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ウォームビズは何故大失敗したか2

前回に続き、ウォームビズは何故大失敗したかについて、述べていこうと思います。
今回は、小田嶋隆さんの持論を軸に、クールビズとウォームビズの違いを見ながら述べていこうと思っています。

クールビズとウォームビズの違い

クールビズとウォームビズの違いは、端的に言うなら、政治家がパフォーマンスをするかどうか、という大きな違いがあります。

ウォームビズは、元々クールビズの冬版として、当時の環境大臣(※現東京都知事)の思いつきにより開始されたものなので、政治家には、クールビズほどの思い入れがありません。
(※現東京都知事のみを除きます。)

クールビズもウォームビズも、どちらも政治家のパフォーマンスに過ぎませんが、最大の違いは、クールビズは政治家がノーネクタイになるだけ、ウォームビズは政治家がやらないだけ、といった大きな違いが出てくるのが現状です。

正確に言うなら、ウォームビズは、やらないだけというより、聞かれたらやっている感じの体裁で行くけど、報道側は政治家に敢えて聞くのか、という状態です。

報道が敢えて聞くのは、議員がパフォーマンスをやるぞ、と記者クラブに呼びかけた場合のみ。
抜き打ちで聞かない、聞けない報道を前にして、政治家がウォームビズをする意味は何ですか。
意味のないことはしないのです。

現在、報道がウォームビズについて敢えて聞きに行くのは都道府県ぐらいです。
環境省は、期間を定めないことにしたのですが、都道府県は期間を定めますから。

6月1日に環境省に行って、官僚がやらさせられているクールビズの写真の撮影をしに行くように、同様に、11月1日に都道府県で写真撮影をする。
ウォームビズみたいなもんは、所詮はその程度で十分だと思われているのです。

暖房の設定温度は、冷房の設定温度の約2倍以上の温室効果ガス排出量削減効果がありますが、にもかかわらず、所詮はこんな扱いなのです。

何故暖房が暑いのか

政治家はウォームビズを何故しないのか。

報道が抜き打ち質問をしないから、以外の理由があります。
こんな暖房温度でする必要がないからです。

何故暖房が暑いのか。
小田嶋隆さんの所感をもとに述べていきます。

クールビズ問題は、ファッションの問題ではない。
体感温度の問題でもない。エアコン設定温度の高低でもなければ、省エネルギーの是非でもない。
オフィスにおけるあらまほしき服装をめぐる問題は、職場のヘゲモニーの物語であり、地位とディグニティーと男のプライドを賭けたパワーゲームであり、結局のところオヤジがオヤジであるためのマインドセッティングの問題だ。

コラムニスト小田嶋隆の日録ページより引用。

 さてしかし、平成の背広は、「やせ我慢」の象徴であるのとは別の意味を獲得しつつある。
 というのも、少なくとも21世紀にはいってからこっち、オフィスのエアコンディショナーは、明治大正昭和のそれよりはずっと涼しい、オヤジオリエンテッドな温度に設定されているからだ。
 実際、ネクタイ慣れしたオヤジにとって、オフィスはそんなに暑苦しくい場所ではない。
 逆に、半袖ブラウスにスカート姿のOLさんたちが寒い思いをしている。で、寒がりの女性たちはロッカーにサマーセーターやカーディガンを常備していたりする。

同上。

これはスーパークールビズについてのものですが、ウォームビズにも参考になります。
私は暖房温度や冬の乾燥によってウォームビズが出来ませんが、小田嶋隆さんは、そういう問題でないことを見抜いていますね。

夏もそうだし冬もそう。
ジジイ向け温度が絶対なのです。
私が毎年、冬場になると血塗れ(ちまみれ)になり、血塗られ(ちぬられ)ているのは、何もかもジジイのせいなのです。

但し、暖房温度は、ジジイが一斉にウォームビズをするだけで済む話なのですが、そうでもないのです。

政治家がウォームビズをやらないのは何故か

小田嶋隆さんはこう述べます。

 背広は権力だ。
 同時にそれは、権威の表象でもある。
 だから、オヤジはそれを簡単に脱ぐわけにはいかない。
 脱いだらさいご、魔法がとけてしまうからだ。
 王子様がヒキガエルに戻るみたいに。
 職場の服装は、地位を象徴している。
 逆に言えば、地位を表現しない服装は、働く者の身構えとして不適格だということになる。

同上。

政治家がクールビズをノーネクタイしかやらない理由がよくわかりますね。
同時に、ウォームビズを全くやらない理由もよくわかりますね。

偉いさんの服である背広を手放したくないから、夏はノーネクタイしかやらない。
偉いさんの服である背広が着膨れてしまうぐらいなら、ウォームビズは一切やらない。

偉いさんであることを服で表現しないといけないから、政治家は、いや、政官財の上層部は、毎年クールビズもウォームビズも形骸化させ、大失敗へと向かわせているわけです。
私の腕が血で滲もうと。

政治家がウォームビズをやらないのは何故か。
地球がどうなろうがやりたくないからですね。

官僚が、(特に上層部を除く官僚が、)クールビズやウォームビズを誰よりもやらさせられている理由もわかりますね。

政治家がやらないからです。
何日にパフォーマンスをやるぞ、と記者クラブに予め言っておいた日以外には、政治家が一切やらないから、官僚がやらさせられているのです。

そう言えばスーパークールビズの開始日は寒くてしょうがなかったのを覚えています。
調べてみると、東京21.8℃。
政治家のパフォーマンスそのものですね。

リンク

小田嶋隆さんの全文は以下のリンクになります。

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