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ほとけさまのおしえ「真夏の陽射し」

 夏がやってきました。

 そして暑いです。

 朝から太陽の陽射しが容赦なく降り注ぎ、「ジリジリ」と照らしています。

 そして、こんなときにはかき氷を「ガリガリ」したいなと思ってしまいます。

 「あれっ、住職さん、暑さにやられてほとけさまの話は忘れちゃったんですか?」と言われてしまいそうですよね?

 いやいやそんなことはありませんよ~、ちゃんと伏線を張ってますから安心してください(笑)

 さて先ほどの「ジリジリ」「ガリガリ」は、漢字で書くと「自利自利」「我利我利」となります。

 つまり、「自分の利益」や「我を利する」ことばかりに囚われることを意味します。

 よく自分のことばかり考えている人のことを「我利我利亡者(ガリガリもうじゃ)」と言ったりします。

 確かに人間である以上自分のことを考えるのは大切ですが、そればかりに囚われると結局は「上手くいかなく」なってしまいますよね~。

 なので仏教では「他を利すること」、つまり「布施の実践」を大切にしているのです。

 では仏様はどんな布施を実践されておられるのでしょう?

 それは「忘己利他(もうこりた)」です。

 読んで字のごとく、「己を忘れて他人を利する」ことこそ、布施の極意なのです。

 その最も有名な逸話が「捨身飼虎(しゃしんしこ)」です。

 これはジャータカというお釈迦様の前世の様子を表したものの中にあるお話です。

 慈悲深い王子が森の中で「飢えた虎の親子」に出会います。

 母親の虎は今にも我が子を食べようとしているのを見た王子は、自分の身を崖から投げて母虎に布施し、虎の親子の命を救ったという逸話です。

 これを聞いて「すごいなー」と思う反面、さすがにこれを実践することは難しいなと感じた人も多いはずです。

 つまり「忘己利他」は私たち凡夫にはなかなか実践できないということになります。

 でも私たちにもできる「他を利する」行動があります。

 それは何かというと「自利利他」の実践です。

 つまり「自分にとって利益になり、また同時に他人にも布施ができる」ことを心がけていくのです。

 例えば好きな選手が活躍したら、その選手にとっても、ファンの人にも喜びが舞い込んできますよね?

 また頑張って働いて、多くの給料をもらったら、自分も家族も嬉しいと感じるでしょう。

 そう考えると、実はほとんどの人が「自利利他」の実践を行っているのではないでしょうか?

 仏様のような布施はできなくても、「自分ができる布施」を心がけていく。

 そういう涼やかな心持ちで、この夏を乗り切っていきたいものです。


☆今日の一句☆

 もう懲りた(忘己利他)
     なんて言わずに
           自利利他を

 

 

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