メモ:犬と共にアメリカから帰国する

このメモはあくまでも私の経験談です。虚偽の経験を書いてはいませんが、ケース・バイ・ケースであることをご承知おきください。

2022年10月頃

9歳になったばかりの飼い犬を連れて日本に帰ることを考え始める。連れて帰れないなら、帰らないつもりだったので、この時点では帰国するか(できるか)イマイチよくわからない。犬を連れて帰国した例はたくさんあるが、うちの犬の場合、いくつか好ましくない条件がある。

  • 私が住んでいる地域(リノ)は都会ではなく、一番近くの大きな都市(サンフランシスコ)まで車で4時間あまりかかる。

  • ユナイテッド航空がカーゴによるペットの輸送をやめた。うちの犬はサイズ的にキャビンに連れていけない。

  • 私の帰国後の引っ越し先(岐阜)は成田・羽田・関空などの大きな国際空港から遠い。この時点ではまだコロナ禍で飛行機の便数が少ない。

いろいろ障害がありそうだな、と思いつつ、調査・手続きを始める。

航空会社の選定

直行便はほぼ必須。(直行便でない場合、乗り換えの都市で2泊くらいして犬を休ませるべきだと思う。)まず考えたのはサンフランシスコ→名古屋セントレア路線。弟が17年ほど前にセントレアからサンフランシスコ経由でロスに来たことがあったので、サンフランシスコ→セントレア路線はあるものだと思っていたのだ。だが、その路線は見つからなかった。コロナ禍の余波で、飛行機の便数は大幅に減っていたため、そのせいだと思った。「帰国するころには復航しているのでは?」という淡い期待を胸に、日本側の到着空港は保留。
サンフランシスコから日本への直行便があるのはANA、JAL、ユナイテッドの3社のみ。前述のとおり、ユナイテッド航空がカーゴによるペットの輸送をやめたので、ANAかJAL。たしか弟が載ったのはANAだったので、ANAにしておけば、セントレア便が復活するかも、との期待を胸にANAに暫定的に決定。
空港までの移動手段と空港からの移動手段はおいおい考えることに。

輸出・輸入手続き

ペットを国外に連れ出す場合、「輸出・輸入」というんだそうだ。ペットは家族なんで、「輸出・輸入」という呼び方にはモヤモヤするけど、まぁ、法律的にはモノなんだな。
農林水産省のWebsiteに載っている説明によれば、手順は以下の通り:

  1. マイクロチップの装着

  2. 狂犬病ワクチン1回目

  3. 狂犬病ワクチン2回目

  4. 狂犬病の抗体検査

  5. 180日待機開始

  6. 出発前40日までに空港の動物検疫に届出

  7. 出発前10日以内に獣医さんにFormACというものを書いてもらう

  8. USDAにFormACの裏書をもらう

  9. 飛行機に乗って日本に入国

  10. 日本の空港の動物検疫で手続き完了

なかなかややこしい。うちの犬は手順1と2は済んでいるので、できるだけ早めに手順3と手順4をやらないといけない。(そのあとに180日待機が待っているから。)そんなわけで、早速かかりつけの動物病院に予約をとる。

かかりつけの動物病院にて

最初の予約日は確か11月8日だったと思う。この日、まさかの初雪。私の車のタイヤはカリフォルニア仕様なので、とてもじゃないが運転する気にならない。動物病院に電話してみると、翌週に変更してくれた。ほっ。
そして、変更した予約日の朝。飼い犬の様子が少しおかしい。胃腸の調子が悪そう。もともと胃腸の丈夫な子ではないが、ここのところは調子がよかったので、ちょっと予想外。んが、行かねば。そして彼は動物病院の駐車場で派手にゲロった…。ごめんなさい。知らん顔して動物病院で受付を済ます。
処置室で少し待つと、出てきたのは少し若い、経験の少なそうな女性獣医。農林水産省からダウンロードした書類を見せながら事情を説明しようとするも、聞く耳を持たない。「そんな手続き聞いたこともない!そんなのおかしい!」っていう感じ。「書類にじっくり目を通してほしい」と、なんとか説得すると、彼女は「ちょっと自分のオフィスでよく読んでくるから」と言って部屋を後にする。30分も待っただろうか。件の獣医ではなく助手の女性が処置室に入ってきて「ごめんなさい、うちの動物病院では扱えない事案なので、もっと大きな動物病院に行ってください」と言い、家から車で20分くらいのところにある大きな動物病院を紹介してくれた。かなりがっかりして動物病院をあとにした。

大きな動物病院とは

手続きの手順は多少煩雑ではあるが、特別な専門知識が必要には見えない。なぜ、近所の動物病院はやってくれないのだろう?と少し調べてみると、どうやら、「USDA認定の獣医」がFormACを書かないとUSDAは裏書をくれないんだそうだ。なんとなく納得して、紹介された大きな動物病院に予約の電話を入れる。確かサンクスギビングのころ(11月の終わりころ)だったと思う。なんと直近でUSDA認定医の予約がとれるのは翌年の3月1日だと。唖然とするも、しかたがない。3月1日に予約を入れる。

1回目のワクチンの証明書

12月のある日、1回目のワクチンの証明書にマイクロチップ番号が書かれていないことに気づく。1回目のワクチンはカリフォルニアに住んでいた時に打ったため、獣医さんもカリフォルニア。お手紙を書いた。快くマイクロチップ番号入りの証明書を返送してくれた。お礼に確かチョコレートを贈ったような。

空港への移動手段

さて、獣医さんの予約を待つ間に移動方法を詰める。
帰国数日前にリノからサンフランシスコまで飛行機で行き、サンフランシスコで数日過ごすプランも考えたが、帰国直前に犬の健康証明書を取得しないといけないこと(後述)を考慮すると、あまり現実的でない。やはりフライト直前に車でサンフランシスコまで行くのが現実的と思われる。自分の車はそのころには売ってしまっているだろうし、そもそも走りなれない道をそんなタイミングで走りたくない。Uberで行けるかと思ったが、長距離過ぎるようで無理。例の近所に住んでいるタクシー屋さんにきくと、乗せてくれるらしいが、料金は最低でも1,000ドル、とのこと。たっか。他に方法がないか、ググってみると、「AmRide」なる会社を見つける。Uberに似たようなサービスだが、運転手はちゃんとCommercialライセンスを持っており、長距離が専門らしい。見積もりをとってみると500ドル、とのこと。きまりかな。

空港からの移動手段

さて日本側。いろいろググってみると、どうやらセントレア・サンフランシスコ直行便はコロナ禍とは関係なく運航休止になったらしい。じゃあ、日本側の空港は成田か羽田しかないのか。いろいろな便利さを考えると羽田の方がよいだろう。かなりがっくりだが、とにかく羽田から岐阜までの交通手段を模索。

  • 新幹線。10キロ以上のペットは持ち込み不可。うちの犬は12~13キロほど。ごまかせるんじゃなかろうか、とも思ったが、駅まで行ってダメ出しされたら困ってしまうので断念。

  • ペット移送会社。車でドアツードアなのかと思ったら、車で空港まで行って、飛行機に乗せて、そこからまた車で移動なんだそうだ。そんなんだったら自分でやったほうがいい。

  • タクシー。20万円くらい払えば羽田からいけそうだ。でも、ちょ、たか…。

  • レンタカー。ペットは持ち込みできないらしい。

  • 東京近郊に住む友達に運転を頼む。そんなこと頼める友達いないよ~、泣。

  • 飛行機で羽田からセントレア。そしてタクシーか親戚の方にセントレアまで迎えに来てもらう。これが一番現実的か…。

移動のプラン

サンフランシスコ発羽田行きの飛行機の離陸時間はなんと午前1時20分。検討を重ねて、以下のプランができた。

  1. 飛行機に乗る前日、10月10日、朝10時にリノを車で出発。少し早いと思われるかもだが、トラブルに備えて早めに出発。

  2. 午後、サンフランシスコに到着。空港近くのホテルにチェックイン。予定通りなら、6~7時間ほどリラックスすることができる(犬も私も)

  3. 夜10時頃にサンフランシスコ国際空港に向かう。

  4. 10/11 午前1:20発の飛行機に乗る。

  5. 翌日 10/12 朝4:30に羽田に着く。

  6. 犬は羽田空港のペットホテルに預ける。

  7. 私は空港近くのホテルにチェックイン。

  8. 犬の体調を整えるため、2泊してからセントレア行きの飛行機に乗る。

  9. セントレアからはタクシーか、親戚の方迎えに来てもらう。

なかなか煩雑なプランだが、まぁ、現実的なんではなかろうか?
羽田空港近くで、犬と私がいっしょに泊まれるホテルがあればよかったのだが、これまた新幹線と同様10キロルールにひっかかり、いい宿が見つからず。だが、羽田空港内にペットホテルがあることを知り、むしろその方が犬の移動が減るのでよいのではないか、と思うことに。ただ、ペットホテルの予約は3か月前からしか受け付けておらず、後日改めて予約するのを忘れないようにしないといけない。
それから、飛行機に犬を乗せるのは、オンラインでは予約できない。ANAへ直接電話をかけて、1時間ほど待たされて、やっとオペレータにつながって予約、というなんとも前時代的な方法。まぁ、そんなこんなでペットホテル以外の予約は完了。

大きな動物病院の予約の日

3月1日。なんと大雪。この時にはさすがにチェーンを持っていたが、恐ろしくて自分で運転なんてできない。Uberで行こう、と決める。が、Uber捕まらない。あとで知ったころなのだが、雪の日はそういうもんだそうだ。タクシー会社に電話してみる。誰も出ない。もう泣きそうである。この予約の日、3か月以上待ったんだよ?ふと近所にいつもタクシーの止まっている家があるのを思い出す。もしかしてあの家の人、タクシー屋さん?絶望的な気持ちのままドアベルを押す。インド系の女性がドアを開けてくれた。予想的中で、その女性のだんなさんがタクシーの運転手なんだそうだ。そのときはまだお休み中だったのだが、事情を話したら乗せて行ってくれるという。感謝感激雨あられ!無事動物病院に行くことができた。

担当獣医さん

担当獣医さんと対面。日本への輸出プロセスの経験はないが、他の国のは経験がある、とのことで、日本への輸出プロセスについても予習してくれていた。農林水産省の手順によると、2回目の狂犬病ワクチンと抗体検査の採決日は同じ日でもよい、と書いてあるが、担当獣医によると、抗体の値はワクチン接種から2週間ほど待たないといい値がでないかもしれない、とのことで、この日はワクチンだけ打ち、2週間後に採血した。そして、それをカンザス州立大学のラボにFedexしてくれた(抗体検査はカンザス州立大学でやったものしか認められない)。ほどなくして結果がくる。ちゃんと規定値以上あった。180日待機は正確には採血日からなので、出国できるのは3月15日から数えて180日目以降となる。
出発前10日以内の健康診断の予約もこのときに入れる。10月11日出発なので、できるだけ余裕をもって10月2日、月曜日の予約。この獣医さん、実は通常月曜日はお休みらしいが、自分から「月曜日はお休みなんだけど、ちゃんとやるから心配しないでね」と言ってくれた。ありがたや!

空港に届け出をする

6月中旬、少し気が早いかとも思ったが、NACCSというシステムを使って羽田空港の動物検疫に届け出を提出する。すぐにメールで返事があり、カンザス州立大学でやった抗体検査のレポートを送ってくれ、とのこと。すぐに返送。これまたすぐに返事があって、「受理しました」とのメールが。そのメールに「NACCSにログインして届け出受理書をダウンロードしてください」とあった。NACCSにログインすると、「届け出を印刷する」というリンクがあったので、それをクリックして印刷完了。この件、出発直前になってちょっとトラブるんだが、それは順を追って。

ペットホテル

出発3か月前、7月10日頃、ついにペットホテルが予約可能となる。が、うちの犬、いくつかのワクチンの要件を満たしていない。アメリカの混合ワクチンは受けているが、日本の混合ワクチンとカバーしている病気が少し違う。どうしようか。ペットホテルに相談してみようと思い、電話する。留守番電話になっていたので、メッセージを残した。しかし、返事はない。
別の方法を考えてみた。ひょっとしたらAirbnbなら、体重10キロ云々言わない部屋か家があるかも、と思って検索。あるじゃないですか!羽田空港のすぐ近くに!そんなわけで、以前私の宿泊用に予約したホテルはキャンセルし、ペット可のAirbnbを予約した。まあまあ高かったんだが、ペットホテルも安くはないし、まあよい。

思いがけない申し出

ある日、姉とオンラインでチャットしていたら、ふと姉が「東京から岐阜まで送ってあげようか?なんなら空港からAirbnbまでも送ってあげようか?」との申し出が。え?お姉ちゃん、運転する人だっけ???とちょっと混乱。私の知る限り、姉は30年来のペーパードライバーだったので、そんな可能性はこれっぽちも考えていなかったのだ。聞けばなんと、ここ数年は愛車を駆って趣味のトライアスロンの遠征をしているんだそうだ。天にも昇る気持ちでありがたく申し出を受け入れた。これで日本の移動は10倍楽になる。精神的には100倍楽になる!ありがとう、お姉ちゃん。恩に切ります!

10/2 健康診断の日

ついに10/2がやってきた。この時点ではもう車を売却してしまっていたので、動物病院までの足はUberを予約した。ただ、リノ周辺のUberは予約の場合、ペット持ち込み可かどうか確認が取れない。万一ドライバーが犬嫌いだったらどうしようかと、それだけが不安だったのだが、前日に思いがけずバックアップドライバーができた。お隣りに住む老夫婦とお別れのあいさつをしていた時、「何か困ってることとか助けられることはないか?」と何度も聞かれ、このUberの不安を打ち明けると、「そんなの僕たちが送ってあげるよ!Uberキャンセルしちゃえば?」とのこと。ただ、やはり申し訳ないので、Uberのドライバーに断られたら場合、お願いすることにした。結果的にUberのドライバーは快く犬を乗せてくれたのだが、親切な隣人は私のストレスを軽減してくれた。いろんな人に助けられているな、私。
さて、健康診断そのものは形ばかりで、獣医さんがFormACの作成をし、VEHCSというシステムを通して提出した。念のため提出したもののコピーがほしい、と獣医さんに言うと、「USDAの裏書がなければ、そんなコピー持っていても意味ないよ」と言われた。「わかっています。念のためです。」と言って、もらう。待合室で会計を待つ間、FormACをなんということなく眺める。ふと気づく。ワクチンの日付がまちがっとる。2023年に打ったのに2026年ってなっとる。劇アセで「せんせ~!xxせんせ~!!」と呼ぶと、怪訝な顔の獣医師が待合室に現れた。ワクチン接種日の間違いを指摘すると、はじめは「そんなはずないだろ?何言ってんだこのおばさん」という顔をしていた獣医師もままあって自分の間違いに気づき、訂正・再提出してくれた。訂正後のコピーをもらって帰途につく。FormACって、A4サイズの紙ぺら一枚で、そんなにややこしい欄はないので、まさか他にも間違いがあるとは思わなかったが、帰りのUberの中で、一応残りの部分も確認する。そしてそのまさかが。Date of Identificationが間違っとるやないか。Date of Identificationはマイクロチップを埋め込んだ日付のはずなのだが、本日の日付になっている。あわてて獣医さんにテキストメッセージを送る。しばらくして返事がある。「いや、これは僕が最後にマイクロチップをスキャンした日付でいいはずだよ、もしかしたら僕が間違ってるかもだけど」と。一応、と言ってはなんだが、彼も一応プロだし、「そうなんですか?念のため日本の動物検疫に確認してみます」と遠慮がちに返信し、即効動物検疫に確認のメールを送る。ここでも動物検疫の対応が早く、小一時間で返事が来る。「Date of Identificationはマイクロチップを埋め込んだ日付です。訂正していただかないと入国できません。」とのこと。獣医師にその旨をテキストメッセージを送るも午後遅くまで返事は来なかった。そしてその午後遅くに来たメッセージによれば、「すでにUnder reviewというステータスになっているので、RejectされるかAcceptされるまで変更ができない」という。やきもきしながら眠りについた月曜日。まさかこれがただのやきもき序章になるとは思いもよらず。

10/3 受理書トラブル

獣医さんからの連絡を待つ間、再度そのほかの書類を確認する。そしてふと気づく。必要な書類リストの中のひとつ、「届出受理書」にあたるものがわたしのは「届出」となっている。ちょっと不安になる。この二つは別物なのか?ググったり、過去にペットを連れて帰った人たちの経験談ブログなどを読みまくる。やばい。わたし、受理書持ってない。届出書は「フライトから40日前までに提出」、とのことだから、この届出が無効なら、「振出しに戻る」になって、40日後まで帰れないってこと?真っ青になる。6月に動物検疫からもらったメールをもう一度読み返すと、間違いなく「NACCSにログインして届け出受理書をダウンロードしてください」と書いてある。まずはメールで問い合わせてみる。これが午後4:30頃。前回の動物検疫の対応はとても速かったのだが、今回はなかなか返事が来ない。午後6時頃、電話してみることにする。つながらない。「メールで問い合わせるか、後ほどおかけ直しください」という。30分くらいの間、何度もかけなおしてみる。やっぱりつながらない。藁にもすがる思いで成田の動物検疫に電話してみた。つながった。が、羽田空港の動物検疫についての質問には答えられない、とのこと。それから何度も何度も羽田空港の動物検疫に電話するもまったくつながらず、疲れ果ててうとうとするが、ハッと目覚めて電話する。と、つながった!事情を説明すると「あ、そうなんですね。戸田様?はい、すぐ受理書送りますね」とあっけない返事。電話を切って直後NACCSシステムからまずはシステムメールが届く「受理しました」とのこと。え?ちょ、メールで受理しました、って言ってたくせにシステム上受理されてなかったってこと??NACCSにログインしてみると、案の定、「受理書の印刷」メニューが増えていた…。さらにまもなく受理書そのものもメールに添付されて送られてきた。単に動物検疫が受理処理を完了していなかっただけらしい。まったくひやひやさせやがる!
というわけで受理書トラブルは解決。

10/4 USDA裏書いただけず

USDAから獣医師のもとに返事が来る。結果は「裏書あげられません」。理由は Date of Identification と1回目のワクチンの商品名が書かれていないため、の2点。1回目のワクチンはカリフォルニアに住んでいるときに受けたものなので、カリフォルニアに住んでいた時のかかり付けの獣医さんに証明書を作り直してもらわないといけないらしいが、リノの獣医さんがカリフォルニアの動物病院に連絡したところ、接種したワクチンの商品名はデータベースかなんかに登録してあって、その日はシステムを使える従業員がお休みなので返事は明日になる、とかなんとか。まじか?もやもや。バッチ番号(シリアル番号)は書かれているんだがな。この番号からわかるんじゃないの?と思って、こそこそと独自調査を開始。製造元のZoeticのお客様相談室に電話してダメ元で聞いてみた。意外にも協力的で「ちょっと専門の子に聞いてみるから、待ってて」と電話を保留にされること10分かそこら。きちんと調べてくれましたよ!ただ、結果は「Vanguard for California」か「Nobivac for California」のどちらか、とのことで。一意には決まらないらしい。とはいえ、どちらの製品もInactivatedというタイプのワクチンなので、それが確認できただけでもよかった。
そうこうしているうちに、その日のうちにカリフォルニアの獣医さんから連絡が来て、新しい証明書を発行してくれたらしい。「明日にならないとできないんじゃなかったの?」と思ったが、リノの獣医さんがごり押ししてくれたのかもしれない。とにかくありがたい!
そんなこんなで10月4日中になんとかUSDAに再提出できた。さて、間に合うのか?

10/5 裏書は原本でなくてもよい?

USDAから音沙汰のなかったこの日。たとえ裏書を翌日 (10/6) にもらえても、そこから郵送 (Fedexでオーバーナイトらしいが、ホントかどうかわかったもんじゃない) されてくる。家を出発するのは 10/10 朝10時。原本を持って家を出発するには 10/9 までに届いていないといけない。「ちょ、これ間に合うの?」っていうタイミング。う~む。
以前、動物検疫から「届出受理」のメールをもらったときに、以下のような文言があったのを思い出した。

【VEHCS利用の方へ】
Veterinary Export Health Certification System (VEHCS) というシステムを利用し、証明書を取得する方へ。
日本の省令が改正され、VEHCS利用の方はウェブ上でエンドース後のFormAC(FormAB,RE)が確認できれば、日本への入国が可能になります。

羽田空港動物検疫からのメール

担当獣医はVEHCSを使っている、はず。早速動物検疫に問い合わせてみた。動物検疫によれば、

VEHCSを利用し証明書を取得した方は、ウェブ上で証明書の発行ができれば、到着時に証明書の原本がなくとも入国が可能になります。
裏書き後の証明書に証明書番号が記載されておりますので、当所で検索することが可能です。

羽田空港動物検疫からのメール

よっしゃ。原本は間に合わなくても大丈夫だ。少しだけ気が楽になった。

10/6 まさかの…

朝10時頃、獣医さんにテキストメッセージで「なんか進展あったら知らせてね」と突っつく。と、返ってきたメッセージは「今日処理されるはずだよ。資金を追加しないといけなかったんだけどね。」というなんだかイミフなもの。「私、何か払い忘れてたのかしら?」と不安になって「追加で何かお支払いしないといけないのだったらお知らせくださいね」とテキストするも返事なし。
夕方になって「まだ何もアップデートない?」としつこくつついてみる。すると、ついに事情をカミングアウト:
「いつもはこういうの、$38でできるんだけど、日本の場合はFAVNレポートとかいろいろあって$170なんだって。うちの動物病院の残高、ちょっと足りなくってさ。入金した後に再提出しないといけなかったんだ。今日の朝(early am)にやっといたからさ。」
とな。「資金を追加しないといけなかった」ってこれかい?初めから言えよ。ごまかすつもりだったんかな?と疑ってしまうよ。
そんなわけで、10月6日、金曜日、まだUSDAから裏書をもらえず。USDAは日本でいう農林水産省みたいなもんで、土日の対応は期待できない。月曜日9日(出発の前日)にかけるしかない。

10/9 ついに!

やきもきやきもき、いらいらいらいらの土日を乗り越えて迎えた10月9日、月曜日。朝8時過ぎ。待ちに待った「Were good!(原文ママ)」のメッセージが獣医さんから届く。これほどホッとしたこともなかなかないよ。無事、裏書および digital signature 付きの Form AC をゲット。念のため動物検疫に送り、確認してもらう。問題なし。あとは行くだけや!
ちなみに、原本がいらなくなったのは2022年末のこと。ラッキーや。

帰国の日

ここまでくると、あとはスムーズだった。10月10日午前10時、予約していたAmRide(という長距離版Uberみたいなサービス)のドライバーが自宅までお迎えに来てくれた。道路の状況は通常通り。午後3時前にサンフランシスコの空港近くのホテルにチェックイン。ワンコと夜9時半頃までのんびり。予約していたUber Petでワンコと空港に向かう。ANAのチケットカウンターはちょっと混んでいたし、ワンコを預けるのは初めてだったので、少々てんやわんや感はあったものの、なんとか完了。別れ際にワンコが震えていたのはとても心配だったが、ここまで来たらどうしようもない。「ワンコ、すまない。14時間後に会おう!その後にはパラダイスが待っているから!」と心を鬼にして見送る。気が気でない11時間30分のフライトを経て羽田空港に到着。入国審査を経て、まっすぐ動物検疫に向かう。

動物検疫

カウンターで名を名乗ると「○○様、お待ちしておりました!」とまさかのVIP待遇で迎えられる。まもなくワンコのクレートがカートで運ばれてくるのが見える。駆け寄りたい衝動を抑え待つ。ついに到着。中をのぞく。おぉぉぉぉぉぉ!愛しのわがワンコの元気な姿が!!感動の再開を果たし、書類の確認、ワンコの健康状態の確認などをして、無事検疫通過。全工程合わせて、長く見積もっても20分程度だったと思う。ここで特筆したいのは、動物検疫の方々の対応。とてもよい。とってもよい。親切、丁寧、礼儀正しい、そして何より皆さん動物を愛していらっしゃるように感じた。羽田空港、動物検疫の皆さん、本当にどうもありがとうございました!!

姉と再会、そして岐阜へ

ワンコを受け取った後、自分の荷物を受け取り、税関処理を済ませ、出口へ。そして姉と再会。姉の運転で宿へ。ワンコは拍子抜けするほど元気だったため、「休憩する必要ないな…」とも思ったが、姉の都合もあるので、一日ちょっとのんびりして、いざ岐阜へ。うちのワンコさん、ドライブは大好きなのでここはなんということもなく。姉がドッグラン付きのSAをあらかじめ調べておいてくれたので、ちょっと寄ってみたりして。ここは本当に姉に感謝。感謝状送りたいくらい。そんなわけで、ほぼ1年に渡る「犬と共にアメリカから帰国する」計画は大成功のうちに幕を閉じましたとさ。

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