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人を見る前にまずは自分を知る

”人をまとめる役割を担う人は、共感の幅が問われる”

プレイヤーから離れてしまうと、どうしても過去に失敗した気持ちを忘れがちになってしまいます。過去に失敗した経験は覚えているけど、その時に感じた気持ちは忘れてしまうのです。そうすると部下が不安や心配の声を口にしたときに、乗り越えた後の自分しかいないので共感することができません。

書きだす習慣がない人は過去に失敗した「経験」すらも忘れているので、何で部下がつまずいているのか想像ができません。成功体験や、過去の不安を乗り越えた後のキャラクターしか持ち合わせていない上司には相談がしづらいですよね。
そのため、以下に挙げる例の中でどれだけ思い当たる出来事があるか思い出してみてください。

1、新入社員時代に苦労した出来事
2、他者から認められなくて焦っていた年次
3、取引先や外部企業を怒らせてしまった経験
4、逃げたくなるような出来事から実際に逃げてしまった経験
5、保身のために嘘をついてしまったような卑怯な真似

大なり、小なりこれらの5つの項目に対して経験を持つ上司は、同じような失敗をした時の部下の内面を受容できます。受容した上で共感し、ただし相手の為に助言を行えます。
大なり、小なりという点がポイント。必ずしも大きな失敗でなくても良いのです。

“どんな失敗でも人に共有できる勇気があるか”

1、新入社員時代に苦労した出来事

僕は入社時、パソコンが全くできませんでした。どれぐらいできなったかというと、初めて先輩にした質問が「セルの結合って何ですか?」というレベル。今思えば、当時の先輩社員はとんでもない奴が入ってきたなと思ったことでしょう。それなのに、報連相も苦手でした。僕が考えて分からないのに、先輩に聞いたって分からないだろうという傲慢さ。またはどう質問したら、どこでつまずいているのか明確に言語化できないほど分かっていないときも相談ができませんでした。

そして、何より計画性がありませんでした。計画を立てるには、その先のタスクがイメージできている必要がありますよね。でも新入社員ではどうしても必要なタスクが浮かびません。先輩に聞いても断片的に教えてくれるだけで、そもそも全体の絵図を描けていない自分にはちんぷんかんぷん。

これらの経験から、人にパソコンの技術がなくても、一般常識がなくても、報連相が苦手でも、計画性がなくても、根気強く向き合うことができます。
そして、自分もそうだったとひどいエピソードを胸を張って言うことができます。だから変われるよ、という一言を忘れずに伝えられます。

2、他者から認められなくて焦っていた年次

人をまとめる役割を担う人は優秀な人が多いので、部下が他者から評価されないことに対して不安を口にしたときに共感できない人が多いです。
「そんなの気にしていたってしょうがないじゃん」と正論で返してしまう人が多いのです。

誰もが前に進む力を自ら生み出せるわけではありません。その前提があれば、この不安を口にする人の気持ちに寄り添うことができます。
幸いにも僕には、この経験がああります。主任や課長に昇進する時は、同期入社の中でも一番早いグループに入ることができました。しかし、部長に昇進する時は私より一年早く昇進する同期が3人いました。
冒頭にも記載しているけど、過去の失敗の「経験」よりも、その時に感じた「気持ち」を覚えている方が大事。僕は正直に悔しかったし、焦ったし、環境のせいにしそうになったことを覚えています。
部下が「昇進」という出来事以外でも、周囲の社員が手にした機会と比較して焦った時には共感ができます。
これらの経験と気持ちを踏まえ、前を向く大事さを正論以外でも伝えてあげることができます。
もし自分に「昇進」という出来事がなければ、過去の同級生との比較で焦った話でもよいのです。いずれにしても、その時に感じた気持ちを自覚しておくことが必要です。

“乗り越えた後の自分で向き合わない”

3、取引先や外部企業を怒らせてしまった経験

こんな時、若手社員はどう思うでしょうか。社歴を重ね、動じないことが増えてくるとつい忘れがちになります。人を怒らせてしまった時の焦りや、不安。
「大丈夫、大丈夫」と気持ちを軽くしてあげるのは大事だけど、何で大丈夫なのかまで言ってあげたいですね。
私は1年目の時に企業様へのメールに 記載する相手の社名を誤りました。
「◯◯・◯◯株式会社」のところ 「◯◯◯◯株式会社」で送信。
当校との関係性が深い企業様だったため、先方は私の上司に注意。企業様は企業名を大事にするものだと教わりました。その時は「直接私に言ってくれればいいのに」とか、「そこまで言う必要があるのか」という気持ちになりました。
でも完全なる私の落ち度なので、すぐに消化して学びに変えました。むしろ、私に直接言えない程度の信頼関係であったと思い知らされました。
ここで大事なのは、言っていることが正しくても、本質以外のところで揚げ足を取ろうとする心理が働くことを自覚したことです。
この自覚が後々、人の気持ちにもとづいた助言ができるようになります。

“心の動きを自覚できると、人の心を汲み取れる”

4、逃げたくなるような出来事から実際に逃げてしまった経験

人をまとめる役割を担う人は、困難に立ち向かう精神力を持つ人が多く、この経験を持つ人は少ないです。
でも引き出しの一つとして実際に逃げてしまった経験と気持ちを持ち合わせていると、部下が部署の異動を希望した時に寄り添ってあげられます。
「この先も続けたほうがあなたの為」という正論しか持たないマネージャーだと、部下が相談しづらく、退職の道を模索し始めることも珍しくありません。
実際に逃げてしまった経験を仕事上で思い出せない人は、大なり小なりの精神で過去の体験から紡ぎだすことをお勧めします。

5、保身のために嘘をついてしまったような卑怯な真似

これは特に仕事上で思い出せない人が多い項目かもしれません。世間的には、嫌悪される類のものだからです。
でも、もしかしたら部下にこのような特性を持つ人が現れるかもしれません。
その時に「理解できない」とあしらってしまうのか、どう自覚していけば変わっていくことができるのかという道を示すのか、多くの人に後者の精神を持ってもらうためにも、弱い人の心の動きを知っていてほしいです。

虚偽の報告や嘘の返答は、分解すると誰もが陥りかねない感情の動きや環境に要因があります。

・上司や後輩にできない人と思われたくない
・自分がイメージしている自分と、周りが抱くイメージに差を生みたくない
・そんなことも知らないのと思われたくない

自分の弱さを素直に見つめ、その弱さを周りに見せることができる精神性は、それを見せても自己を保てる強さと自信からきます。
その自信を得る前には、誰もがこのような思考に陥りやすいということを上司は理解しておくと、部下の内面の成長にも寄与できます。

“人を見る前にまずは自分を知る”

続きはまた違う記事で。最後までお読みくださり感謝。

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リーダ―育成コンサルタント

本間 正道
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