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顔【エッセイ】六〇〇字

 早大エクステンション「エッセイ教室」冬講座。これから六つの課題に苦しむことになる。嗚呼・・・
 最初のお題は、「顔」。「顔が語る」「顔色をうかがう」「顔は名刺である」など、いろいろあるかも。ひらめいたのが、「自分の顔に自信を持つ」。親から授かったのだから、一生ボディに乗っけて自信をもって生きていく。とは思ったものの、小さいときは劣等感があった、という話。

 「ギアに似ていますね」と、三人の女性に言われたことがある(どこが? と言わないでね・・・)。『愛と青春の旅立ち』がヒットしていた、四十少し前の、まだまだ若い頃。ギアは、欧米の俳優では、東洋系の顔立ち。流行語大賞にもなった、「しょうゆ顔」系。
 小さい頃は、一重であることに劣等感があった。父親が一重で、母親は二重。「お母ちゃんの子じゃないの?」と、思ったりもした。
 その頃、一重だった芸能人が、急に二重になることがよくあった。弘田三枝子や、いしだあゆみ、そして九重祐美子。三田明も。三田なんかは、綺麗な目鼻立ちだったのに・・・。前の方が、私は好みだったんだけど。
 その芸能人たちが年を重ねてから、歪んだ顔をよく見かける(誰とは言わないが)。同年代のひとよりも老けて見えることも。本人が、後悔していなければいいけれども、そんな必要はなかったんじゃない? と思ってしまう。
 深刻な事情があるなら手術も必要だろう。が、一重ぐらいで顔を変えてしまうなんて、親に悪い。モラトリアムの時期を経て、三十代。「しょうゆ顔」の流行語にもあやかり、仕事や自分の顔に、自信を持てるようになった。
 ところが、還暦の頃から、二重風になってきた。たぶん、頭皮が下りてきて瞼にたるみができ、線が入るようになったからだろうけど。
 やっぱり、お母ちゃんの子だったようだ—————。

(後記:言いわけ)
「ギアに似ている」というのは、正確に言うと、TOP画像の「ギアが鬼教官に虐められ、泣いている」顔に似ている、であります。誤解なきよう・・・。(笑
鬼軍曹に一人しごかれ、ついに本心、“I got nowhere else to go!”と叫ぶシーン。感動して、あの顔になった記憶が。


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