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#31 二つの時間を生きる

1.直線的時間と円環的時間

 2021年最後のnote投稿(#30 ゆく年2021-くる年2022)では、12月22日(二十四節気の冬至)の日経新聞夕刊に掲載されたきたやまおさむさんのエッセイ「まわる時間と安心感」を取り上げ、”年末年始を「円環的時間」として味わってみよう”と書きました。

12月31日(大晦日)、1月1日午前零時、正月3が日(2-3日には箱根駅伝に感動しました)に至る年末年始の一連の時間は、今年もまたこの時が来たという安堵感と共に、この時が迎えられたことへの感謝の気持ちがありました。きたやまさんのエッセイ「まわる時間と安心感」に改めて共感しました。

まだ、松の内ではありますが、4日(仕事始め)、5日(二十四節気「小寒」)を過ぎ、正月気分は終わりました。年末年始の円環的時間を感じながら過ごした後は、また、直線的時間を過ごす感覚に戻り、我々は、直線的時間と円環的時間の二つの時間を生きていることに、思いを致しました。

本日6日は、東京でも小雪がちらつき、今冬一番の寒さです。

2.正月の正の字

相田みつをさんの作品に、「正月の正の字」というエッセイがあります(「一生青春 一生感動」所収)。

”正月の正の字は、「一に止まる」。一とは原点、一とは自分。正月は、自分が自分に立ち帰る月。” こんな内容です。以下、著書からの引用。

自分が自分になるということは、人間としての、本来の自分になること。それでは本来の自分とは何か?(中略)「そんとく」「勝ち負け」お金の「有る無し」等を比べることをやめた自分、それが本来の自分です。(中略)感動にそんとくはありません。そんとくを離れた人間本来の自分に立ち帰る月、それが正月です。(「一生感動 一生青春」)

私が初詣でした地元のお寺(総持寺)でも、正月3が日には「修正会(しゅしょうえ)」をやっていました。
修正会とは、相田さんによれば、”昨年やってきたことのあやまち、失敗を反省し、自分の原点に立ち帰って、自分の生き方の軌道修正をするんですね。そして、自分のことばかりではなくて、世の中の平安や世界の人々の平安を祈願するわけです。つまり、正月とは、「そんとく」でゆがめられた自分の軌道修正をする月ともいえます。(「一生青春 一生感動」)

なかなか、このようにはできませんが、毎年正月には、相田みつをさんの書に目を通し、この気持ちになろうとしています。少ないお賽銭に託して、世の中の平安を祈りました。

3.”新しい自分”に出逢う

1月3日に見たNHKスペシャル「ウイズコロナの新仕事術」は、興味深い内容でした。NHKプラスで1月10日まで視聴できます。(再放送:1月8日(土)午前2時8分~53分)

出演者
端羽英子 株式会社ビザスク代表取締役CEO
山井梨沙 株式会社スノーピーク 代表取締役社長
池野文昭 医師・スタンフォード大学主任研究員
新浪剛史 サントリーホールディングス株式会社代表取締役
武田真一(MC) NHKエグゼクティブアナウンサー

端羽氏、山井氏、池野氏については、NHKの番組HPでも特別取材が掲載されています。

45分の番組でしたが、個性的なリーダー4人から発せられるメッセージは、「仕事術」というテクニックや技法に留まらず、色々と共感し、心に響く内容でした。テロップに表示されるメッセージを書きとめました。
 議論の展開の中で自然に出た言葉もあると思いますが、赤字が、4人が選んだ「豊かさのキーワード」です。

番組の中で、端羽さんが、「明日からできる自己PR」として、ワークショップのさわりを紹介したのは面白かったです。私自身が、キャリア支援の現場でも感じていることを、目の前で見た思いでした。

★「グループになって3分間、自己紹介して『自分はこういう人間だ』『あなたはこういう人だ』というキーワードをお互いに書いてみる。」★

番組では、武田アナウンサーが、3分間の自己PRを行いました。
「4人の参加者が強みだと感じたもの」と「武田アナウンサー(本人)が強みだと認識している(伝えたかった)もの」を、互いに開示したところ、自己PRした本人と、それを見て聴いていた参加者と、内容が全く違っていました。

これは、自己PRすることの難しさを示す一方、『自分は気づいていない強み』が、他人からは感じられ、発見されたということで、キャリア支援の現場でも、大事にしていることです。新たな出逢いや経験を通じた「新しい自分」との出逢いとも言えると思います。

正月は円環的時間の中で「本当の自分」と向き合いました。今度は、2022年という直線的時間の中で、”様々な場所で、様々な人と出逢い、様々な経験”を通して、「新しい自分」に出逢うこと、キャリア支援の現場で、そのお手伝いをすることに、取り組んで行きたいと思います。

直線的時間と円環的時間、二つの時間の中で生きている、生かされていることを感じながら、2022年のスタートを切りました。

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