ULを通した服選び

今日は丹沢の鍋割山を歩いてきた。

 山登りと言うときつく聞こえるけど、散歩と運動の間って感じでいつも出かける。 外にいる時間は結構好きで、走るわけでもなく歩いているだけでも何か有益な気分になれる。ぼーっと考え事しながら歩いたり、効率の良い足捌きに集中したり、ペースを意識したり。何時間も歩くだけって飽きるようで意外とそうでもない。 

 格闘家の須藤元気さんがテレビで「山を歩いていると頭がトランス状態になって瞑想の感覚に近い」と話していたけど、実際1人で歩くとそんな感じかもしれない。 

 さて、出かける前は持ち物を考える。 街でもそうだけど、山に歩きに行く時は特に、 「如何にその環境と行動を快適に楽しめるか」 をテーマに着る物と持ち物を考える。 これがハマると外で過ごす時間はとても楽しくなる。

今回の話は、UL(ウルトラライト)の考え方を通した衣類の選択について。 

 ところで、流行りのグランピングの思想って、 「自然の空気は気持ちいけど、家ってやっぱり最高に快適だよね」をいいとこ取りした感じだと思うんだけど、 アウトドアは詰まる所そんな話で、「外の気持ちいい環境を味わいたい」のと「快適さも捨てがたい」のバランスを楽しむ遊びだったりする。 このバランスがどこに来るかが人によって違うんだけど、アウトドアアクティビティを通すと自分にとっての快適なバランスが少しづつ解ってきて、日常にもなんとなく応用できる様になった。 

 気にする点はULの思想に習って主に3つ 

 「ちょうどいい暖かさ」 「軽さ」 「大きさ」

 例えば野外での快適さは衣服によって決まる。寒い中薄着で出るとガタガタ震えながら地獄のような時間を過ごす羽目になるけど、厚着であれば「あいつ、この気温で厚着すぎじゃね?」って言う視線を気にしてしまったり、上着が面倒な荷物になって気が滅入ったりする。

これが「軽くて、コンパクト」であれば荷物としては気にならないので、気軽に持って出れるし、季節の変わり目は安心できる(mont-bellのスペリオダウンカーディガンや、Patagoniaのフーディニ など) 

 気温と湿度、風に対して自分が大丈夫と感じる服装が分かると、家でも外でもとても気持ち良く過ごせる。 

 山を歩く人は何に気を付けて選ぶか

 山を歩いていると、外的環境に対する感覚はものすごく敏感になる。 というのも山を歩くのは結構な運動で、直ぐに汗をかき始める。山での汗はとても危険で歩いている最中は気にならないものの、立ち止まった途端に、本当に途端に汗冷えしてガタガタ震えだす。 山を歩く人達は皆、この汗とどう向き合うかを一つの至上命題としている。

 その対処法は試行錯誤されていて、とても面白い。例えば二つの手段がある。

 一つは「汗をかかないようにする」 よくよく考えれば運動して暑くなっても、汗をかかなければ不快にならないのだ。その為、留まっている時は着込み、歩いている時は脱ぐという、「そんなの当たり前じゃねーか!」という原始的な話。だったりするが、実際そう上手くいかないものでもあり、汗をかかないけど寒くもない最適解が日々研究されている。また着すぎると肩が凝って外に出るのが嫌になるので、同じ暖かさなら軽い方が疲れなかったり。実は思ってる以上に服の重みで夕方ヘトヘトになっているもので、服を軽くすると「まだまだ動けるぞ!」ってなったりする。

 2つ目は「かいた汗で冷えないようにする」 この考え方は更に二つに分かれて、 「汗を速攻で乾かす」と「汗を肌から離す」 この辺のメカニズムは山と道  などでとても詳しく解りやすく上がっているので省略。

 アウトドアのウェアリングは奥が深い。この辺の理屈を知ると、日常で気づかなかったストレス要因に気付いて対処できる様になる。 ウールは肌のムレや不快感を無くしてくれるけど濡れると乾きにくいとか、化繊は直ぐ乾くし軽いけど、臭いやすいとか、コットンは柔らかくて気持ちいいけど濡れると不快極まりないとか。 

それぞれメリットもあるしデメリットがあって、組み合わせて弱点をカバーしたり。 例えばフリースは嵩があって暖かいけど、風はガンガン通すのでそれ一枚だとクソ寒い。上に保温性が無いけど風を通さないウィンドシェルなどを着るとそれぞれの弱点がカバーできる。 コットンのスエットは一見快適で暖かそうだけど、意外と保温性は低いし重くて肩がこるので、快適に着れる季節は春秋の短い期間だったり。 

 最終的に自分が何に対してストレスを感じやすいかを知ることと、それを解決する素材や手段を知ること。

 「このぐらいの気温なら自分はこのぐらいの軽装でもで凌げるな」 

「肩こらないタイプだから、服は重くてもいいや、とにかくスウェットが着たい!」

 「冬でも直ぐ汗かくからウールの肌着にしよう」 

「ダサくて太って見えるけどダウンなら一日外にいても軽くてあったかくて疲れないな」

 とかとか。 これらはアウトドア、とりわけ「ウルトラライト」の思考から教わった考え方で、ミニマルに近いけど違う面白さがある。

そんな事を考えながら山を歩いて、30過ぎていいなと思った服の組成をちゃんと見る様になりました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?