人生を変えた場所 小笠原諸島を訪ねて⑧/豊かな生態系を証明したマイマイ
陸産貝類が世界自然遺産登録に貢献
前回の記事は以下よりご覧ください。↓
結論を申しますと、四つある登録条件の中で小笠原諸島は生態系の面のみが認められて晴れて世界自然遺産に登録されました。
個人的にはもうひとつぐらい、それこそ枕状溶岩が見られる場所として地質学の面でも認めて欲しかったですね。
そしてその生態系が条件に見合ったきっかけとして陸産貝類、つまりマイマイ、もっと分かりやすく言うとカタツムリの存在があります。
まさに陸産貝類あっての世界自然遺産登録だったのです。
適応放散を証明した陸産貝類
もともと生物相の薄い海洋島では降り立った場所によって生き物も独自の変化をしていきます。
標高の高いところにたどり着けばその環境に、暑い場所にたどり着けばその環境にとです。
適応放散の証明で有名なのがオーストラリアの有袋類やガラパゴス諸島のダーウィンフィンチでしょう。
まずガラパゴス諸島のウチワサボテンは天敵であるイグアナがいない環境ならば背丈は高くないですし(イグアナがいる環境なら背を高くして彼らに食べられないようにしています)、ダーウィンフィンチも生息環境にどんな食物があるかによってクチバシの形が変化したと言われています。
昆虫を食べるのに相応しいクチバシか、果実の食べるのに相応しいかによって形が変わっています。
小笠原諸島で適応放散を見るにあたって最も良いのが陸産貝類です。
アケボノカタマイマイは地上に住んでいるので色も実に地味であります。
ところで地上性の陸産貝類はなかなか体を出してくれません・・・・・・。
オガサワラオカモノアラガイやテンスジオカモノアラガイは樹上性と言って樹の上に住んでいます。
そして彼らは比較的標高の高い場所、特に母島のジャングルのようなうっそうとした場所にいて乾燥の危機に身はさらされていません。
よって貝殻はあってないようなもの、と言うか体の中に埋まってしまってるような感じになっています。
ちなみに陸産貝類は動きが遅いので出会った相手とうまく子孫が残せるようひとつの個体でオスとメスの機能がある雌雄同体であります。
ハハジマセルキモドキは非常に小さな個体であり半樹上性とされています。でも写真で見る限り樹上性も半樹上性もなかなか分かりづらいですね。
このように「陸産貝類の存在が適応放散を証明することができるくらいな生態系を持つ」ということで、小笠原諸島は四つの登録条件のうち生態系で登録されました。
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