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老朽原発の審査案、現わる

原則40年を超えて高浜原発を稼働させようとする審査のズサンさを11月7日に知って、2日に明らかにされた老朽原発の審査案に、改めて疑問が湧いた。

経産省へのリアクション?

疑問とは、経産省による「原則40年」の事実上の撤廃方針の検討へのリアクションー山中委員長は「利用政策側のアクションに反応・対応する」と11月2日に言及ーとして、原子力規制委員会が老朽化(行政用語では「高経年化」)の審査を厳しくすると言い始めているが、それは本当か?という疑問だ。

遡っておさらいする。

10月5日、原子力規制委員会は原子力規制庁に、次のような三段論法で老朽化審査を厳しくするための案を作るように指示した。

「資源エネルギー庁は、原子力利用政策の観点から運転期間を見直すための検討を進めている」→「運転期間は、現行の原子炉等規制法ではなく、原子力利用省庁が所管する法令で定める方が適切である」→「高経年化した発電用原子炉の安全確認に関する厳正な規制が損なわれることがないよう」「案の検討を指示した」

「高経年化した発電用原子炉に関する安全規制の検討」より引用)。

11月2日の原子力規制委員会で、原子力規制庁は指示に応えて下表の案を出してきた。真ん中2つ「運転期間延長認可」と「高経年化技術評価」が現在の制度。右欄が「検討中の案」。左欄が「開始時期」など制度の項目だ。重要なので、少し詳しく説明する。

出典:「高経年化した発電用原子炉に関する安全規制の検討」6ページ

いま現在の運転期間の延長手続とは?

高経年化した発電用原子炉に関する安全規制の検討」2ページをもとに、法律と規則を引っ張り出して読むと、現在の制度は次のようなもの。「運転期間延長認可」は原子炉等規制法第43の3の32 で定められている。(これはとてもズサンな審査であるとの一例を、前回書いた。)

一方、「高経年化技術評価」は実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則第82条第1項〜3項(いわゆる高経年化技術評価)と、規則第92条の保安規定等で現在、定めている。これらをザクっと要約すると

  1. 電力会社は、運転開始後30年以内に、原発の重要な機器等を高経年化技術評価した結果に基づき、10年間に行う施設管理方針を作る。

  2. 電力会社は、運転開始後40年以内に高経年劣化技術評価を行い、延長期間満了日までに行う施設管理方針を作る。

  3. 電力会社は、運転期間の延長認可を受けた原発が運転開始後50年以内に、高経年技術評価を行い、延長期間満了までに行う施設管理方針を作る。

国会で審議した原子炉等規制法は、原則40年、例外で最大60年。しかし、国会審議を経ずに官僚が定めた規則の方は、いま既に、60年まで原発を使うための施設管理方針を電力会社が作りさえばよいという制度。主語は「電力会社」だ。

原子力規制庁が考えた新たな案とは?

これに対して、「高経年化した発電用原子炉に関する安全規制の検討」3〜5ページ)で原子力規制庁が委員会に指示を受けて示した案は、法律と規則に別々に書かれたことを合わせて、法律で定める案だ。

原子力規制企画課の企画調整官のわかりにくい説明(議事録6ページから)を、主語を明らかにしながら普通の日本語にすれば、その案は次のようなものだ。

電力会社は、運転開始から30年以降、10年置きに2つのことが義務付けられる。

  1. 老朽化に関する技術的な評価

  2. 評価結果に基づいた長期施設管理計画(仮称)の策定

原子力規制委員会は、計画を認可するだけだ。整理してみて、改めて驚愕したが、山中委員長も次のように言っている。

「10年後なり、あるいは10年に満たない期間、きちんと安全が担保できるかどうかということを事業者に立証させて、我々は確認する、そういうルール」

議事録11ページ。

「認可」は「鵜呑み」にならないのか?

山中委員長の言う「そういうルール」は、経産省が原発を運転期限をなくすことが前提だ。つまり、原発が無期限に稼働する中、原子力規制委員会が単に、電力会社の自己評価結果に基づく管理計画を確認するだけ、になるのではないか。

11月2日の記者会見で、山中委員長は記者に「今の40年認可の制度から比べて」「変わらないのか「厳しくなるのか」「易しくなるのか」と問われて、「現行制度よりもはるかに厳しい高経年化した原子炉に対する規制であるという認識で私自身はおります」と豪語していた。

本当か?」とその時、私は首を傾げたが、40年を超えて高浜1・2号機や美浜原発3号機を稼働させようとする審査のズサンさを11月7日に知り、「本当に本当か?」と巨大な疑問符が頭に浮かび、翌々日(11月9日)の記者会見に行くことにした。(長くなったので続く。)

■関心を持った方に見ていただきたいページ
2022年11月2日(水)原子力規制委員会 資料 動画 議事録 
2022年11月2日(水)原子力規制委員長会見

タイトル写真【食べると眠る】

自力で食べられないアキに、ドッグフードをお湯でふやかし潰し、切ったジップロックの角から口に注入するが、眠ってしまう。

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