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仏教に学ぶ生き方、考え方「冷蔵庫」

「冷蔵庫」
 
 最近はインフレがじわじわと進行し、日用品や食料品の値段が少しずつ上がり始めています。先日カップラーメンを買おうとして、ふと値段を見ると五十円あまりも値上げされていて驚きました。やはりインフレの波はやってきているのですね~、世の中の動きに疎い私でもこればかりは実感させられています。

 そんなご時世ですが、インフレに対抗して、セールやバーゲン、また見切り品などを見つけては、できるだけそういうときに買い込むようにされている方もみえると思います。そして冷蔵庫に詰めこんで少しずつ使ったり、冷凍庫に凍らせたりして保存しようとしますよね。大きな冷蔵庫があるご家庭では数週間分の食料を保存しているといったこともあるでしょう。でもそれほど大きくない冷蔵庫だと、そのうち特売品で溢れかえることにもなりかねません。そういうことにならないように計画して買い物をしていきたいものです。

 さて、実はこの冷蔵庫に保存するということと似たようなことが仏教にも教えられています。それは「業」(ごう)という考え方です。業とは今の言葉で言うところの行為、行動を意味します。そして業には「身口意」(しんくい)の三種類があると言われております。身業(しんごう)は行動、つまり実際に何かをすることです。口業(くごう)とは、口の行動、つまり話すことを意味します。意業(いごう)は心の中で思うことを指します。つまり、したこと、言ったこと、思ったことすべてが業になり、それらは決して消えることなく阿頼耶識(あらやしき)という倉庫のような場所にすべてが保存される、という考え方です。阿頼耶識はとても広くて深いので簡単には溢れたりしません。なので人間の行動を何年、何十年に渡って保存することができるのです。このことを「業力不滅」(ごうりきふめつ)と言ったりします。

 また業力はとても強く私たちの人生を動かしていきます。一旦業力によって人生が動き出すと、いくら止めようと思ってもてんで敵わない、それぐらいの強い力を持つのです。なので、どのような業を積み重ねていくか、ということが大切になるのです。

 よく例え話で茹でガエルの話を聞きますよね?お鍋の水に一匹の蛙が泳いでいます。お鍋を火にかけると最初はすいすい泳いだり、あったかさを感じて、気持ちよく過ごせたりしています。そのうちだんだん熱くなってきても、今まで快適だったのでなかなか気づかないのです。そして気づいて逃げようと思っても時すでに遅し、茹でられてしまうというお話です。

 ここで大切なのはどのような業を積み重ねていくかによって業力も変わってくることです。毎日のちょっとした愚痴も溜まっていけば、やがては嫌われてしまいますし、毎日のちょっとした約束も、きちんと守ればやがて信頼されます。業とはつまり「日々の積み重ね」とも捉えられます。

 冷蔵庫に食品を保存するように、「心の蔵」に日々の行いを保存していく。そういう気持ちが、やがてはこの世の中を生きていく力になっていくのではないでしょうか?冷蔵庫にいつも食べ物があると安心できるように、心の蔵にも慈悲と智慧の心をいつも置いておきたいものです。

☆今日の一句☆

大切です
   日々のおこない
      積み重ね

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