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投稿【エッセイ】

 三年半前の朝日新聞「声」の欄に、初の投稿で、掲載されることになる。
 「おお、私もけっこう文才あるじゃないか」と、少し誇らしく思った。しかし、掲載号を見て、納得。私の投稿記事の左横に、「今の九条の方がよほど危ない」という記事が掲載されていた。つまり、憲法をテーマに、相対する意見が続けて投稿され、並べて掲載すればバランスがとれると、編集員が判断したのだろう。要は、たまたまだったのかも。
 投稿(特に、新聞への)は、タイムリーさが求められる。例えば、その日に予定されている社説、想定されるニュースと同テーマであると、掲載されやすい。
 しかし、二回目の掲載は、投稿してから一か月以上たったころに、電話連絡があった。編集員が、記憶にとめてくれていたことに、感動し、驚いた。初の投稿の二年後で、三回目の投稿だった。
 三回投稿して、二回の掲載。打率六割六分七厘。かなりの高打率である。しかし・・・、その後、三回投稿しているが、空振り。ビギナーズ・ラックだったのかもしれない・・・。

 以下に、その掲載された原稿をアップします。憲法問題に関心がある方は、読んでいただければ幸いです。(500字×2本)


 【2016年3月27日の「声」に掲載】

改憲を急ぐと日本が危ない

 私はいわゆる護憲派だが、一字一句変えてはならないとは考えていない。9条と自衛隊、日米安保の関係は微妙だと思うし、条文と現実に違和感もあるからだ。しかし今、憲法を変えるのは反対である。
 「今」というのは「現政権のときに」という意味である。「早く改憲しないと日本が危うい」(19日)という投書があったが、私は逆だ。「改憲を急ぐと日本が危うい」と言いたい。
 確かに、日本周辺の危機を伝える報道が目立つ。だが、改憲して現在の防衛体制を早急に強化したとしても、日本を確実に救えるのだろうか。「軍拡のジレンマ」に陥る恐れもある。そうなってしまえば、それこそ「無責任」ではないか。
 首都大学東京准教授の木村草太氏は、安倍晋三首相が必要性を主張する「緊急事態条項」を、「内閣独裁権条項」と呼んだ方が正しいと説く。同感だ。
 現政権は特定秘密保護法や安全保障関連法を、多くの国民が反対する中、説明を尽くしていると言えないまま強行採決した。そんな政権による改憲には、危うさを感じざるを得ない。


 【2018年5月22日の「声」に掲載】

 次の「解釈」余地生む9条改憲

 4月25日の「自衛隊は合憲か?違憲か?」の問いかけに答えた4本の投稿の中に、為政者の「解釈」の余地がないよう9条を改憲し、専守防衛の範囲を明文化するべきだ、との主張があった。私は賛成できない。
 どのような条文でも、勝手な「解釈」の余地は残ると思う。だとすれば、「解釈」の元となる条文は、平和主義の理想を掲げる今の文言であるほうが、自衛隊の活動範囲の拡大に対して歯止めになると思う。
同じ日の別の投稿者の言葉を借りれば、理想と現実の差に「負い目を背負っていく」か、それとも現実を理想に近づけ「負い目」を解消するか。私は後者を選びたい。もがき続けながら理想に一歩でも近づかんとする努力が大事ではないのか。
 法案の強行採決や「モリカケ」問題、自衛隊の日報問題などが続き、政治不信は強まる一方だ。そんな中で憲法論議を始めようという自民党の姿勢には不信感を抱からざるを得ない。
 もし、国会が安心して憲法論議を任せられるようになったら、いずれ改憲したほうがいいと思うのは「解散権」の部分だと思う。為政者の恣意的な衆院解散に、それこそ歯止めが必要だ。

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