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後半「岸田政権による原発回帰がもたらす10の問題」(メモ)

「岸田政権による原発回帰がもたらす10の問題」(メモ)の続き

【Part2】緊急リレートーク!「岸田政権による原発回帰がもたらす10の問題」(2023.01.15)

6.再稼動の問題

西島香織(原子力災害考証館furusato、CCNE政策調査部会)
 再稼働は利害関係者と国で決めてしまう。パブコメにかけられている案を見ても、社会的合意をどう取るのかのプロセスに触れられていない。核のゴミについて皆で考えようと言っているのに、再稼働だけは狭義の立地地域の首長と原子力規制委員会の判断で決まる。
 避難と有事の際の記述が楽観的。「ゼロリスクはない」と言い切っていることへの抗議をしたい。原発事故で失われるものは取り戻せない。国が進めようとしていることに一つの自治体の責任で負わせようとしている。

7.そもそも気候変動対策になるのか

鮎川ゆりか(千葉商科大学名誉教授、CCNEアドバイザー)鮎川資料
 京都メカニズムに原発を入れることを日本政府も他国も求めたが、温室効果ガス削減の「数値目標の達成に用いることを差し控える」と合意された(2001年)。以降も「適格な原子力活動」として「放射性廃棄物の永久処分問題」や「安全性、安全保障、保障措置、リスク管理」などの条件が求められ(2009年)、原発はこれらをクリアできていない。
 そもそも原発がなくても日本の温室効果ガスの排出量は減っている。省エネが進み、再エネが増加して、最終消費量が減ったからだ。

出典:鮎川資料

また、供給側から見ても、増えているのは再生可能エネルギーのみ(赤矢印)。

出典:鮎川資料

原発はむしろ、温暖化の影響に弱いことがわかってきた。
・猛暑で原子炉を冷やせない!地球温暖化の影響が原発の稼働にも及び始めた (2022年7月31日 Wired) 
・ 猛暑で原発が出力低下?深刻な“電力危機”に直面するフランス(2022年8月18日 NHKニュース) 
・フランス:酷暑と干魃と冷却水不足に苛まれる原子力大国(2022年8月25日 ちきゅう座)
・フランスで電気料金高騰 約半数の原発停止、熱波で出力引き下げも (2022年8月26日毎日新聞)
・“異常高温”で欧州の原発が相次ぎ稼動中断(2018年8月6日 ハンギョレ新聞

それどころか、福島第一原発事故の映像を見て、海面上昇、「温暖化の影響で起こる将来の映像」と捉えた人々もいる。気温上昇、海面上昇でリスクにさらされる米国の原発をナショナルジオグラフィックが2015年に明らかにした。

8.そもそも電力安定供給に貢献するのか

大島堅一(龍谷大学政策学部教授、CCNE座長)大島資料
 原発が稼働していないから電力価格が高騰するのか?否。電力市場の設計問題であり、資源の国際価格高騰によるものだ。
 原発が稼働していないから電力がひっ迫するのか?否。よく読むと政府文書にも書いてあるように、10年の1回程度の猛暑・厳寒時にひっ迫するだけなので、必要なのは、ディマンドレスポンスだ。

9.エネルギー安全保障上の問題

松久保肇(原子力資料情報室事務局長、CCNE委員) 松久保資料
 原発は安定電源だとされているがトラブル、老朽化で、むしろ電力供給のリスクである。
 米国の研究者のシミュレーションでは、福島第一原発事故の避難人口は8万人だったが、風向きや燃料プールの火災など事故の進展によっては、3000万人が避難しなければならず、場合によっては国が亡ぶ。事故が起きることが許されるシステムなのか?

出典:松久保資料

10. 原発へ国費投入がつづくことの問題

大島堅一(龍谷大学政策学部教授、CCNE座長)大島資料
 原発の費用の特徴は、
・最初は安いと国も電力会社も言い、国家財政で原子力と電力会社を保護する。
・後になって費用項目が増える。今回のGXもだ。
・国民が払う額が後で決まる。金額が書かれていない請求書が国民に回ってくる。
・支払い主である国民・国会は関与できない。
 原子力事業は斜陽化している。GX実行会議の要は斜陽産業を国民のお金で支えること。福島第一原発以降、原発のコストは増え続けている。国民が負担させられているが、国会や国民が関与できない、電気料金や託送料金への上乗せなど、経産省がおこなっている。しかし、原発の特別扱いは許されない。

出典:大島資料

福島からの声

 武藤類子(福島原発告訴団 団長、CCNE委員)
 原発回帰に失望と怒りを感じてしまう。話をするときにはできるだけ冷静にと努めているが、今回は感情的な言葉が溢れることをお許しください。たった11年で原発事故を忘れてしまったのですか?後退する社会でいいのか?次の事故を準備するようなことでいいのですか?

「パブコメを出してみよう」

メモは以上です。パブコメを出してみよう!と思った方は、以下がリンクです。

高経年化した発電用原子炉に関する安全規制の概要(案)に対する科学的・技術的意見の募集の実施について
締切:2023年1月20日夜中(21日0時0分)
原子力規制委員会

「GX実現に向けた基本方針」に対する意見募集
締切:2023年1月22日夜中(22日23時59分)
内閣官房GX実行推進室、産業省、外務省、財務省、環境省

今後の原子力政策の方向性と行動指針(案)に対する意見公募
締切:2023年1月22日夜中(23時59分)
経済産業省 資源エネルギー庁 原子力政策課

「原子力利用に関する基本的考え方」改定に向けた御意見
締切:2023年1月23日夕方(18時00分)
原子力委員会

各パブコメサイトより

タイトル写真【原子力市民委員会サイト】

緊急リレートーク!「岸田政権による原発回帰がもたらす10の問題」 http://www.ccnejapan.com/?p=13342 より

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