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「100分de名著」で学ぶニーチェ「ツァラトゥストラ」3回目その3

※NHKオンデマンド、U-NEXTなどの動画サイトで、ご覧いただけるNHK番組「100分de名著」を元に、学んだり、感じたりしたポイントをお伝えしています。
出演者:
司会 --- 堀尾正明さん
アシスタント --- 瀧口友理奈さん
解説者 --- 西 研さん

1.「運命愛」と、ある障害を持った友人の話

嫌なこと、耐えがたいこと、その苦しみを仕方なく受け入れるのでは、まだ甘い。
その苦しみを欲さなければいけない、つまりこれで良かった、これが良かった。

このように、自分のネガティブな面も全肯定した生き方を、「運命愛」と、ニーチェは名付けました。

解説者は、この言葉から思い出すことがあると言っています。
それは、若い頃に知り合った、ある友人のことだと言います。

その友人は、骨形成不全という障害を持った方で、車椅子に乗り、トイレも一人ではいけないような方でした。
障害者仲間で話し合ったとき、「天使がやってきて、あなたの障害をきれいに取り去ってあげますよ」と言われたら、どうする?という究極の質問をしました。
その友達は、「今の障害を持った、このままでいい」と答えたそうです。
そのとき、若かった解説者は、友人のこの答えを聞いて、「自分が障害を持っていたら、障害を全部取り替えて、別の人生を歩みたい。友人は強がりを言っているんじゃないか」と思ったと言います。
しかし、後になってみると、友人の言葉は、強がりではなかったのではないか、と思えるようになったと言います。
と言うのは、彼女は障害を持ったおかげで、障害者の仲間と出会い、一緒に障害のことを考えたり、彼女の生活をサポートしてくれるボランティアの大学生たちとの交流が、彼女にとって不可欠なもので、とても大事なものだと考えていたのではないかと思ったからだと言います。
そして、障害をなくしてしまうことは、別の人生と取り替えたことになってしまう、だから、自分はこの人生で良い。障害を持って、出来た縁も含めた人生を自分は肯定したいと、そのようなことだったのではないかと思ったと、解説者はお話ししています。

これを受け、司会者は、人間は、さまざまな悲しみや辛かったりすることもあるけれど、結局それもすべて自分に課せられた幸せにつながるものだと思えることが、運命愛である、と述べています。

これを受けて、解説者の方は、これが運命愛であり、この態度を持てた人は当然、自分の人生を何度でも繰り返そう。
このようにして永遠回帰を受け入れたことになる、とお話をまとめ、解説されています。

次回は、解説者の方が好きな、永遠回帰の思想を形にしたシーンから始め、話を進めていきます。

2.ここまでの感想

解説者の方がお話されていた障害を持つ友人の方のお話が印象に残りました。

障害を持たない側からすれば、大抵、障害はネガティブな要素としか見ることができないものです。
しかし、障害を持った人の中には、障害を持つことで障害者の仲間やボランティアの大学生と繋がれた縁を大事にし、障害を肯定的に考えることができる人もいるのだと思いました。

障害を持つことに限らず、ネガティブな部分を肯定的に考えることは、なかなかできないものです。
ニーチェの考え方は、ネガティブな要素を克服することで幸福につながるというポジティブ思考なだと思いました。
ネガティブな要素を含めた人生を全肯定できる生き方は、ある意味、究極の生き方だと思いました。

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