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旅路【エッセイ】六〇〇字

 早大エクステンション「エッセイ教室」春講座。六回目の課題は、「旅路」。想い出すのは、『男たちの旅路』。生き残りの元特攻隊員のガードマン(鶴田浩二)と、戦後生まれの若者たち(水谷豊、森田健作、桃井かおりなど)とのドラマでした。脚本は、山田太一。TVドラマ史に残る名作です。
 第一回放送は1976年春。この時期ワタクシは卒業直前、郊外レストランチェーンをめざして群馬・太田の実験店で奮闘していました。
 ここでワタクシが描くのは、「人生の旅路」。『生きがい』で描いた内容と一部が重なりますが、「暇つぶし」になります。『男たちの旅路』の名セリフを聴いていると、「暇つぶし」なんて言っちゃいけねえな。💦^^

                ※
 「人生は死ぬまでの暇つぶし」
 パスカル大先生が、そう述べたそうな。
 大先生の時代はともかく、いま生きるひとの多くは、暇なく必死に生きているのが、現実。ただ、お言葉通りに「暇つぶし」気分で、楽しみながら、人生を気楽に歩むことができたら、どれほど豊かに感じられることか。
 小学生の頃。そんな哲学者の言葉なんぞ知る由もないが、生まれながらの楽天家だったようだ。「今日は、どんな面白いことをやってやろうか」とか、「何を言ってウケを狙おうか」とか、常に考えているような子だった。
 そんな気質のせいか、大学に入るまで紆余曲折があり、実質三浪。自然の成行きで、就職は「寄らば大樹の陰」は叶わず。ならば、すでに整っている伝統的な世界よりも、誰も手を出しそうもない、得体の知れないことに挑戦したほういい。その方が、マイペースでできる。そう考えたのが、自分らしい。
 とはいえ、得体が知れないだけに、二十代はモラトリアム。が、三十路から十七年勤めた会社から、「遊び魂」が、再び開花。四七で独立してからは、全開となる。仕事と休みの境もない二十年。決して暇ではなかったが、気分だけは、「暇つぶし」感覚で終えられた。
 最近。身体のあちこちがガタつき始めている。「さて、どんな終幕エピローグを迎えて、ウケを狙ってやろうか」と、「暇つぶし」中である。

TOP画像:パブリックドメインQ

(おまけ)
本日の「天声人語」。極悪非道な人間を、ふつ~うの人間として描いた方が怖いよね。たまたまだが、『男たちの旅路』の名セリフと通じるものがある。

朝日新聞朝刊(2024年5月29日)

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