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#73 ゆく年2022-くる年2023

1.今年も回って来た「大晦日」

いよいよ、2022年も今日が最終日。きたやまおさむさんのコラム「まわる時間と安心感」に共感した昨年の暮れから、年末年始は、「まわる時間:円環的時間」を感じ、味わいながら過ごそうと決めました。今年もまた、「年末年始」、「大晦日」が回ってきました。
 ”直線的時間を生きている”、”2022年も残り数時間”という少し緊張したカウントダウンモード感覚と共に、またこの時が回って来たという安堵感を感じています。「二つの時間」を生きていることの恩恵だと思います。
 昨年のnote#30note#31、そして、前回のnote#72にも、その思いを書いていますので、ご参照下さい。

2.土曜つぶやき塾~テーマは「黒と白」そして「区切り」

 昨年10月から「塾生」として入塾した原島博先生の「土曜つぶやき塾」は、本日が2022年の最終回。今年の元旦は「土曜日つぶやき塾」で始まり、大晦日も「土曜つぶやき塾」で終えることになりました。毎回の先生の
"つぶやき"から、様々な気づき、自分にない知見とユニークな発想をいただきます。
 12月24日のテーマ「黒と白」では、二項対立で決めつけて考えていたものが、視点を変えてみると違った構図が見えてくること、両極にあるようでいて、実は意外に両者は近い位置にあるのかも知れないことなど、思い込みやバイアスを外してみると、これまで気が付かなかったことに気づきます。
<土曜つぶやき塾のテーマの該当URLを太字表示>
◆12月24日テーマ:下線リンクをクリックするとご覧になれます。
◆12月31日テーマ:区切り下線リンクをクリックするとご覧になれます。
本日のつぶやきのテーマ「区切り」を通して、改めて、私たちは直線的時間と円環的時間の2つの時間を生きながら、その恩恵に預かっていることに思いを致しました。

3.「幸」と「辛」:対極にある筈のものが、実は近くにある不思議

3-1 「幸い」と「辛い」:吉野弘「漢字喜遊曲」

12月25日付の読売新聞のコラム「編集手帳」に吉野弘さんの詩「漢字喜遊曲」の一節が紹介されていました。

いの中の人知れぬ
そして時に
さを忘れてもいる
何が満たされていになり
何が足らなくていのか。

吉野弘「漢字喜遊曲」より


幸と辛」ー確かに違いは一本の線だけ・・・
読売新聞「編集手帳」(2022年12月25日)

い」(さいわい)と「い」(つらい)ー対極にある筈の2つの漢字は、意外に近くにあるのではないか。吉野さんの深い洞察から紡ぎだされた言葉のように思います。
 学生時代に歌った吉野弘作詞、髙田三郎作曲の混声合唱組曲「心の四季」は今でも心に残る曲ですが、当時は、深い詩の意味など、あまり考えずに、若さだけで歌っていたような気がします。春夏秋冬の四季だけでなく、人生の四季になぞらえたこの曲の深い意味では、歌えていませんでした。
 西岡茂樹さんが指揮をした、豊中混声合唱団の混声合唱組曲「心の四季」(全7曲)がYouTubeで公開されています。円熟を感じる素晴らしい演奏だと思います。

吉野弘作詞 髙田三郎作曲 混声合唱組曲「心の四季」楽譜

表面的にしか理解できていなかった吉野弘さんの詩を、改めて読んでみたいと思います。吉野弘さんには「奈々子へ」という詩もありますが、吉野さんの長女、久保田奈々子さんが「吉野弘の部屋」というブログを作っておられます。娘ならではの視点が感じられ、興味深いです。

3-2 「幸せ」と「辛い」:星野富弘「すいせん」

せ」と「い」をテーマにしたもう一つの作品に、星野富弘さんの「すいせん」があります。
 私が星野さんの存在を知ったのは、1994年10月31日付の朝日新聞夕刊に掲載された記事がきっかけでした。日光のレストハウスの小金山聿子(いつこ)さんを取材したものでした。ー「夫の死、店を続ける決意・・・温かい詩画が支えてくれた」ー
 会社でこの記事を読んで、身体が震えるほどの感動を覚えました。この日、すぐに八重洲ブックセンターに行って、星野さんの詩画集を数冊買い求めました。

1994年10月31日(月)付 朝日新聞夕刊

幸せという
花があるとすれば
その花の蕾のようなものだろうか
辛いという字がある
もう少しで幸せになれそうな字である

「すいせん」(星野富弘「速さのちがう時計」)

朝日新聞記事で紹介された「すいせん」の詩画では、「もう少しで幸せになれそうな気がする」とあります。恐らく、その後に書かれたのは、「字である」に書き直されたのではないでしょうか?
気がする」は「自分・私」が主語であるのに対し、「字である」は、「辛いという字」が主語です。星野さんの視点が、より客観視されたもの、小さいものへのより温かい眼差しに変わったように感じます。そこには、大変な「さ」を経験した星野富弘さんならではの、「せ」という視点があると感じます。

4.正月の正の字ー相田みつをさんの言葉

せ」と「い」は背中合わせ・・・対極にある筈が、実は近くにある・・・ここには、円環的時間の中で、感じる感覚のように思います。
”正月の正の字は、「一」に「止」まる。一とは原点、一とは自分。自分が自分に戻る時”。相田みつをさんの言葉です。私は正月になるとこの言葉を思い出します。
 あと数時間で2022年は終わり、2023年が始まります。まずは正月から。
円環的時間、正月が今年も回ってきたという安堵感と共に、1年のスタートに立つという背筋が伸びる気がします。
 この1年間、noteをお読みいただき、有難うございます。
ゆく年2022-くる年2023、新年が皆様にとりまして良き年となりますよう、祈念します。

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