負けず嫌い【エッセイ】八〇〇字
4月9日から始まった早大オープンカレッジ「エッセイ教室」の最終課題(全8課題)のお題が、「負けず嫌い」(800字)。あなたなら何を書きますか?
お得意のウォーキングでの出来事。過去に扱った内容を膨らまし、“深め”ました。
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ウォーキングを日課にしている。速足で、8000歩。還暦あたりから10年以上続いている。自宅のある新宿区を縦横に。速度は、時速5キロくらい。少し速く歩くと、4キロ弱だから、けっこう気合を入れて、歩くことになる。本人は極めて真剣。だからこそ、その姿を他人様が見かけると、滑稽に見えるかもしれない。そんな最中に、面白いことに出くわす。
前方に、車いすをはさんで付き添いの2人とポメラニアンが、一匹。狭い歩道を歩いている。声掛けし、道を空けてもらおうか、ガードレールをまたぎ、車道から追い越そうかと迷いっていると、犬が振り向き、進路を譲ってくれたのだ。通過する際に犬と目が合ったが、笑っているように見えた(まさかね)。
そんなワンちゃんと違い、譲ってくれるどころか競歩になることがある。前を歩いているひとを追い抜いたとき、抜かれたのが悔しいとばかりに、抜き返すではないか。100メートル前方にいたので、スピードがまるで違っていたはず。このタイプは男よりも、勝気そうに見えない20歳前後の女子に多い(個人的印象だけど)。コンパスがこちらのほうが長いので、150センチ台のその子は、小走りのような、ピッチ走法。汗を、かきかき。
完全に追い抜かれるのなら、まだいい。許す。速度が同じなのが、悩む。たまたま信号で一緒になったひとと、スタートすると、仲良く歩かなければならなくなる。絶世のベッピンさんなら、望むところ。が、野郎なんかじゃゴメンしたい。そんなときは、進路を変える。
先ほどの女子。こちらも負けてたまるかと小走り気味にピッチを速め、大差をつけようと、再度追い越すのだが、また抜かれる。若い子を相手に、古稀を越えた大人がやることじゃないと諦め、脇道に入り、200メートルくらい遠回りし、ルートに戻ることにする。すると、合流点で、そのお方と、バッタリ。なんと、再会となってしまったではないか<あのねぇアナタ———、仲良く歩きます?>。
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