Gyeon Corporation’s=名詞 continuing=形容詞 education policy=名詞 states=動詞 that=代名詞 -------=(?) learning=形容詞 new=形容詞 skills=名詞 enhances=動詞 creativity=名詞 and=接続詞 focus=名詞
(A) regular=形容詞
(B) regularity=名詞
(C) regulate=動詞
(D) regularly=副詞
Gyeon Corporation’s continuing education policyまでが巨大な主語、statesが動詞でthat以降は超巨大な目的語です。そして、that以降は、------- learning new skillsが主語、 enhancesが動詞、creativity and focusが目的語になります。
つまり、文章に欠けている要素はなく、learningを修飾する副詞である(D) regularlyが正解となります。個人的には副詞を選ばせる問題が少し苦手です。構造把握がうまくできてないと、「欠けてる」という感覚が持てないからです。
品詞分解は各単語の品詞を判断することで、構造把握は主語がどれ、動詞はどれ、目的語はあるのかないのか、こういう判断をすることです。
たしかに、この手の問題は前後だけ読んで瞬殺できるかもしれませんが、よほどPART5に自信がない限り、頭から順に読んでいくことをおススメします。前後を読むだけでは本当に行き詰ります。僕もそうでした。
ちなみに、Gyeon Corporation’sを名詞として扱いましたが、これを形容詞と考えても差し支えありません。解答に影響も無いのでどちらでも構わない、ということです。が、どうしても気になる方は「名詞 所有格 品詞」などで検索してみてください。
No. 102 Jamal Nawzad has received top performance reviews ------- he joined the sales department two years ago.
(A) despite
(B) except
(C) since
(D) during
この問題も、頭から順に読んでいきます。品詞分解と構造把握をするということです。
No. 102 Jamal Nawzad=名詞 has=助動詞 received=動詞 top=形容詞 performance reviews=名詞 -------=(?) he=代名詞 joined=動詞 the=形容詞 sales department=名詞 two=形容詞 years=名詞 ago=副詞
(A) despite=前置詞か名詞
(B) except=前置詞か接続詞
(C) since=前置詞か接続詞
(D) during=前置詞
Jamal Nawzadが主語で、has receivedが動詞、top performance reviewsが目的語です。 -------以降はheが主語、 joinedが動詞、the sales departmentが目的語で、two years agoは修飾語です。
つまり、主語動詞目的語(5文型でいうSVO)の形が2つ連続しています。文章をつなぐ役割は、接続詞がふさわしいです。最後に、軽く意味を考えてみます。「Jamalはずっとよいレビューをもらっている。彼が2年前入社して-------」の -------には「以来」を入れるとキレイにつながります。
よって、(C) sinceが正解です。選択肢の品詞分解は完璧でなくても構いません。もちろんできるに越したことはないのですが、このレベルの問いであれば意味をヒントに解答できます。
ここまでの説明が、さっぱり意味不明であれば、ぜひとも先述の”根本対策”に取り組んでみてください。が、それではちょっと突き放した感じがするので、少しだけ説明させてください。
品詞分解とは、それぞれの単語を、名詞(物の名前)、動詞(動き)、形容詞(名詞を説明するやつ)、副詞(名詞”以外”を説明するやつ)、前置詞(名詞の前に置くやつ)、接続詞(2つ以上の文をつなぐやつ)、助動詞(動詞の前に置くやつ)に分類することです。僕の場合、すべての単語の品詞を覚えるのではなく、おかれた位置から推測することが多いです。timelyのように、副詞っぽい形容詞は暗記してしまうのが手っ取り早いですが。
次に、構造把握は文における主語と動詞と目的語と前置詞句とto不定詞区を把握することです。
◆主語=1語とは限らず、形容詞+名詞や名詞+名詞で構成されたりします。
◆動詞=日本語で言う述語のことです。
◆目的語=動詞次第であったりなかったりする、動作の対象のことです。動詞単体では文の意味がわからない場合、この目的語を置きます。
◆前置詞句=前置詞+名詞や前置詞+形容詞+名詞で構成されたりします。
◆to不定詞句=to+動詞の原形で構成されています。
◆修飾語=無くても文は成立しますが、あると意味が分かりやすい語群のことです(端的に言えば副詞のことです)
英語は最低限「主語」と「動詞」があれば文が成立します。
前置詞句とto不定詞句は、それぞれ「主語ではない」「述語ではない」という判断のために使います。
当分の間は、PART5の形式の問題を解くとき、品詞の分解から始めてみてください。めっちゃ時間がかかりますが、気にしないでよいです。分解ができれば構造の把握をします。主語はどれ、動詞はどれ、目的語はどれと把握していきます。ある程度の量をこなしてくると、一々品詞分解をせずとも、文章の構造が把握できてくるでしょう。そこまでのレベルになれば、PART5の苦手意識はだいぶ薄れるはずです。
「5文形」については、Youtubeの動画で「不要」と主張するものがあったりしますが、構造の把握には役立ちますので、知っておいて損はありません。
もし、あなたが「5文形ってなに?」という状態であれば、続きの説明を読んでください。
「5文型」とは、すべての文章は5つに分類できるという考え方です。文章をS=主語、V=動詞、O=目的語、C=補語、(M=修飾語)に分解し、次の5つの形に当てはめると、意味が理解しやすくなるということです。
1:SV
2:SVC
3:SVO
4:SVOO
5:SVOC
1は「SがVする」という一番原始的な形です。
2は「SはVしてCとなる」という意味で、たいていbe動詞が含まれている形です。
3は「SはOをVする」という意味で、よくお目にかかる形です。
4は「SがOにOをVする」という意味で、たいてい「与える」というニュアンスが含まれています。「誰が何を誰にどうした」ということです。
5は「SがO=CとVする」という意味です。一番わかりやすい例は名付ける場合です。I named my son John→私は私の息子=ジョンと名付けた、ということです。
他に、僕がPART5対策に使用したのは下記の教材です(おススメできるものに限ってご紹介します)。
◆TOEIC(R)TEST必ず☆でる文法スピードマスター (森田 鉄也 (著), カール ロズボルド (著) Jリサーチ出版(出版社):この教材の特徴は、すべての問題文にSVOCが記載されている点です。構造把握があっているのかの確認にはうってつけです。他にはない特徴ですので、まず最初の一冊としては完璧です。そして、もう一つの特徴が、4つの文章の空所補充問題がついている点です。ようは、誤りの選択肢はどういう文章だと正解になるか、確認ができます。これも他にはない特徴です。ぜひ取り組んでみてください。
◆TOEIC® L&R TEST英文法 TARGET 600 (成重 寿 (著) Jリサーチ出版(出版社)):全165問収録されていて、スコア600点を目指す方向けの教材です。特徴としては、解答のプロセスが示されている点です。どう考えると解けるのかが、具体的に示されているので、これをマネするだけで「自分結構できるんじゃね?」と自信がついていきます。解説も分厚いので、PART5に不安のある方は試してみてください。
◆TOEIC® L&R TEST英文法 TARGET 730 (成重 寿 (著) Jリサーチ出版(出版社)):全165問収録されていて、先述の教材の730点目指す方向けバージョンです。中々難しいですが、解説が丁寧なので「なるほど」と理解しやすいです。全ての選択肢について言及があるので、納得感が強いです。ちなみに900点バージョンもあるのですが、難しすぎると思うので、満点を狙わないのであれば手を出さなくてよいかと思います。
◆1駅1題! TOEIC L&R TEST 文法特急(花田 徹也 (著) 朝日新聞出版(出版社)):全153問収録されている、圧倒的な知名度を誇る教材です。易めの問題から始まり、終盤には高難易度の問題が用意されています。終盤の「上級編」は飛ばしてもよいかもしれません。かなり難しいです。
あと、各問に制限時間が設定されていますが、無視してください。時間を気にするのは900点以上を狙う場合にしてください。それ以下のスコアが目標であれば、確実に正解できることを目指しましょう。正解するのに45秒かかったことを後悔するぐらいであれば、考えれば解ける自分をほめてあげてください。僕も初めは、正解できたうれしさよりも時間がかかってしまったふがいなさを感じていたのですが、心が折れますのでやめておきましょう。たとえ時間がかかっても、正解できるだけで素晴らしいのです。
時間内に解く訓練は、特にやらなくてもよいです。やがて早く解けるようになります。まずは正解することにこだわってください。一度読んでも答えが絞れないのであれば、気が済むまで繰り返し文を読み、それでも分からなければ和訳することも視野に入れてください。先ほどの説明と矛盾するような書き方ですが、正解できる体験を積むことはすっっっごい大切です!!!
◆関正生の TOEIC® L&Rテスト 文法問題 神速100問 (関 正生 (著) ジャパンタイムズ出版(出版社)):全102問収録されている、ちょっと難しめの問題集です。スコア700〜880を狙う方を対象としてます。関先生といえば、詳しくわかりやすい解説がウリですので、この問題集の解説も例に漏れずわかりやすいです。解答のスタイルとしては、「頭からすべて読んで解く」という正攻法です。どちらかといえば、学習の初期ではなく、テスト直前のおさらい用に使うのがよいのかもしれません。
◆TOEIC L&R TEST パート5特急 420問ドリル (神崎正哉 (著)、 Daniel Warriner (著) 朝日新聞出版(出版社)):全420問が収録されています。新書サイズの問題集ではおそらく最多の収録数です。そのせいで、解説はごくごく簡単なものになっています。が、ある程度実力が付けば「詳しい解説は要らない」と感じるはずです。
英語の勉強をしているのに日本語ばかり読んでいる、というのはなんだか勿体ないように思えたので、この教材を何周も取り組みました。個人的には一番おすすめです(先述の”根本対策”を除いて)。
あと、もう一つのおすすめポイントが、「語彙問題」も収録されていることです。市販のPART5の問題集は基本的に、「文法問題」のみです。問題文に難しめの単語が使われていることはありますが、語彙問題はありません。そういう希少価値も合わさって、一番おすすめしたい教材です。
◆1日1分! TOEIC L&Rテスト 炎の千本ノック! (中村澄子 (著) 祥伝社(出版社)):全157問収録されています。”千本ノック”という名前ですが1000問収録されているわけではありません。特徴としては、基本的な問題から、ちょっと難しめの問題まで収録されている教材です。ちなみに続編もありますが(全156問)、時間と予算が許せば取り組んでみてください(ちなみに僕はやりました)。
上級者向けの難問ばかりそろった問題集よりか、ちょっと難しめ≒本テストレベルの問題集のほうが、比較的負荷が軽くて取り組みやすいと思います。取り組みやすいというのは大事な考え方です。市販の上級者向けの教材(タイトルに”900点”や”満点”と入っているものは大体当てはまると思ってください)は難しすぎるように思います。高難易度がウリの教材は、満点狙いの方だけが手を出せばよいのではと考えてます。それ以外の方は「基礎的な内容」から「ちょっと難しめ」ぐらいの問題集に取り組めば十分です。
PART6は、専門の教材が少ないので対策がしづらいのですが、結局のところ品詞と構造を把握し、意味を読み解く、というシンプルな解答の仕方になります。個人的に苦戦したのは「文章挿入問題」です。空所に入れるべき文を選ばせる問題ですが、大体どれを入れても正解に思えてくる厄介な存在です。狙うスコアによっては、全部捨ててしまってもよいかもしれません。沼にはまりだすと、あっという間に時間が過ぎていくので、「諦め」も肝心です(ある程度、語彙力と文法力が高まると、カンで解いてもある程度正解できるようになると思います)。
◆TOEIC L&R TEST パート6特急 新形式ドリル (大里秀介 (著),、トニー・クック (著) 朝日新聞出版(出版社)):貴重なPART6に特化した問題集です。難易度はやや易しめなので、確実に解けるようになると自信がつきます。PART6特化の教材はなかなかお目にかかれないので、ぜひ取り組んでみてください。
以上です。スーパーお疲れさまでした。
次回はみんなが苦労するPART7についてお話しします。
では、また。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?