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趣味は「漫画を読む事」なんだけど

中学時代、5・6人で机をつけて過ごす給食の時間。少し苦手なイケイケの女バス部員Aちゃんに質問された。

「まさよはさーなんで漫画が好きなの?」

当時イナズマイレブンを引き金にアニオタの道へと突入していた私は、オタク悪友と共に絵を描いてはグフグフと笑い、お昼の放送にも放送委員の友達の特権を乱用して「宮野真守」の楽曲を月1必ず流すなど、なかなか気味の悪い美術部員だったと思う。(そのくせ体育委員だったりダンスやってるのアピールしてたから、いわゆる陰キャとも陽キャとも言えない、より変な奴だっただろう…。)

「私はさーゲームの方が好きなんだよね〜だって漫画って勝手に話進んじゃうじゃん?ゲームは自分の手で進められるの!断然楽しくない?」

ね?とイケイケサッカー部のT君に同意を求めていた。

向こうも私のことあんま好きじゃなかったみたいだったから、なんだか含みある嫌な感じだな〜とその場でビビッと察した。

けど何よりも先に、「確かに。」と思った。

私は何も答えられなかった。

そして未だに答えは見つかってない。

あの頃のオタク度から相当下がったものの、やはり今でも漫画やアニメは好きだし、みんながマーベル作品や虹プロを見ている間に私は「同級生」を読み「イエスタデイをうたって」を観る。

かといって、あの頃の作品の中に、事細かに力説できるくらい大好きな作品、というのは、振り返ってみると一つもない。

銀魂にも、カーニヴァルにも、WORKINGにも、Kにも熱中したけど、どれも漫画をすべて持ってるわけではないし、好きなエピソードとかを語れるほどのめり込んではいないのであった。

多分いろんなアニメを追って、声優さんのことを知った気になって、友達との話題を盛り上げるのが楽しかったんだと思う。

その証拠に、高校に入ってオタク友達がいなくなってからはほぼアニメも見なくなった。


Netflixという文明の利器を手に入れてからは、電車の中や寝る前などに、まるで嫌な事から目を背けるように銀魂やデュラララを見返した。ああ、こんな話だったのか。当時はキャラクターとキャストばかりに目がいって全然ストーリーわかってなかったんだなあ、と。

そして迎えた「コロナ自粛」。もちろん暇であるから、Netflixが捗る。

PSYCHO-PASS、鬼滅の刃、約束のネバーランド、文豪ストレイドッグス、7SEEDS、波よ聞いてくれ、BANANAFISH、輪るピングドラム…。

やはりアニメや漫画は面白い。

でもこの「現実から目をそらして他人の世界に没頭する時間」をすごく憐れに思ってしまう小さな小さな私がいることに気がついた。

見終わった後も、うん面白い、くらいの感想しか出てこない私が「趣味は漫画やアニメを観ることです」といって良いものなのか。



確実に言えるのは、ワンピースやH×H、スラムダンク、すごいよマサルさんが全部揃っている漫画一家に生まれ、ちゃおとコロコロを経由しジャンプを自腹で堪能し、毎期深夜アニメを1話は全てチェックし録画し朝6時起きで嗜んできた私の「アニオタ時代」は、今の私の身になっていること。明るい鮮やかな青春時代だけでは培われない「捻くれ」「絶妙な感性」「陰湿な部分」を形作ってくれていること。それがダンス作品や、居心地の良い友達作り、ちょっとしたギミックのある文才として役立っているような気がすること。

そしてその感覚にさらに磨きをかけたいのが、今日この頃。



今日は佐原ミズ先生の鉄楽レトラを読み返した。繊細な表現、綺麗な伏線、ものすごい暖かいハッピーエンド。ここ6年くらい本棚に置いてあったのに、どれも新しい発見だった。そしてやはり五本指に入るお気に入り作品だ。日常の小さなことがキラキラして見えるし、どのキャラにも背中を押され、押したくなる。

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最終巻のあとがきに作者の佐原ミズさんが「日頃思っていることを本にできた」的なことを書いていた。漫画やアニメに触れるというのは、その作者の思考や生き方に少し触れられるのかもしれない。(多分銀魂の空知先生も言ってた気がする。)会ったこともない人の人生から、何か自分の生活が少し潤うヒントをもらえる気がする。

そう言った意味で、私は漫画を本当の趣味にしたいし、好きと豪語できるようになりたい。

好きな漫画は書籍できちんと揃えたいし、キャラクターたちのセリフを受け止めたい。読み終わった感想は、評判サイトを見る前にしっかり言語化して自分のものにしたい。

まだまだ気になる作品は無数にある。ソウルイーター、デッドマンワンダーランド、青の祓魔師、それでも町は廻っている、大東京トイボックス、のだめカンタービレ、あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない…。最終巻まで追いかけられていないあまつき、東京喰種、僕だけがいない街、聲の形…。一つ一つ受け止めて、自分の感想を持っていこうと思う。長くかかりそうだけど、一生の趣味と思えば無限に終わらない、夢のような趣味だ。

あんまり好きじゃなかったAちゃんは卒業してもなおあんまり好きじゃなかったけど、こんな2000文字分もの自分の気づきをくれて有難う。

今日は真面目風に見えてそうでも無い話。



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