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神だのみ【エッセイ】六〇〇字

 朝日カルチャーセンター通信教育「エッセイ講座」の10月提出課題は、「神だのみ」です。
 
 私は、晴れ男である。
 高校までの運動会で雨が降ったという記憶は、ない。だから、テルテル坊主など下げたという記憶も、ない。かけっこの苦手な子からは、恨まれる存在だった。楽しみにしている行事は、ほとんどが晴れた。いや少なくても雨が降ることはなかった。だから、遠足なども、当然。
 ただ、例外はある。小学校4年から野球クラブに入っていたのだが、試合の日は晴れてくれと祈るが、猛練習が続くと、「雨々 ふれふれ もっとふれ」と、八代亜紀の『雨の慕情』を、振りをつけて、涙目で歌う、こともあった。
 大人になっても、楽しみにしている外での行事では、雨は降らない。
 代表的な行事は、ゴルフ。
 こういうことがあった。プレー日に台風が上陸するという予報。同伴者から「中止にしようよ」と弱気な発言。でも、私は言った。「晴れ男の私を信じなさい。明日はできる」と(内心、揺らいでいた)。どうも、台風と完全にご対面の雰囲気なのだ。
 しかし、出発。目的地は、関越高速の藤岡。練馬から乗り。完全に台風の中を走ることになった。さすがに、今回は完全にアウト、と頭をかすめた。台風の時速が50kmくらいだったのだろうか、追い抜かれはしなかったが、追いかけてくる。
 私は祈った。祈願した。
 やっとの思いで、ゴルフ場に到着。クラブハウスのレストランで外を恨めしそうに見ていたのだが、なんと、文字通りの「台風一過」。激しい雨が去っていくと同時に、晴れ間が拡がってきたのだ。2時間遅れだったが無事に、スタートしたのだった。

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