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消えない蒙古斑の話

長男アキラが生まれた時、首に大きなアザがありました。

なんだこれ? 産まれてくるときに内出血でもしたのか? それとも何かの病気?とビックリして病院の先生に聞いたら、

「あー、これは蒙古斑ですね」

と、あっさり言われたのです。


蒙古斑? え…っと。
蒙古斑ってお尻にあるやつでは??
なんで首に???

と、驚いていると、

「蒙古斑ってお尻以外にもできることがあるし、普通は成長するに従って消えるものだけど、アキラ君の蒙古斑は広範囲ですし、消えないかもしれないですねー」

と、言われました。

そうなんだー。


まあ、蒙古斑なのは納得として、そっか、このアザは一生そのままかもしれないんだー。

これからアキラが成長して、自分の首のアザを気にし始めたら、

「これは何?」
「どうしてボクにはこんなアザがあるの??」

って、イヤな気持ちになったりする日が来るんだろうか??

よくわからないけど、とりあえず「アザがある=よくない」というマイナスイメージは刷り込まないようにしようと思っていました。

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というのも、私は子どもの頃、母から、

「あんたは声が悪いけんなー」


と、よく言われていたのです。


母のお気に入りエピソードとして何度も聞かされた話。
そして周りの人にしていた話で、

「まさりが小さい頃、知らない人とか初めての人たちが、あら可愛い娘さんやなーっ言っても、まさりがしゃべった途端に、あら、この子喉を痛めてるん? 声がおかしいなぁ、ってよく言われよったわー」

っていうのがあります。

そのたびに

「それはそうかもしれんけど…その話される時の私の気持ちを考えたことがあるんか」

と、毎度毎度、悪口を言われているようなイヤーな気持ちになってました。

だいたい、そんなこと言われても、努力で直せるもんじゃないし。
どうしろと?


なので、当然自分の声は母の言うとおり「悪い声」だと思っていたので好きではなかったですし、中学生ぐらいからは「あんまり人前で話したくないなー」っていう気持ちにもなってました。

そんな私ですが、高校の入学式で新入生代表の挨拶をすることになったんですよね。

…うへー、やりたくねー(・∀・)


でも、断ることができず挨拶したわけですが、入学後すぐ、知らない女の子から、

「あのー、新入生代表の挨拶された方ですよね? 可愛い声だなーと思って聞いてましたー💕」

って声をかけられたんですよ。

は?

一瞬、ちょっと意味が分からず、もう一回「ちょっと待って。今、この人なんて言った?」と頭の中で反復してみても…やっぱり意味わからん。

っていうか、あなた耳大丈夫?

おかしいよ、耳。

↑褒められたのに失礼な反応(・∀・)


とはいえ、せっかく声をかけてくれたので、

「あ…それは…どうも、えーと、ありがとうございます」

と、お礼は言ったものの、やっぱり意味わからん。


式典での挨拶だったので、ちょっとはよそ行きの声(?)になってたかもしれないけど、それにしても可愛い声のはずないんですよね😅

うーむ。


色々考えてみた結果、

世の中には色んな価値基準の人がいるんだな

ということで、私の中では落ち着きました。


同時に、今までは母の刷り込みもあり「自分の声は悪い声、絶対的にダメ」と思ってたけど、確かに良い声ってことはないけど、絶対ダメっていうこともないんだな、と思ったのです。

だって、声をかけてくれた女の子のように、別に私の声を「悪い声」と思わない人もいるということが分かったし、そもそも「どうでもいい」っていう人だっていっぱいいますよね。

なーんだ。

だったら、そんなことで嫌だなーって感じたり、卑屈に思うことなんてなかったんじゃん、と気がついたのです。

でも、この境地に達するまでの私は、

「自分の声は悪い声だから嫌い」

と、自分で自分を嫌っていたのです。
今思うとアホらしい。
それって不幸ですよね。

もちろん、母の刷り込みがなくても、自分の声を嫌いになる可能性もありますが、あの(しつこい)刷り込みは大きかったと思います。
実際、毎回嫌な気持ちになってたので。


…という自分の経験があったので、アキラには、

「アザがある=悪いこと=嫌だ」

という思いを私の方からは刷り込まないようにしようと、まず思いました。

まあ、大きくなってから自分で、

「このアザは嫌だ」「なんとかしたい」

って言い出したら、その時はその時で。
その時に考えればいいや、と。
今どき美容整形とかでアザをとる方法もあるかもしれないですしね。


ともかく、もし私の母だったら、

「このアザがなかったらなぁ」

とか、

「アザがあってかわいそうに」

とか、多分しつこく言うと思うんですが、そういうことは絶対言わないようにしよう、と思っていました。

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そしてアキラが小学生ぐらいからだったかなー? だんだん自分のアザに気がついてきて、

「これ、何?」
「なんでボクだけこんなアザがあるの?」

と、聞かれるようになり、そのたびに、

「これは蒙古斑だよ。普通はお尻にできるんだけど、首にできることもあるし、消えないこともあるんだって。
大人になって消えるかもしれないし、このままかもしれない」

と、淡々と事実をお知らせする、みたいな感じにしてました。

そして、特に変にこじつけたようなポジティブイメージを植え付けるのもなんか違うような気がするし、とりあえず、

「アキラだけにあるからアキラの目印だよ」

っていう説明はよくしてたような気がします。

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そして高校生の頃。

アキラが、

「今日さー、学校で友達から、

“その首のアザ何?”

って聞かれたんだよー。だから、

“これ、蒙古斑! かっこいいやろ?”


って言ったら、友達が困ってた

と、報告してくれました。


大きくなってからは、首の蒙古斑についてあまり言及することはなくなりましたが、ひょっとしてアキラの心の中ではアザがあって嫌だなーって思ったりしてるのかなー?と、親的には密かに気になっていましたが、まさか、

かっこいいと思っていたなんて(・∀・)


あいかわらず予想のはるか斜め上を行くアキラなのでした。

…友達も、多分、普通の感覚の人だろうから、アザがあることをプラスにとらえてないだろうし、そりゃ困っただろうなぁ。ごめんね。


でも、

「ボクの目印! かっこいい!」

と、思ってくれていて、母的には嬉しかったです😊

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そして話はちょっと飛んで、鬼滅の刃・遊郭編!

ついに妓夫太郎が登場しましたねぇ💕

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Ⓒ『鬼滅の刃10巻』より


それを次男ハルキが見てポツリと、

「ねーねー、アザがある人ってなんで強いの?」


そう!
主人公の炭治郎もそうだし、この妓夫太郎もアザがありますよね。(宇随さんのはアザじゃないけど)

炭治郎も妓夫太郎も強いですよね!


そしてスミマセン、ちょっとネタバレになっちゃうかもしれないけど、のちのち、アザが出現した人たちはどんどん強くなるという設定もありますし、ハルキの中では、

「アザ者=強い!」

っていう方程式ができているようです。


そこで、そんなハルキに、

「アキラもアザがあるんだよ」


と、教えてみたら、


「え💕 お兄ちゃん、アザ者なんだ💕」


と、なんというか憧れな感じで、目がキラっとしたのでした(・∀・)

すげー、カッコイイ!的な。


やっぱり、普遍的な価値基準なんてないんだなー😅

こちらの記事にたくさん♥️いただきました。読んでくださっている皆様、いつもありがとうございます😊

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読んでもらっただけでも嬉しいのに、サポートなんかしてもらっちゃったら感謝感激です💕