（1分読み）ユニバーサルデザイン（UD）の教科書30 障害者の工賃水準の低さ

障害者の工賃水準の低さ

ユニバーサルデザインは、全ての人々が等しく快適に利用できるデザインの考え方です。しかし、社会の中で障害者の工賃水準の低さという課題が存在します。以下、ケーススタディを交えてこの課題を詳しく探ることとします。

**1. 障害者雇用の法的枠組み**
多くの国々では障害者の雇用を奨励・義務付ける法律が存在します。しかし、これらの法律で設定されている最低工賃は、非障害者のそれよりも低い場合が少なくありません。

**ケーススタディ**: アメリカでは、一部の障害者に対して、連邦の最低賃金を下回る工賃での雇用が許されています。これは、障害者の生産性が非障害者と比較して低いとの認識が背景にあります。

**2. 職の限定**
障害者は、体の機能や認知の問題から、特定の仕事しかできないと見られることが多いです。そのため、低賃金の仕事が多くなる傾向があります。

**ケーススタディ**: 日本の障害者雇用では、包装や簡単な組立などの単純作業が中心であり、これらの仕事は低賃金が一般的です。

**3. 企業の認識**
障害者を雇用することは「社会的な役割」として捉えられることが多く、ビジネスの一部としての認識が薄れがちです。そのため、給与に対する期待値が低くなりがちです。

**ケーススタディ**: ある企業は、障害者雇用をCSR活動の一環として取り組んでいましたが、その障害者の給与は非障害者の同僚と比較して30%低かった。

このような背景から、ユニバーサルデザインの観点からも、障害者の工賃水準の向上は重要な課題として捉えるべきです。全ての人が平等に、公平な条件で働くことができる環境を作ることが、真のユニバーサルデザインの実現に繋がります。