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協力ユニット間の応援体制について

ユニット型特養の夜勤は、2ユニットに対して1人の夜勤者を配置する体制であるため、日中(早番〜遅番)は各ユニットの職員で、夜間は隣り合うユニットの協力ユニット体制で夜勤を組むことが主流です

そんな中、隣り合うユニットとどう協力関係を築いていけばいいか、悩ましい思いを抱えているユニットリーダーさんも多いはず

実際に悩んでいたユニットリーダーさんたちの話をじっくり聞く中で、私なりに施設管理者の立場で思うことや考えについて回答した内容をまとめてみました

そっちは人が多いんだから、ちょっとくらい応援に来て欲しい

施設を運営するにあたって、各ユニットに職員をバランス良く配置するなんてことは、どんな施設でも最低限のこととして配慮していらっしゃるはずです

ただ、どうしても補充がすぐにできない時期にユニット間でバランスが悪くなってしまったり、シフトを組む中でたまたま少ない配置になってしまう日があったりします

とはいえ、そういう時期、そういう日の人手が少ないユニットとしては、こっちは人手が少なくて忙しいんだから、ちょっとくらい応援に来て欲しいって思ってしまいます

余裕があるユニットが気遣うべきは正しいのか?

協力ユニット間での協力関係を築いていくポイントとして、一般的によく言われることが、余裕があるユニットの方から余裕のないユニットを気遣って、こまめに声をかけてあげた方が良い、周りに心を配るそういう気遣いができるといいよね、という内容です

皆さんの現場ではこういうことが良いとされていますか?

または、余裕のあるユニットに対して、そうあって欲しい、そうあるべきだと思いますか?

私は、この点については反対の立場です

もちろん、自分のことだけじゃなく周りにも気遣いができることは大変素晴らしいことです

ただ、ここで私たちの立ち位置がずれてはいけないと思っています

私たちが気遣うべき相手は、職員ではなく目の前の入居者さん

私たちが最大限に心を配る相手、気遣うべき相手は、今いるユニットの入居者の皆さんです

いやいや、どちらか一方ではなく、どちらにも気を遣うことが大事だよと言われるかもしれません

もちろん、両者に気遣いができるのであれば、それに越したことはないと思います

それができる優秀な職員さんばかりでユニットを構成できる事業所さんは、それでもいいかもしれませんが、そこまで恵まれた環境が整っている事業所さんはそんなに多くはないはず

一部のユニットはそうであっても、他のユニットはそうではなかったり

両者を気遣うことの難しさ

最初はうまくいくけど、続かないことが多い

職員にも入居者の皆さんにもと両者に気配りを…とやっていても、だんだんと隣のユニットから、忙しいから手伝ってほしい…、人手がいるのに来てくれないの…?という空気を強く感じるようになり、それを察して常に隣のユニットのことを気遣わなければいけない空気になってしまっている

いつのまにか、応援に行かない職員のことが、気が付かない職員だ、できない職員だと、レッテル貼りが起きてしまう

それが、たとえ目の前の入居者の対応で、身動きができなかっただけなのに

つい周りの職員に嫌われないようにどうしたらいいかを考えてしまう

私たちは、何よりも一番に目の前の入居者の皆さんのことを考えて行動する事が大事だ、なんてことは百も承知です

それでも、それ以上に周りの職員さんのことが気になってしまう、嫌な顔をされないように、嫌われないようにどうしたらいいか、どうしても考えてしまう

一方で、応援に来てほしい側も、決して悪気があるわけではなく、実際に人手不足を感じながらでも、一生懸命支援にあたっているので、少しでも余裕があれば手伝ってほしい、と思ってしまう心情もわかります

ただ、「余裕があるはずなのになんで来ないの?」とか、「人が多いんだから応援に来るべき」とか、さすがに厳しすぎますよね

夜勤明けの暗黙のルールはありますか?

夜勤明けのあなた、早番者が出勤してくるまでに〇〇さんと△△さんと…は起こしておかないといけない、といった暗黙のルールはないですか?

いつもなら起きている方が、まだ寝ていらっしゃる場面を見て、早番者が嫌な顔をしたり小言を言ったりを、見たり聞いたりしませんでしたか?

これって、入居者のことは当然考えているけれど、入居者のことよりも、周りの職員のことを優先して、気にして仕事をしなければいけない状況ですよね?

つまり、何かしら意図的な介入がなければ、入居者の皆さんよりも周りの職員のことを気にして仕事をするようになってしまうという、この前提に立って、協力関係のあり方を考えなければいけないと思っています

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応援は必要としている側から声をかける方が良い

余裕がある側が相手側を気遣うことを習慣化すると、自ユニットの入居者の対応は最低限するものの、常に相手側の職員に気を使って、気を配って仕事しなければならないことになってしまい、自ユニットの入居者への気遣いが不十分になってしまう、そうなってしまっていたら元も子もない

だからこそ、応援や協力を必要としている側のユニットの方から、相手のユニットに「ちょっと助けて〜」「○時から応援頼める?」と働きかける、そして頼まれた側は、嫌な顔をせずに、それに応えるようにする

これを基本として、習慣化してみてはどうでしょうか

もちろん、頼みにくい…というのは当然ありますが、それは相手もそうで、お互いさまなのです

他にも「あの人の時は〜、この人の時は〜」とかあって良くないという意見もありますが、これは余裕がある方のユニットが相手ユニットを気遣うことを習慣化している場合でも起きる問題で、どちらかにしたら解決するような問題ではありません

余裕があるって言ったって、ちょっとの時間だったり、いつもそうなのではなく、その日シフト上の組み合わせでたまたま余裕があったという場合もあります

ちょっとした余裕がある、そんなときに考えたいのは、隣に応援に行くことではなく、自ユニットの入居者と普段はできないことをするということ

例えば、買い物に行のを手伝うだとか、料理をつくってもらうのを手伝うだとか、普段週2回のペースのお風呂の3回目を手伝うだとか

もし、居室担当者制をひいているのであれば、自分の担当する入居者さんが諦めていたことを実現するための活動に時間を使いたいと思いませんか?

私たちの立ち位置はどうあるべきか

もちろん、周りの職員のことを気遣って仕事できること自体は大変素晴らしいことですが、目の前の入居者さんがその犠牲になってしまっている可能性があることは、よく考えなければいけないんのです

それから、隣のユニットを気遣っていないことが減点評価となってしまうような評価基準は、入居者よりも職員のことを気にしてしまう職員を育ててしまう可能性があることもよく考えなければいけません

私は管理者という立場で、ユニットリーダーさんたちに

「隣のユニットを気遣えることに対しては、心の底からありがとうと感謝はしますが、だからといってそれがいい評価にはつながることはありません

何よりも、目の前の入居者の皆さんと、どんなことができたか、家族を巻き込んでどんなことができたかを評価します」

とはっきりと考えを告げています

人事考課制度をすすめている事業所さんは、評価項目を再確認してみてください

こういう危険性を皆が理解した上で、

「ちょっと手伝って〜」
「ちょっと助けて〜」

「は〜い」
「すぐ行くね〜」

と言い合える協力関係をどう築いていくか、ユニット会議等でこの話をネタにして、皆さんで意見交換してみてはいかがでしょうか

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最後まで、お付き合いありがとうございました


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