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人生を変えた島国ミクロネシア連邦を訪ねて⑦/カマテップを体験

冠婚葬祭を大切にする島

前回の記事は以下からどうぞ↓

ミクロネシア連邦ポンペイ島に初めて訪れたときだった。アテンドしてくれた現地観光局長の方が、「日曜日に自分の祖母の一周忌がある」と言った。
それには「僕も参加できるの?」と、異国の行事に対しての物珍しさから口に出してみた。
そうしたら「あ〜、良いよ」とあっさり答えてくれたのだった。

ポンペイ島では冠婚葬祭全般をカマテップと呼んでいる。昔は葬儀でもなんでも1週間ぐらい続けてやっていたそうだ。しかし今では月曜日から仕事をする人もいるため日曜日のみとかなり短縮されてしまった。
カマテップでは冠婚葬祭と言っても飲んだり食べたり、さらには歌ったり踊ったりする場だ(葬儀の時はある晩はどんちゃん騒ぎだが、ある晩は未亡人と死んでいったご主人と二人だけにするとか、ある晩はファミリーだけとあるそうだ)。

ブタを焼いているストーンオーブン


ストーンオーブンで焼かれたブタ。各自持ち帰り再調理するらしい

カマテップではまずブタが潰されてストーンオーブン(石窯)で蒸し焼きにされる。これを参加は全員に振る舞われるのだ。

焼いたブタを振る舞う


サカオを作っている最中

そしてカマテップに欠かすことの出来ない飲み物がサカオだ。フィジーの方ではカバ酒と呼ばれている。アルコール分はゼロだが鎮静効果があり、島の人たちはカマテップの時以外でも飲む。
※このサカオ体験談はまた後日に紹介したい。

集会場に集まるファミリー

さて驚くのはこのカマテップへの参加者の数だ。
コミュニティの長であるナンマルキ(首長)とナンケン(副首長)は勿論参加する。コミュニティから参加する人たち、親族と呼ばれている人たちの数を合わせると100名は超えるだろう。

コミュニティは崩れ核家族化へ

私は専門学校でミクロネシアのことを教えている。その中で「将来結婚したら、奥さん、旦那と、あるいは産まれてきた子供だけと暮らしたい?両親たちとも暮らしたい?」と聞くと、みな「両親とはイヤ」と答える。

カマテップに参加して思ったのが、家族やコミュニティの結束が固いということだ。
カマテップのような祭事、イベントがあればみんな総出で準備するという。

しかし戦後、アメリカのライフスタイルが入ってきたことで、核家族化も進んでいったと言う。
若い人はコミュニティを出て、ダウンタウンで自分の妻と暮らす。コミュニティを出れば、仕事、家族、子供の教育などで相談にのってくれる目上の存在もそばにいない。
相談相手がいなければ、元々酒に弱いミクロネシアの人、それを飲んで自虐的になり自殺してしまうと。ポンペイの隣、チューク州では'90年代、自殺率がアメリカよりも高かったと言われている。

目上がそばにいると煩わしいと思う人もいるだろう。しかしいざとなれば高齢者はものすごく頼りになる。これは我々日本人も忘れてはならないことだ。

この国から私たちが忘れているものを再確認することができる。いつ行ってもそう言うのを感じるのだ。

続く・・・

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