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GX説明会:パブコメが終わってから?

経産省が、今になり、「GX実現に向けた基本方針」の全国説明・意見交換会を始めている。

GX基本方針説明会

しかし、説明会10回のうち8回は同方針のパブコメ締切(1月22日深夜)後。しかも多くが「調整中」で、タイミングが悪ければ申し込みを逃してしまう。

「GX実現に向けた基本方針」の全国説明・意見交換会
北海道経済産業局 2月15日 調整中
東北経済産業局 2月6日 調整中
関東経済産業局 1月20日(終了)
中部経済産業局 1月19日(終了)
中部経済産業局(北陸支局) 2月22日 調整中
近畿経済産業局 2月3日 近畿経済産業局 申込についてはこちら
中国経済産業局 2月28日調整中
四国経済産業局 3月1日 調整中
九州経済産業局 2月27日 調整中
内閣府沖縄総合事務局経済産業部 2月13日 調整中
(2023年1月19日現在)

筆者が開催に気づいたのは初回の19日。既に関東のオンライン参加は定員100名で受付終了。中部のオンラインは200名で当日申込でも参加できた。関東はなぜ100名ぽっちか聞くと「ポケットWiFiでつなぐから」というので唖然とした。ちなみに開催を本省のウェブサイトで最初に案内したのは1月13日(金)だったという。

当日資料(全107ページ)が50分程度で説明され、参加者は質問や意見を言える。あまりに遅く急な説明会への批判には、パブコメはパブコメ、説明会は別途行うものだと苦しい回答に終始した。

オンラインでも質問可だと言うので挙手ボタンを押し、3つに絞って質問した。回答をもらうことはできたので、以下、メモしておく。

エネルギー消費量は20年で3割減

Q1 P.45について。最終エネルギー消費量は20年間で3割減であることをなぜP.7の現状で説明して、それを議論の出発点にしないのか?

当日資料

回答「今まで減ってきたことを認識した上で、温室効果ガス46%削減やカーボンニュートラルを目指すにあたっては省エネをやっていかなくてはいけない。先ほど会場のみなさんご意見頂戴した中にもございましたが、まだまだ省エネの余地がある。決して現状認識を無視していることではなく引き続き進めていきたい。」

経産省説明者

制度設計をする上で、現状認識が歪んでいれば、制度設計が歪む。再度、「電力ひっ迫だけが強調されるが、10年に1度程度の厳しい気象でひっ迫する状況であれば、ディマンドレスポンスや順調に伸びている再エネと蓄電池の組み合わせで対応可能にする手もあるのでは?」と質問を明確化したが、的を射た回答を得ることはできなかった。

廃炉の円滑化?

Q2:P76について。廃炉の円滑化のために何をするのか、この説明では理解できない。国民の負担を増やすのであればしっかり説明を。

当日資料

「廃炉の円滑化のために何をするのか。ここは電力事業者の方から拠出金という形で徴収する方向で制度設計の議論をしている。「原子力事業者」という丸があるが、現在、「引当金」という形で用意しているが、これを実際に拠出金という形で納付をいただくことで想定をしている。」

経産省説明者回答

説明者が言う「引当金」(解体引当金)とは、電力会社が廃炉のために積み立てるお金のことで、算出方法が甘ければ足りなくなると危惧されてきた。それを「拠出金」にすると何が変わるのか。「許可法人」とは何かこの説明では理解が困難だ。

GX経済移行債(仮称)?

Q3:P105について。GX経済移行債を発行するとのことだが、EUでは原発への投資の条件に、高レベル放射性廃棄物の最終処分の見通しなどが明らかにされる。このような債権や原発の新増設には、少なくともそのような要件が必要ではないか?

当日資料

「GX経済移行債の要件については今後、検討する」

経産省説明者回答

今回の説明で、もう1つ気づいたことがある。原子力政策の形成過程で「嘘」と批判した資料が、今回の資料からは消えていた。昨年、GX実行会議でも、経産省の審議会でも、原子力規制委員会でも使った運転期間の延長を煽るような「嘘」を、この期に及んで引っ込めた。

疑問が浮かんだら

日本では、エネルギー需要も温室効果ガスの排出量も減少(こちらの「鮎川資料」参照)している。その現状をもとに、再エネ(地熱、風力、太陽等)だけを増やす道を見つけるのが最善ではないか?

その道とは乖離の激しい「GX実現に向けた基本方針」についての全国説明・意見交換会(https://www.enecho.meti.go.jp/information/gx/index.html)。資料を見て、疑問が浮かんだら、時間を捻り出して参加されてはいかがでしょうか。

タイトル写真【省エネの進捗状況】

出典:「GX実現に向けた基本方針」についての全国説明・意見交換会資料P.45

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